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mukunaru elf ha syuchakuou ni teorareru
今作をもって、一年の休筆期間に入られるとのこと。レーベル創刊2周年記念の寄稿作品は、王とエルフのプチファンタジーです。
子供の頃、王妃となった実母の側近によって崖から投げ落とされ、亡き者とされそうになった少年。エルフたちが住む集落に保護されて一命を取り留めます。そこで彼のお世話をしてくれたのが、リーアムでした。
エルフの村は人間との棲み分けのため、村を訪れた人間の記憶を消すのが掟。リーアムにヒトミと名付けられ懐いていた少年も、エルフたちと過ごした記憶を消され、人間の住む場所へ帰されたのですが…
いやぁ、、攻めがなかなかの執着っぷりをみせてくれるあたりからゾッとするような怖さも味わえちゃったりするので、優しくてほっこり系のお話を予想していたら裏切られるかもしれません。
神や精霊に愛され、平和で清らかな種族であるはずの受けも、閨事の味を覚えてから淫乱に貪る落差が素直でよろしい…笑
これ、意外と羊の皮を被ったアダルト路線ではないでしょうか。最後までサクサクと読み進められるものの、終盤はなんとか健全さの仮面を保っている感じです。もちろん楠田先生なのでダークにはなりすぎませんが、演出によっては仄暗い淫靡な執着ファンタジーになりそうな気がして、読後妄想が広がりました。
狂気スレスレの片思い、無垢と無知の遠い隔たり、愛の定義のグラデーション。そして、この世にたった二人きり、激しい体の交わりだけで繋がっているかのようなエロス。すっきりとまとめ上げられた中に様々なメッセージが凝縮された、切ない仇討ちラブでした。
またお元気で復帰されることを願っています。