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sensyuu
この度の日本語訳版小説第三巻の発売を機に、一巻から読み返しています。
こんなに寝食を忘れ夢中になれる小説があるでしょうか。
改めて読み、その面白さを3ページに一回くらいの頻度で噛み締めています。
物語は主人公である沈嶠の崖落ちスタートです。
中華コンテンツあるあるの冒頭崖落ち、これはもう
絶対の面白さを私達に約束してくれます。主人公は崖から落ちてナンボです。
そうして全身の骨がほとんど砕けるほどの悲惨な怪我を負い、生死の境をさまよう羽目になった沈嶠。
武功のすべてを失い、長い時間をかけて修練してきた内力も無くなり、そのうえ記憶も視力さえも失ってしまいます。
しかし、そのような何も持たざる境遇となってなお、品格と矜持を失わない沈嶠の生き様がひたすらに格好良いのです。
人の善性を本質とする姿勢、そもそもが穏やかで清らかな人格者であるというだけでなく、世を生き抜いていくしたたかさや冷酷さ無慈悲さ、ある種の打算が垣間見えるのが、主人公として非常に推せます。
崖落ちをきっかけに沈嶠が偶然出会ってしまったのは魔門の一派「浣月宗」の宗主、晏無師です。
晏無師は何の気の迷いか、沈嶠を助けるような真似をしてみたり、そうかと思えば次の瞬間には不意打ちで攻撃を仕掛けてきたりします。全然気も遣えないしおそらく気を遣うという言葉は彼の辞書にはありません。
横暴で気まぐれで自分勝手な俺様宗主です。でもめちゃくちゃ強い。とにかく強くてめちゃくちゃ格好良い。
沈嶠は清廉で気立ての良い人間ではありますが、ずっと道門の一派の宗主をつとめていた過去もあって、ただの人畜無害なお人好しではありません。
しかしながら、山に籠って世俗との関わりをほとんど持たなかったこともあり、いささか人を知らず世の中に通じていない部分がありました。
そんな沈嶠が、晏無師と行動を共にし彼に振り回され、世に揉まれ様々な経験を積む中で、人間的な深みが増していくのです。
また、天下の武術の極地を綴った伝説の書「朱陽策」の出現もあって、崖落ちと策略によってほぼゼロまでに減じた沈嶠のその武力にも様々な変化が訪れます。
武俠小説の一面も併せ持つ今作、武闘シーンの描写が巧みで活き活きとしています。
今にも吐血するのではというギリギリの状態で、なお手に汗握るような立ち回りを演じる沈嶠には、読んでいてとても引き込まれてしまいます。
第一巻は、晏無師と沈嶠の付かず離れずの距離感が多少近づいてきたかな?というところで一旦幕を閉じます。
心の距離感は付かず離れずですが、案外スキンシップは多いため、側から見ている人々にはいちゃついているようにしか見えないシーンも多いのが良いですね。
晏無師の一番弟子である辺沿梅とか一度完全に勘違いしていましたし。
最後に。
番外編は、沈嶠の師である祁鳳閣のお話です。
本編への理解を深めてくれるとともに二巻への期待もこれ以上なく促進してくれる素晴らしい短編です。
壮大な世界観と規格外のキャラたちを描ききっている見事な作品。
歴史、政治、バトル、冒険、人間模様などたくさんの要素が詰め込まれていてBL要素がなくても面白い。でもBL要素もめちゃくちゃ良い。
1巻は世界観や人物の紹介も兼ねられており、情報量が多く感じられるかもしれないが、それを越えた先には心が揺り動かされるような展開が待ち受けているので、是非読んでみてもらいたい。
人間の善い部分を信じ続ける美しく清らかな沈嶠(シェン・チアオ)、人間とは悪い部分が本性であると考える冷酷非道な晏無師(イエン・ウースー)。
晏無師の仕打ちには何で?となるけど、沈嶠のへこたれず前を向き飄々と淡々と生きる姿が眩しく感じました。
まだ1巻なので恋愛あれこれはないけど、酸いも甘いも知ってるお年の晏無師が沈嶠に執着がある。
沈嶠が美しいので接近しつい触る。
甘い雰囲気も吹きかける。かなり気に入ってる。
きっと出会いから物凄く気になる存在だったんだろう。
話が面白く読み応えがあります。武侠小説です。
戦います。そして2人ともかっこいい。
攻はもちろん受の危機を見逃しません。熱いです。
そして情景が美しい。
墨香銅臭作品並みに登場人物が多くキャラも立っている。
カバーイラストの2人が雰囲気にマッチしてます。
挿絵もキレイ。沈嶠が美しい。
2巻で2人がどのように変わるのか凄く気になります。知りたくて苦しいくらいだ。
この小説にはアニメ山河剣心、ラジオドラマも存在しているけど、どれも日本語版で来て欲しいです。オリジナルも日本の声優さんの演技でも聞きたいのです!