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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
KGB(国家保安委員会)の中佐×スパイ容疑の留学生・相澤和沙
捕らえた者と捕らえられた者。
ミラノでオペラの勉強をしている和沙はそこから時々、モスクワの音楽院に留学していた。
そこにはセルゲイという先生がいて、和沙はセルゲイに恋するほどに慕っていた。
が、そんな彼のスパイ容疑で捕らえられた和沙は数々の尋問にあい、それでも屈しなかったがために中佐から辱められることに…。
お互いの立場が違いすぎますから、当然対立関係にあって。
和沙はただひたすらにセルゲイを守るために自分のことはある意味捨て身で。
どんな扱いを受けようとも屈しない。
一方、中佐はすぐに根を上げるだろうと思った和沙が屈しないことに苛立ちを覚え、どうにか貶めたい気持ちが強くなっていく。
最初は本当にただただ貶めるためだけの関係。
それが、中佐が和沙の歌を耳にしたことで変わっていく。
それは中佐の過去の苦い思い出とも通じるもので。
和沙の容姿などもそれらとの相違点があったりで、次第に歌の世界へ和沙を戻したくなる。
和沙はそうして中佐が自分の向こうに何かを見ているのを知っていって。
それぞれに確かに傾いていく気持ちがあって。
しかし、それを口にできる状況では当然なくて。
口にできなければ相手がどう想ってるかなんてわかるはずもなく、お互いに片想い状態。
最後の方で物語が動いて。
口にすることはなかったけれど、確かに気持ちが通じ合った瞬間があって。
それがまたその後の生きる糧になっていく感じで。
その後の2人が書かれた「マクシミリオン」では中佐のやらかしたことに対する事後処理的なことも最後に明かされていて。
それは和沙に伝えられることはなかったけれど、それほど想いを持って和沙を愛していたんだなぁと。
和沙は和沙で6年経ってもダサイと言われても髪型や服装を変えず。
そうして、本名も知らない男を想い続けてきたのはやっぱり強い子なんだろうと思います。
時代が変わってもそれぞれの立場はずっと一緒にいられるものではなくて。
それでも、「何かあった時は」と交わされる約束を信じられるのはそれまでのことがあったからだろう。
2人にとっては何もかもが「奇跡」だったと思う。
出会えたことが奇跡。
死ななかったことが奇跡。
再会できたことが奇跡。
「奇跡」もこれだけ続けば「運命」のような気もしてくるくらい出会うべくして出会ったようにも感じられます。
最近、二段組みに巡り会う率が高くて嬉しいです。
ですが……
途中で挫折するかと思った。
結構堅い話が好きな私ですが、なんだろうな?
入り込めないのか、どうにもこちらが盛り上がれない。
先がどうなるんだ?って感じで急いで読み進む勢いがでない。
ありやぁ~駄目だぁ……と思ったとたん、いい感じになりました。
これはかなり放り出してしまう人がいるような予感。
何がいけないのか?
考えたんですが、よくわからない。
よくわからないのがそもそも問題なのかも。
作者も後書きにて話していますが、この話を形にするまでには紆余曲折があったようで、世間に出るにはあれもこれも手を加え品を買え……が必要だった模様。
わかります。
かなりの長編をページ数の規制に当てはめたら偉いことになることは想像が付きます。
と言うことでその作業に四苦八苦だったらしい。
作者自身も何が何だかわからなくなったという話だったので、どうやらそれがこちらにも伝わったみたい。
つまり読むこちらもとっちらかってよくわからない。
たぶん編集さんも駄目出ししてるうちにわからなくなったと予想します。
ストーリーはそんなに小難しい話じゃないはずなのに、攻めの感情というか、人柄さえ伝わってこない。
それがようやく勢いが付いたのは後半になってから。
長い長いお話の残り少々で俄然いい感じに。
我慢して読んでてよかったて感じです。
我慢て……Aha
お金出してる読者に我慢させちゃいかんでしょ。
でもラストはちょっと泣けてくるほどよかったのですよ。
だからその辺は帳消しで@おまけ
舞台はモスクワ。
まだベルリンの壁が存在する時代のお話です。
……ここで挫折する人もいるでしょう。えぇ、わたしもそのうちのひとりでした。
小難しそうーーーーー…と、ね。(汗)
いや、話は結構単純なんです。
閉鎖的な監獄で陵辱を繰り返し、そしてそこに『人』としての魅力を感じるという、一種のストックホルム症候群のような?あくまでような?です。気分を害された方がいたらごめんなさい…。
亡命に協力したとして拘束された和沙。
国外追放で済むと思われていたところ、監獄へと送られそこで拷問といえるべき尋問を受ける。
このとき中佐はすでに和沙に特別な感情を抱いていたんでしょう。
執拗に迫ったのも、裏返し。
何度も危機があり、いつ死んでもおかしくない状況のなか、二人は惹かれあい…自分の身は省みずお互いを守るべく行動します。
たくさんの奇跡で再開を果たした二人。
運命の巡り合わせは二人を幸せへと導いてくれるでしょう。
読むのにちょいとばかし根気がいりましたが…軍服の素敵さで最後まで力つきることなく読めました。
中佐のツンデレ紳士具合が楽しかったです。