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ousama wa binan ga osuki
“天才と何とかは紙一重”を地で行く榎本。もう言うことなす事はちゃめちゃ? 天然とも違うし、どちらかと言えば電波系に近いものがあります。会話のかみ合わないこと、かみ合わないこと。行動も予想外。そこがまた面白いわけですが。
「一目惚れです」と言って真琴に迫り、すぐに「恋人になってください」って言うわけです。信じられない真琴は「心を見せろ」と。
当然ですよねぇ、真琴の反応は。と言っても「心を見せろ」と反撃する真琴も、ちょっと変わってるかもしれないけれど。
そんな真琴に榎本は、いったい何を見せたのか。私は「何だそれ」と思ったけれど、榎本の言うのも「そうだなぁ…」と思わず納得出来たし、そう言う発想をする榎本も独特な感性の持ち主だなぁ…とも思いましたが。
こうやって迫ってくる榎本を拒否し、真琴が榎本を突き飛ばした拍子に、真琴の父の思い出が詰まったプラモデルを壊してしまいます。
お詫びだと言って榎本が持ってきたプラモデルが、プラモデルチャンピオンの優勝者だけがもらえる幻のプラモデルだったことから、榎本が小学生の時にその大会で優勝した真琴が憧れた少年だったことに気が付いたのです。
でも、榎本はその大会で優勝したことで家庭が崩壊し、いい思い出ではなかっんですね。
それでも、プラモデルの世界から離れることは出来ずに今の会社に就職し(T大卒なのに!)、不本意ながらも王様(キング)と呼ばれているわけです。
さて、以前から狙っていたアニメのフィギュア化の仕事が舞い込み、でもそれは、1週間で見本を作って持って来いという、かなり乱暴な仕事で。
真琴と榎本の、一緒にやった初めての仕事…と言うところでしょうか。設計図を書いている間中、そばで模型を作ったり、食事を差し入れしたり、甲斐甲斐しく榎本を手助けします。
そして仕事が無事に終わったあとの初H。マニュアル本を何冊も読んだ榎本が、頑張っています。
手先が器用な榎本と、味付けとかが得意な真琴と2人で作る餃子。真琴が味付けしたものを包むのは榎本。もう、これ以上ないくらいの割れ鍋に綴じ蓋カップル。
後半は榎本視点。
真琴と恋愛するようになって、今まで思わなかった事を、考えるようになった榎本。自分と誰かを比べることなど皆無だったけれど、真琴に紹介された黒須の出現は榎本を混乱に陥れるのでした。
嫉妬からケンカまでしちゃって…。まぁ、雨降って地固まるで終わりますけど。
ラスト、誕生日に欲しいものは?と聞かれ、「自分がもうひとり欲しいです」と真面目に答える榎本。なぜもうひとりかというと、Hのときにあちこちから真琴を眺めたいからなんですよね。しかも3Pだって妄想して『楽園(パラダイス)』って言う榎本って…。はい、ムッツリの中年オヤジそのものでしょう。
本作も、鳩村衣杏先生お得意の「お仕事BL」の系譜に連なる作品だと思います。
今回は、製造現場と営業職がぶつかって、でもお客様と同時に自社のためにも一丸となって納期厳守・品質厳守で頑張る姿が背景になっています。
ここでの舞台設定が上手いなあと思うのは、製造は製造でも、モロ「工場」というガテン系ではなく、玩具メーカーのプラモデル製造が舞台で、主人公が模型部の設計デザイナーという所。
二次元のキャラクターを完璧に線におこし、三次元でアニメよりもカッコ良く見せて尚且つ動かせるモノを紙の上に創り出す、それはある意味芸術家的でもあり、職人のようでもある。
そんな玩具メーカー「ミズハタ」のカリスマ設計デザイナー榎本太郎が出会ったのは、同社中途入社営業社員の各務真琴。
真琴の顔カタチに感動した太郎は真琴に身体を見せてほしいと迫り、断られると恋人になってくださいと頼む。恋人になれば身体のアウトラインが見れるという論理らしいけど。
そんな無茶な出会いとお互いノンケという壁があるのに2人は無事にくっつくわけですが、そのきっかけが超人気アニメ「ソウル・デストロイヤー」グッズに関する各務の無理営業。試作品の納期が超タイトで、工場と営業が対立します。
この危機を救うのが天才太郎。徹夜を続け完璧な設計図を完成させ、工場がそれを元に現物を作り上げ、ついにグッズ販売をミズハタが扱うことに決定した…
その太郎の姿に真琴も惹かれ、素直に太郎の恋心(と性欲?)を受け入れて2人は恋人に。太郎はキスもHも上手いそうです。
「王様は楽園を夢見る」
空気も読めず、他人も自分のことすら余り興味のない太郎。
そんな太郎が真琴との初デートの時に同席した真琴の知人に、初めて嫉妬を覚えて…
真琴と恋をして、段々人間らしくなっていく太郎が描かれた一編です。
(と言いつつ、Hでアレもコレもできるようにもう1人自分が欲しいと真面目に考えている太郎。)