花降り積もる春の日に

デビュー作でこの読み応えはさすが。

綺月陣先生のデビュー作。
最初の読み心地から、素敵な出会いからスムーズに成就する系の恋愛ストーリーなのかなと思っていたら、思ったよりビターな展開でした。

上司×部下
幼なじみ浩司への失恋を引きずっている春来(受け)が異動先で出会った新上司・園田部長(攻め)
初対面では電車で痴漢の被害にあった春来を助けてくれ、仕事先でも特別優しく、距離が近い部長に戸惑いを覚えるが…と始まります。

春来が徐々に部長に惹かれていく様子もリアルですし、幼なじみとの無自覚共依存のような関係の清算も含まれていて驚きました。
新婚旅行の後、奥さん放って春来の様子を見に来る幼なじみも大概よな…。この人はこれからどうするんだろう、なんて心配になっちゃいます。

春来と部長もなりふり構わずぶつかり合ったり、綺麗な恋物語だけに収まらない描写が好きでした。物語への個人的な萌えとしては萌評価ですが、デビュー作の完成度としては素晴らしいと思います！