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俺に触れられるのは、嫌じゃないか?
hana wa youkan ni torawareru
アルルノベルズより、松幸かほさんの「華は洋館に囚われる」です。
絵師買いの一番の利点はやはり、普段読まない作家さんを開拓できることでしょうか。この本の作者様である松幸さんもまたそのひとりです。
大正時代、華族だとか成り上がり貴族だとか…好きですこういう設定。
受けの皐月の袴姿がまた良い!o(≧∀≦)o
攻めの小田切のへたれ具合ももうたまりません。莫迦で~こいつ(←失礼・・・)と思いながら、顔がにやけてしょうがなかったです。また相手役の皐月も身体が弱いという設定なので一見か弱そうで儚げに見えてその実、芯が強いというか良い具合に男なんですよねぇ。そう言うとこが好きです。
没落貴族の借金を肩代わりするために、見初めた相手を手に入れる……
BLものでは結構よくあるパターンです。手にいれた後は攻めが「お前は金で俺に買われて来たんだから・・・」と人を物として扱うような言い草で貶めて躯を好き放題する・・・と言う感じの話が定説ですが、この話に出てくる攻めの小田切はそういう人たちとはちょっと違います。
皐月に一目ぼれし、彼の実家が借金で苦しんでいるのをしると、家を助けると言う名目の上、実質金と引き換えに皐月を手に入れると言う手段を講じるのですが、実際皐月に来たら来たで金で買ったという引け目からかどういう扱いをすればいいのか判らず、皐月が気に入りそうな贈り物を毎日のようにしてみたりするんですよ。
家での扱いもお客様扱いで手も触れない。そんな感じだから皐月は大切にされているのはわかるけども相手にもされていないと小田切が自分をここに呼び寄せた深意がつかめなくて困惑するしまつ。
そんな風に大切に大切にしているかと思ったら、なかなか相手が出来ない自分の代わりにと世話を任した自分の秘書と皐月が中睦まじく世間話をしているところを物陰から見て、自分の相手をしている時とは全然違うその様子に嫉妬心を覚えよった勢いで皐月を陵辱。
さらに嫌われてしまったと落ち込むんですよねほんと莫迦です(笑)
作者様があとがきで小田切のことを「キングオブへたれ攻め」だとおっしゃってますが、本当に限りなくへたれで笑ってしまうほど。日本人、特に男性は自分の気持ちを表現するのがへたくそだとよく言いますが小田切は下手すぎですよね~^^;)
そんな具合だからなのか、想いが通じあった後、小田切の皐月の甘やかし具合と言うか可愛がりようがこれまた笑えます。
小田切さん、皐月が可愛くて可愛くて仕方ないのは判るけど、壊さないように気をつけてくださいよね体弱いんだからさ。
時代もの・華族・借金の肩代わり・・・
設定はこれでもかというくらいの『王道・テンプレート』ではあるんですが、思ったよりよかったです。
とにかくキャラクターがこのテの『王道』を外れています。
小田切(攻)が、ヘタレ!ものすごいヘタレです。ただ、私は『ヘタレ攻』大好きなんですが、この小田切は『好みのド真ん中』とはちょっと違いましたね。
展開もちょっと意外と言えば意外です。
『金で買われた妾だから』と覚悟してやって来た皐月(受)を、真の気持ちはともかく『お前は俺が買ったんだ』と好き勝手する流れなら『あぁ、はいはい。またですか・・・』としら~っと読み飛ばしたでしょうが、小田切は借金のカタに皐月を手に入れたものの、壊しそうで手出しできない。それどころか何もできない・・・いやヘタレ。
このあたりはいいんですけどね。いくらどうしていいかわからないからってずっと放置はどうなんだ。
いえ、自分が構えない分秘書の坂下を代わりにご機嫌伺いに差し向けて、手当たり次第に贈り物をして・・・
確かに『何もしてない』わけじゃないんだけど、でも小田切自身の言葉(も行動も)がないんですよね。皐月にしてみればまさにわけがわからない状態でしょう。
揚げ句、自分が計らったにも拘らず皐月が坂下に笑顔を見せるのに嫉妬して無理矢理です。
なにせヘタレですから、そのあと自分の所業を気に病んで『皐月に嫌われた』と落ち込んでみたり。
まあ『無理矢理』に関して大した反省のない攻が多いことを思えば小田切は真っ当なんですが、私はこの『無理矢理』から始まるラブが大キライなんでそこがなんとも残念でした。
ただ、冒頭いきなりではなかったので、皐月はその前から小田切に好感は抱いていたという流れがあるあたりでまだマシではありましたが。
それでも、小田切をここまでの『キングオブヘタレ』にしたんなら、いっそ最初から最後まで貫いてくれたら!この『無理矢理』がなければ、起伏はなくてもほのぼのとした可愛いストーリーだったんですけどね。
それにキャラクターは結構よかったんです。小田切も皐月も(脇ですが)秘書の坂下も。
まあでも、トータルでは悪くはなかったです。なんだかんだ言ってもヘタレ好きなので。