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男の首筋に浮き出す血管を数えたことも、くっきりとした白い喉仏に噛みつきたいと思ったこともなかった。“美しすぎる彼”に出会うまでは――。 それぞれの“欲望”と、それぞれの“絶望”が絡まり合い、衝撃の結末へ。
paraíso no donzoko
一般文芸のオカルトホラー小説として出版されていますが、帯にも書いてある通りBL系ホラーとして楽しめます。
表紙もふつくしい…です。
帯が全てを語っているので言及は控えめにします。この世にも稀な耽美な美少年が登場したりとJUNE的な世界観に加えて本格的ホラー要素が存分に楽しめます。
閉鎖的な田舎での伝奇伝承ものに惹かれる方なので、自分にはもってこいの作品でした。人外要素もあり、奇妙であったりグロテスクだけれど、底無し沼のように美しい世界観に引き込まれました。読んでいて脳内が侵食されていく、麻痺していく不思議な感覚でした。深淵から覗いた世界とは…。
ストーリーも謎が謎を呼び予想外の方向に進むので、続きが気になって仕方がなかったです。人間の集団心理が恐ろしかった。閉鎖的な空間での長い間培ってきた因習は凝り固まっているだけに余計にタチが悪く、、。
全体的にストーリーやプロットが複雑だったので、一回で理解できたとは言えないので読み返したいと思います。また2回目以降は違った世界が見れそうです。
作家さんはTwitterで話題になった後、幻冬社や角川書店等で出版されているホラー、オカルト系に強い作家さんのようです。文体等や進行は枠に捉われない自由なスタイルですが、表現力があるので引き込まれました。一度ハマってしまうと抜け出せない、怖い作家さんだと思いました。
残暑や物哀しさを感じる初秋にピッタリの作品です。
最後は馴染み深いBLエンドで締められ、安定感がありました。
読後感の余韻もあります。
今後もBL系や匂い系を是非執筆して欲しい…と願わざるを得ない一冊でした。