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mitsuyaku wa midara ni amaku
1冊すべて表題作です。忍(受け)の視点でストーリーは進みます。
全体的に甘い雰囲気の作品です。先輩×後輩、両片思いのすれ違い設定、再会モノがお好きな方にお勧めだと思います。
王道な再会モノなので、高嶺(攻め)が再会の最初から忍を好きで、嫉妬なども透けて見えるので、安心して読めます。
ハッピーエンドになるまでは分かり切っている展開なので、いつ二人の誤解が解けるのかを楽しむものだと感じました。
あまりに先が読める展開でしたので、もっと弟の悠を登場させて、二人を引っ掻き回しても面白かったかも。ラストも忍の会社の再建についてが欲しかったような気がする、と欲張りにも思ったものです。
表紙イラストはスーツ姿ですし現在の二人ですが、大学時代の思い出が浮かぶようなセピア色で素敵だと思いました。
シリーズ2作目を先に友達に借りて読んで。
その時にちらりと出てきたのが今回の2人。
あらすじ読んでもこちらの方が好みそうだったので読んでみました。
自社の再建につとめる御曹司の桐原忍は投資を持ちかけてきた外資ファンドの代表を見て言葉を失くす。
そこに立っていたのは大学時代に忍の前から姿を消した先輩・高嶺秀幸だった。
高嶺は投資の条件として、忍の身体を要求してくるのだが…。
大学時代の先輩後輩。
慕っていたはずなのに、高嶺が後輩にキスしているのを見てしまった忍はひどい言葉を投げつけて。
自分がどうしてそんな言葉を投げたのかを考えて高嶺に恋をして嫉妬していたことに思い当たって。
けれど、それがわかった時には高嶺は姿を消していて。
謝罪の言葉さえ告げられないまま。
そうして、想いだけを抱えたまま、突然の再会。
以前のようには接してくれない仕事の相手。
しかも、投資の見返りにと身体を要求してきて。
想いが噛み合わないまま、身体の関係を持つ。
一度は氷解しかけた関係もまたひどくこじれて。
それもこれも互いが臆病になって本当の気持ちを伝えることを諦めているからなんだけども…。
ベタ展開といえばベタなんだと思う。
でも、面白かったです。
告白シーンがあっさり両想いになっちゃった気がしないでもないけど、そのあとのえちシーンが甘くてステキだったのでいっか。
主人公は、経営が悪化し、買収の危機にある桐原物産の御曹司・桐原忍。
忍は、元々別の会社に就職していたが、父が経営する会社の経営状態が悪化し、請われるようにして「改革担当」として父の会社の取締役になったのだ。
しかしながら、徐々に改革は効果を表しつつあるものの微々たるもので、なかなか思ったような効果が上がらない。
そんな時に、外資ファンドから投資の話を持ちかけられる。
突然訪ねてきた彼らに、忍が対応することになるが、投資ファンドの代表の顔を見て、驚いた。
投資ファンドの代表は、高嶺秀幸という男で、彼は忍が好意を抱いていた相手だったが、とある一件から忍の前から姿を消してしまった大学の先輩であった。
しかし、昔とはまったく違う顔をして現れた高嶺は、投資の条件として、忍の身体を要求してきた。
忍の身体を蹂躙するものの、決して傷つけることはなく、強烈な快楽で忍を翻弄する高嶺。
取り引きだけの関係のはずなのに、忍はまったく高嶺のことを忘れていない自分を思い知り、忍の心は甘く疼く……
というような話でした。
ちょっと前によく似た内容の話を読んだような気がする……とちょっと考えてしまったくらい、王道なお話でした。
昔好きだった人と再会
→取り引きの条件として身体をよこせと迫られる
→了承すると、なぜかそれが気に入らない顔をされる
→無理やり抱かれる
→だんだん気持ちが相手に傾く
→相手の機嫌を損ねてひどく抱かれる
→なぜか距離を置かれる
→告白してハッピーエンド
の王道です。
悪くないです。
むしろ、好きです。
ですが、個人的にはもう少し高嶺がひどい男だったほうが萌えました。
何のかんの言って、結局高嶺は優しすぎるくらいに優しいので、ちょっと拍子抜け。
まぁ、普通は好きな人には優しくしたいものなのでしょうがないですね。
さっき言った王道パターンが好きな人なら、それなりにおもしろく読めると思います。
弟編がスイートなら兄編は切なくほろ苦いビター。
大人同士の恋愛話なので、はしゃいだ部分がなく落ち着いたトーンの話ですが、大人だなぁ!と思わせるようなスマートな話ではなかった。
何と言うか大人同士だからこそ、色々なしがらみが増えてしまって、たくさん縺れてしまっている。
赤い糸は繋がってるのにこんがらがった糸が解けて、真っ直ぐになるのにえらく時間のかかったふたり、全てがもどかしかったのです。
お互いにプライドがある。
上に立つ立場の人間どうしなので、それなりに会社に対して責任もある。
大学の先輩後輩という間柄で、一見気心の知れた仲に見えるのだけどふたりの間には何故か溝があって。
忍がその溝の原因と思いこんでいるのは大学時代に自分が高嶺に酷い言葉を言ってしまったから、だと考えているんです。
傷つくと言うよりは、その言葉によって高嶺は「自分と忍の関係はこれ以上は深まらない」と感じたようでしたが…。
そもそも忍がそんな高嶺を傷つけるような言葉(そう思い込んでる)を言ってしまった背景には、無自覚な恋心というものがあり、嫉妬から出た言葉で本心ではなく。
高嶺に向ける好意が『良い人』だな、ではなく『この人の事が好き』というのに気が付いていたら展開はまた違ったのではないかと思います。
忍の大学時代の後悔が高まった原因は、その直後から高嶺が大学を退学して音信不通になってしまったから。
自分のせいで・・・
自分があんな言葉を言ったから・・・
どうしてあんな言葉を言ってしまったのだろう?
・・・そうか高嶺の事が好きだったのだ。
しかし、その気持ちを伝えるべき人はいない。
じくじくと痛む胸を抱え、後悔のループにどハマりするのです。
高嶺が大学を去った本当の理由は別の所にあるにも関わらず…その胸の痛みを抱えていたのかと思うと不憫でなりません。
高嶺は忍の大学時代のそんな後悔の事はさして重大と考えておらず、それよりも会社の建直しに必死で『自分よりも会社』となっていて体を要求すれば差し出すような…自分を大事にしない忍に腹を立てたり、そんな腹を立てている自分にまた腹を立てたりする。
高嶺も忍も自分の本心をずっと隠してというか、語らないので気持ちが通じ合ったかと思ったらまた拗れてややこしくなり、そこは察しろと言わんばかりの理不尽な攻めを繰り出す高嶺に、察することが出来ずに混乱する忍。という部分が、あーもう!ちゃんと話あって!言葉が足りないよふたりとも!と突っ込みをいれておりました。
現在の話よりも兎に角、忍の過去の後悔が根深く、その部分が凄く印象に残っています。
それでも、期待される長男、頼れる優秀な兄という立場で、自分も本当は誰かに甘えたいのだと考える忍が、心から甘え愛しんでくれる人を手に入れることが出来て良かったと思うのでした。