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cola to ice tea no kyoukaisen
冒頭、お話の導入部分の緊迫感が凄いんですよ。
もう、ぐいぐいつかまれちゃう感じで目が離せなくなる。
うだるような暑さ、流れる汗、苛つくほどの蝉の声、本来なら丞が住んでいるアパートがあるはずの場所に設置されている駐車場に佇むふたりの描写だけで、このお話がいわゆる『記憶喪失もの』であることもさりげなく解らせてくれて、まさに「つかみはオッケー!」なんです。
お話は丞の恋人である瀬戸視点で進みます。
丞が20歳、瀬戸がは30歳。
10歳の年齢差があるんです。
で、丞は事故によって4年分の記憶をなくしてしまう。
つまり16歳まで戻っちゃうんですね。
これ、瀬戸が丞と同世代ならとんでもなく動揺した語り口になると思うんです。でも年の差が大きいですから。
あまり取り乱していないのが余計悲しいって言うか、その辺も良かったんです。
私が「うーん残念っ」って思ったのは、このお話、丞の記憶障害と同じくらいの重さで『事故以前から丞が引きずって来たトラウマ』についてが書かれるんですけれど(って言うより、こっちのトラウマの方が話を引っ張る中心なのかもしれない)そのトラウマの解消というか、昇華する部分が冒頭の『つかみ』部分よりもグサッと来ないんですよ。
「本当ならこっちが主のはずなのに……」って、欲求不満が残るんですよ。
クライマックスにもっとドッカンドッカンと、どデカい萌えを期待しすぎちゃったのかもしれません。あちらこちらで可愛らしい小さな萌えはひろいあつめられたので、何となく悔しい読後感でした。