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kotyou no shiro
直木賞作家の桜木紫乃氏による一般文芸作品。
2019年発表の「緋の河」の続編で、桜木氏と同郷の「カルーセル麻紀」氏をモデルにした作品。
「緋の河」は幼少期〜美しいゲイボーイとして口コミで人気が高まって行く時代が描かれ、本作はTVや週刊誌に引っ張りだこ、もっと大きな話題を、と遂にモロッコで性転換手術を受けて毀誉褒貶の中を進む時代が描かれます。
読んでいると限りなく実在の「カルーセル麻紀」そのものの伝記のように思えるけれど、あくまでもフィクションという立ち位置の作品です。
本作序盤は、遂に性転換手術を受けるという章。
日本ですでに睾丸は摘出済み、モロッコでは陰茎の切除と造膣の手術なわけだけど、術後の経過が悪く化膿と発熱で一度は死を覚悟する「カーニバル真子」。
そんな思いまでして、帰国後の日本では興味本位で「アソコはもう使いましたか?」とかそんなのばかり。
初めからわかっていた事、あたしの「女」はただの疵痕さ、と全て飲み込んでアタマを冴え渡らせていく。
その後、悪どいマネージャーと渡り合う話、初恋の文治と対談する話、恋をする話、父が他界する話、親友の女優(おそらく太地貴和子がモデル)が事故死する話、フランス男を結婚に利用する話、演技を学び映画に出る話…
どんな時でも相容れない「世間」と闘いながら「女になる」のではなく「自分になる」ために歩む「真子」の強さ。
真子/秀男は体を完全に改造するけれど「女」になりたかったのではないみたい。
ストリップ用の小さな小さなレースのヒモパンティを履くにはチンコが邪魔なのよ!っていうね。欲しかったのは踊る時に綺麗な「女の体」なだけ。
秀男は元から一つも変わらない。ただ一つの「自分」がいるだけ…そこがわかる物語。
私なんかはどうしても実際の「カルーセル麻紀」がチラついてしてしまうけど、ままならぬ人生を自分の機転と豪毅で芸能と夜の世界で生きると決めて突き進む秀男のその強さ。きっと「私男だから」と高笑いしながら言ってのけるんでしょうね!