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utukushii inu
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
己の美しさに自身を持つ、極道の二代目で実業家の紫朗は、「美しい男は、それだけで価値がある」と自身の美しさにこだわりを持っていた。
そんな紫朗が、新事業のドッグレース開催を、父親から任されている。
そのビジネスパートナーとして選ばれたのが、田舎くさいさえないヤクザの勇馬。
どういうわけだか、初対面から勇馬にあまりいい印象を抱かなかった紫朗は、顔合わせの会食が終わると、さっさと引き上げてしまう。その埋め合わせとして、勇馬の買い物に付き合うことになった紫朗だが、そこに現れたのは、フェロモン溢れるいい男――。
線の細い自分とはまったく正反対の男の色香溢れる格好に、勇馬はプライドをひどく傷付けられる。
そしてそのまま、自宅まで着いていくと、勇馬に腹を殴られ、手錠足枷で拘束されて犯されてしまう。
犬をこよなく愛する勇馬は、街でキレイなアフガンハウンドのような紫朗を見かけ、一目惚れし、飼いたいというのだ。
だが、おとなしく躾けられるような紫朗ではなく……。
というような話でした。
なんというか、割とリアル目線で、ドッグレースの説明が書いてあって、思わずそんな話が本当にあるのか?? と思ってしまうくらいしっかり書き込まれていたので、そこを通過するまでが結構しんどかったです。
難しいこともいっぱい書いてあって。
もちろん、作者さんはわかりやすく噛み砕いてくれていたんですが、ノリの軽いBLを読みたいというような気分の時に読むと、かなりしんどい思いをすることになるかもしれません。
それを越えれば、しっかりしたベースの上に成り立つ小説なので、十分に楽しめる話でした。
ノリの軽い紫朗が痛い目に遭うけれど、本来の「ヤクザの息子」である芯の強さを存分に生かして、新たな性格を開花させる、というのがまたよかったです。
今度はそれに、勇馬が振り回されるけれど、紫朗に一矢報いようとして、結局、紫朗が勝ったのかな??
その辺りが、最後の方にちょっとだけし書いてなかったので、そういうやるかやられるか、みたいなやり取りがある緊迫感のあるやりとりをもっとみてみたいなー……と思いました。
そういう意味では、続きを読みたい気もしますが、この話自体はここで終わりでかまわないと思うので、微妙なところですね。
ドッグレースを絡めた、ヤクザで犬で調教物ですが、
どちらもヤクザの2代目、次期組長候補、
手錠に裸で、監禁調教されちゃう受け様・紫朗が、実に男らしく状況を乗り越えてしまう。
攻め様の方も、最初に紫朗に一目惚れして、何とかして手に入れたいと画策して監禁調教に持ち込むのですが、いつの間にやら、紫朗の方がご主人様気取り。
惚れた弱みで、そのままグズグズいっちゃうのかと思いきや、躾直しとばかりに、、、
これ、読んでて、すごく楽しかった。
受けの紫朗が、なよっちく無いところがいい。
マカオの危ないお店で、あわや、犬にやられちゃう!って時も、助けに来る王子様より先に、自力で犬に勝っちゃうし、
自分の魅力を十分承知して、それを使いこなそうとする。
こういう、負けてない受けって、読んでて楽しい。
「美しい犬」題名や表紙カバーから連想されるものは、何だかちょっとエッチな感じでエロ?エロよね?と思うのですが、
読んでドスコイ!エチシーンはありますが甘くない、エロくない、こんな爽やかで、まさに”竹を割ったような”エチものは初めての経験かもしれません。何といっても受け様がほとんど喘ぎませんからネww
ガチンコではあるのですが、「イレサセロ!」勝負なガチンコじゃなくてどちらが犬か、といった性格ガチンコ勝負ですね。
そんな不思議なお話は、日本でドッグレースが許可されて、それを仕切ることになった関西と関東の組のそれぞれ二代目が絡むお話なのです。
関東、大黒組からはナルシストで「菫(すみれ)」という名前が女みたいで気に入らない実子の紫朗。
関西、曾根崎組からは犬が大好きな男前な養子の勇馬。
この紫朗の性格がこの本の性格を作っています。
自分は世界一美しい男だと自負し、着るものにこだわり、何の苦労もなくしたいことだけするワガママお坊ちゃん気質で、犬嫌いの紫朗。
そんな彼が、犬好きの勇馬に躾けられて(成功しているかどうかは不明)巻き込まれた事件からドッグレースについて真剣に考えるようになるのですが。
勇馬は犬好きの為、何を例えるにも犬が出てきて紫朗はアフガンハウンドのようだと比喩。
しかも初対面の時に、本当はアフガンハウンドが飼いたいだの、女性は苦手だの、それとなくほのめかす言動をしているのですが、紫朗は気が付かない。
最初におしおきされたのは、海外視察で紫朗を囮に使うためだったとか、結構悲惨な扱われ方をされている紫朗ですが、巨体のマスチフをやっつけてしまったり(後に紫朗のペットになる)ただのナルちゃんでなくて強い!っていうのがミソ。
そして、犬が爆弾テロに使われたりするのを見て真剣にドッグレースに取り組むというのは、仕事の流れですが、いかんせんラブが薄い!
紫朗が変に賢くて、世渡りが上手くて、勇馬が飼い犬だと公言し、勇馬は紫朗が犬で、躾けているんだと言うしで、全然甘くならないんですよ。
それは最後の最後まで、実にエンドまでそれですので、漫才にならないだけコメディにならずに済んではいるのですが、こんなラブが薄い作品も見たことがないという意味で新鮮かも?
紫朗も女遊びが激しかったせいか、ナルなのが幸いしたのか、勇馬が上手いのか、男性といたすことに関してあまり抵抗がない様子なので、エチでさえ躾けの一環のようです。
ハチミツバターで、すわ、バター犬登場か!?と期待させましたが、犬ではなく人間でした(苦笑)
実際ドッグレースは日本ではありませんし、動物愛護に関心のある方には嫌な題材かもしれませんが、その点は作者も動物好きなので配慮した内容になってはいます。(さすがに爆弾のシーンは悲しかったですが)
ラブが薄かったせいで、男同士の必要性が疑問視されてしまったため評価は中立ですが、なかなかに紫朗の性格は好みで、とても好きな人物でしたよ。
いっそ、後日談とかであまあま編なんかあるといいな~と思いました。