デッドライン

dead line

デッドライン
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×20
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
6
評価数
2
平均
3 / 5
神率
0%
著者
千葉雅也 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
出版社
新潮社
レーベル
発売日
価格
¥1,450(税抜)  
ISBN
9784103529712

あらすじ

もったいない。バカじゃないのか。
抱かれればいいのに。いい男に。

修士論文のデッドラインが迫るなか、「動物になること」と「女性になること」の線上で煩悶する大学院生の「僕」。高校以来の親友との夜のドライブ、家族への愛情とわだかまり、東西思想の淵を渡る恩師と若き学徒たる友人たち、そして、闇の中を回遊する魚のような男たちとの行きずりの出会いー。

21世紀初めの東京を舞台にかけがえのない日々を描く話題沸騰のデビュー作。

表題作デッドライン

行きずりの男たち
僕,大学院生

レビュー投稿数2

ゲイの眼差しはカーブしている…らしい

ゲイであるとカミングアウトされている千葉雅也氏の、2019年発表の初の小説作品。
野間文芸新人賞受賞作。

内容は、限りなくご自身をモデルとしているような「僕」が主人公。
「僕」は哲学を専攻している大学院生で、ゼミに出たり、卒論のテーマに迷ったり、書き出したり、行き詰まったり、友人と交流したり。
それと並行して、ハッテン場に出入りしたり、二丁目に飲みに行ったり。
その2つの行動を交互に淡々と書いている…という作品。
哲学専攻だから哲学の命題のような記述も多く、そこが結構面白い。
「僕」は元々地方都市の個人企業の社長の息子。
東京での一人暮らしの部屋は広くて、院の友人や行きずりの男などもよく招き入れます。HIVには過敏だけど家には入れちゃうの?
ハッテン場での誘い/成立のお作法は興味深い。
「僕」は、別に恋愛は欲していないようで、ロマンチックな場面や濡れ場はナシ。
本作のラストは、父の会社が倒産し、同時に自分の論文も間に合わず、小さな部屋に引っ越して一から出直し、という土壇場になってやっと世間の線/ラインとの距離を測って動くのではなく自分が「線」そのものにならなければ、という事に気付く「僕」の姿。
同様に、名もなき河川敷の陰で黙って男の後に付いて歩く「僕」。その後ろにもまたその後ろにも男が線のように歩いてくる…
多分…デッドラインとは「僕」にとっては循環する円の線。論文と行きずりだけの世界の先が見通せない感覚、そんな気がしました。

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ハッテン場の描写が印象的

ちるちるのBLニュース『図書館で読めるBLっぽい文学』で紹介されていて、匂い系大好きな私は飛びつきました。
この本は匂い系というより、ゲイ文学でした。

大学准教授で哲学の本等を書かれている千葉雅也氏のデビュー小説です。
大学院生で修士論文に取り組んでいる"僕"が、友人達や家族、指導教員、ゲイタウンやハッテン場で出会った行きずりの男たちとの関わりを淡々と綴った物語でした。

僕が哲学を学んでいるので哲学者の名前が結構出てきます。
講義の場面では哲学的な議論が交わされていて、ちょっと置いてけぼりな気分になったりします。
一見無関係そうな"哲学"と"ゲイ"ですが、本文中に
「同性愛を生きる不安から、現代思想は助けになってくれた」
とあり、ほぉ〜と感心というか目から鱗というか、そういう考え方もあるのだなぁ、と。

あとゲイバーでのやり取り、ハッテン場での動きがリアルで、実際にこうなのかなぁと興味が湧いてしまいました。
特に、ロッカーの鍵を左右手足、どこにつけるかでタチ専・ウケ専・リバを示すという文章。
なるほど〜と感心しちゃいました笑
ちなみに"僕"は「ウケ寄りリバ」らしい。

萌えの点ではあまり無いのですが、昔からの友人(ノンケ)と行くドライブ。
全く色っぽくはないのですが、ブロマンス的な香りを感じました。
あと、ハッテン場で出会った"職人"ね。あの人とステディな関係になれば良かったのになぁ、なんて勝手に残念がってしまいました。

起承転結がしっかりとある物語ではないので「それで?」っていう印象もありますが、ここに居る姐さん方には所々刺さる箇所もあると思われます。

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