【書き下ろしSS付き】【イラスト入り】
sotto, zutto.
可愛らしいお話なのですけれども、どうも乗り切れなかった部分がありまして。
受けさんの守屋九朗は生まれてすぐに父を亡くしました。会社を複数経営している斎賀家で暮らしているのは父と斎賀氏が親友だったため、母を住み込みの家政婦として雇ってくれたから。ところがその母も(6歳位の時だと思う)事故で亡くなってしまい、そのまま斎賀氏のところで暮らしています。
斎賀家の次男惟武(6歳上、攻めさん)は九朗が大のお気に入り。大学を卒業する九朗を半ば無理矢理、自分(彼は父の会社のひとつの経営を任されています)の秘書にしてしまいます。小さな頃から惟武が大好きで側にいたいと思っている九朗は惟武の役に立ちたいと頑張りますが、自分が何を求められているか解らず、惟武の叔母や兄が求めるまま彼に見合いを勧める役割になってしまって……
で、なにがひっかかったかと言いますと……
まず一つ目。
惟武の叔母が長きにわたって九朗をいびり倒した結果なのかもしれませんが、九朗が何故にこんなに『自信のない子』なのかが良く解らないのです。
また、違和感があるのは九朗が『自分は惟武に我儘ばかり言っている』と思っている事なんです……私にはどこの何が我儘なのか解らなかったんですよ。むしろ「我慢しすぎなんじゃないの?」と何度も思ったくらいで。
この辺のね、九朗の心情がどうも理解できなくて。
次にふたつ目。
惟武の溺愛ぶりは周りにもダダ洩れだったようで。だからこそ、惟武の秘書の働きで彼らは互いの気持ちを知ることができたわけなんですけれども。
父と兄がそれをどう考えていたのかが、よくよく考えてみると黒い!感じ。
惟武の気持ちを解っていて釣書を九朗から渡させる兄。
惟武の気持ちを薄々気づいているのに(本人談ではないですがね)惟武には何も言わないまま、九朗の就職先を決めようとした父。
これって「やっぱゲイはまずいよなー」なんですかね?と思っちゃったんですよ。ふたりとも九朗を可愛がっている様だったので、逆に怖かったんです、これ。
『恋愛小説は書けない』の頃から雨月さんが好きなんですけれど……うーん。