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本書を手にしたきっかけは全然覚えていないのですが、この中に収録されている作品を読んで心を鷲掴みにされました。(→作者様にハマる)
表題作「夏草の檻」と「月の裏で会いましょう」が収録されていて、同時収録作品の方が表題作よりも先でしかも長いという、何もかも型破りな感じ。たまにありますよね、どうしてそっちをタイトルにした?っていう笑
2007年にフランス書院さんのLAPIS more文庫から刊行されている本書ではありますが、収録作品はどちらも1990年代、雑誌掲載初出の過去作品です。(「月の裏で会いましょう」1998年小説花丸冬の号、「夏草の檻」1995年小説オヴィスVol.2に各々加筆修正。奥付より)
なんとなく読みはじめてエンディングに泣き崩れてしまったのは、「月の裏で会いましょう」。記録に残すために再読してまた泣いてしまいました…。
小児喘息で入院している中学生の快人と、窓側向かいの病室の患者、三島(通称・悪魔)との短い交流を描いたお話です。
三島が悪魔と呼ばれているのは、彼の真っ赤な髪と蛍光ピンクのソックス、ポップでド派手な見た目なうえに看護師へのセクハラで要注意人物の患者だったから。快人は快人で、ヒッチコックの『裏窓』よろしく双眼鏡で病室を覗いては看護師に怒られていたけれど、とにかくヒマでしょうがない入院生活中に知り合った二人でしたが…
叶えられなかった秘めた恋心を描いたお話なので、ハッピーエンドではありません。当人も、おそらく傍観者も生涯忘れられない切ない思いがサバサバッと明るく描かれているからこそ、一層深い悲しみを感じてしまう。最後、三島から快人への手紙がギュンギュンと胸に刺さり、泣けて泣けてしかたがありませんでした。こんなに切なすぎるお話、反則です…
「夏草の檻」は、幼馴染み高校生同士のかなり病んだお話。幼馴染み・夏己から理不尽な暴力を受ける「ぼく」。夏己は学校でも「ぼく」のことを変態だと吊し上げのように虐めているけれども、たとえ仲間であっても夏己以外の人間が「ぼく」に手を出すことを許さない。それが密かな伏線だと後にわかります。
二人が子供の頃、夏己のせいで「ぼく」の顔に疵痕が残ってしまい、以来夏己は「ぼく」に支配され続けています。もう一人の幼馴染み・ともみは「ぼく」の味方で、二人が心理的に支配・被支配の関係にあると気づかないまま、夏己を懲らしめるために彼のオートバイに細工をして事故を起こしてしまいます。彼女がタンデムシートに「ぼく」が同乗する可能性を全く予想しなかったために、悲劇を生むことになるとは露知らず…
その後はある意味ホラーです。夏己は無意識に「ぼく」を恐れ、支配され続けることを望んでいる。「ぼく」に罪悪感を感じながら「ぼく」を責める夏己…。歪んだ共依存を端的に描きあげた短編ですが、二人の関係性はSM的な心理に近く、淡々とした中に凄味があってゾクゾクさせられます。
作者様の初期作品を読んでみると、やはり叶わなかった、あるいは叶わなそうな恋を描くのが上手いな〜と思います。こういった作品を書いちゃうのに、作品数が進むとあらぬ方向(主に笑い)へどんどん脱線していくところも大好きなんですけどね笑
表題作の暗さときたら!
神にしたいぐらい好きでしたが、いちおう萌えで。
榊さん、今じゃ絶対にこういう作風の作品は書かないんだろうなと思います。
けど、こういう作品を書ける方だからこそ好きなんですよねー。
歪んだ愛のかたち。
救いのないラスト。
私好みのJUNEっぽいダークさが詰まっていました。
支配されてるように見える側が実は支配しているという下克上的構図って、なんでこんなにゾクゾクするんだろう。
『月の裏で会いましょう』
こちらは感動して泣きました。
ぜんそくで入院中の中学生が出会ったのは、お調子者の18歳。
この18歳が、榊さん特有の俺様くんでした。大好きなキャラ造形。
彼とのやりとりを通して、主人公の中学生は少しだけ成長します。
チャラチャラと冗談ばかり言ってる18歳が泣いた理由、切なすぎるよ。
電子書籍にて。
挿絵はありませんでした。
短編が2本収録されていました。
「月の裏で会いましょう」
病気で入院中の快人は、双眼鏡で他の病棟の部屋を覗き見るのが毎日の日課。
ある日、向かいの窓の病室に真っ赤な髪にピンクの靴下を履いた患者さんを見つけます。
その男は、看護師から「悪魔」と呼ばれていて…
孤独な少年 快人が、三島との出会いによって変わっていきます。
甘酸っぱい青春の1ページみたいな、国語の教科書に載っていそうなお話でした。
「夏草の檻」
主人公の少年がとても病んでます。
ロックオンされてしまった夏己がお気の毒…
見えない鎖で繋がれて、もう一生逃してもらえないのでしょうね。
暗すぎるお話でした。