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koneko wa koi ni amaku kamitsuku
雪代さんは大好きな作家さんです。『年の差(年上攻)』『高校生受』も大好きです。なのに、意外なくらいに楽しめませんでした。
読んでいて誰の作品だかわからないくらいで、雪代さんのよさがどこにもない。少なくとも私には一切感じられませんでした。
まず、沢渡(攻)が『大人』じゃないですね。実年齢(と仕事面)はともかく、10歳以上差のある大人×高校生のよさが感じられませんでした。残念極まりないことに。
未知(受)は、まあ雪代さんテンプレートとも言える『不憫な健気受』ですが、ちょっと違うとすれば結構強気(ツンデレ?)なところでしょうか。内面はそうでもないんですけどね。
その不憫の背景も、相変わらず勝手な大人(ここでは母親)かあ。でもまあ、そこはそういうものとして流せます、まだ大丈夫。
それでも、表題&2編目のあまあまSS『仔猫はチョコにとろける』はまだいいんです。いっそこれだけで、表題をもっと長くSSが後日談というのなら、最低でも『萌』は行ったと思います。
とにかく3編目の『仔猫は恋に惑い満ちる』がどうしようもなかったですね。
まず、沢渡の元彼・和名が、私がものすごくキライなタイプ。当て馬としてはもちろん単なる脇キャラクターとしても。生理的にイヤ、虫唾が走るというヤツです。
たとえどんな同情すべき事情があっても、他人に、ましてずっと年下の元彼の恋人に八つ当たりするのは筋違いもいいところ。現在進行形の三角ならまだしも、完全に終わった関係で我が物顔に振る舞うってだけでもうダメです。
しかも、沢渡がなぜ和名を一時的にでも同居させるのか。
過去に一点の曇りもない『友人同士』なら別ですよ。そこから誤解でぐるぐるってのも王道ですが、それならまあいいんです。
でも、確かに恋人関係にあった、そしてキッパリ別れた相手をどんな事情があれど同居させるのは無神経に過ぎるでしょう。そこに未知が日常的に出入りする状況があるにも関わらずです。
沢渡がまったく何も考えてないというか感じてないなら、結果は同じでもまだ(あくまでも比較で)理解できますよ。どちらにしても無神経には違いないんですが、どうせならまだそのほうがマシ。
でも、沢渡は未知が気にするだろうこともわかっていて最初に確認してるんですよね。でもそれもねぇ・・・『君が決めたらいいんだよ』ってずっと年下の高校生にそんな決断を押しつけてどーすんだ!
そこで感情のままに我儘を通せる子ならまだいい。でも未知は違うでしょう。沢渡はそれも理解してるはずなのになぜ!となんとも気分悪い。
なんかもう沢渡にも和名にもハラ立つばっかりで、この3編目はストーリーなんか吹っ飛んでましたよ。いや、改めて見直しても内容としてはホントたいしたことはないんですが。
3編目があまりにも不愉快だったので、トータルでも今ひとつでした。最後にこれ持って来られたら、読後感悪くてしょうがなかったです。これだけなら迷わず『しゅみじゃない』でしたね。
雪代さんの年の差モノは好きなんですが、この作品はどうもあちこちに雑さが目立ちました。
可愛い顔をして堅物生徒会長の高校生・未知〔受〕が捨て猫を拾って、獣医の所へ連れて行きその獣医が沢渡〔攻〕だった訳です。
猫は拾っただけで自分はもう関係ないと堂々と言う未知の世間知らずっぷり。
まあ猫は、沢渡が里親が見つかるまでという条件で自宅で預かってくれる事になるのですけどね。
その代わり、毎日子猫の様子を見に来る事という条件を付けられてしまいます。
未知は高校生なのに一人暮らしをしていて、それは彼の母親が恋愛に自由奔放な女性で数度目の再婚をした相手が外国で仕事をしているのでそれに付いて行ってしまっている。
けれど未知はそんな母親が大好きで、親戚に彼女の悪口を言わせない為にも良い成績をとろうと頑張り、また生徒会長の仕事も手を抜けずその両方を必死で頑張ってます。
そんな未知が唯一、甘やかして肩の力を抜かせてくれるのが沢渡。
未知の融通のきかない生真面目なツンデレっぷりや、それを甘やかしてやれる沢渡というキャラ設定自体は悪くないんですが、どうも色んなところで話に雑さがありました。
未知の母親を自分は自分勝手な嫌な母親だと思ったんですが、反省する事もなくあっさり解決しちゃうし。
あとポトフはそんなにかき混ぜないで作る料理だと思うし、そういう細かい点がやたら雑でした。