S捜査官は跪かない―Dom/Subユニバース―

s sousakan wa hizamazukanai

S捜査官は跪かない―Dom/Subユニバース―
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神26
  • 萌×214
  • 萌6
  • 中立0
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
10
得点
204
評価数
49
平均
4.2 / 5
神率
53.1%
著者
手嶋サカリ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
電子発売日
価格
¥690(税抜)  
ISBN
9784778131753

あらすじ

人を支配したい“Dom"とされたい“Sub"、D/Sと呼ばれる性向を利用した犯罪が、疑似的にD/Sプレイを楽しめるドラッグ・アポロと共に急増。警察官の静は麻取と合同の対策本部に配属され、厚生労働省官僚でDomの櫛田と組まされる。無表情すぎて何を考えているか読めない櫛田を持て余していた静は、手配車両を捜索中アポロを摂取してしまいSubに覚醒する。櫛田は発情した静を助けるため“命令"を下す。屈辱的なのに征服されることに静は喜びを感じてしまい…。

表題作S捜査官は跪かない―Dom/Subユニバース―

医師資格を持つ厚生労働省官僚,Dom
29歳,特殊性向犯罪対策本部に所属する警察官

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数10

攻の関西弁が素敵なDom/Subもの

表紙に惹かれて購入しましたが、手嶋サカリ先生!プライベートバンカーですごく好きだなーと思った作家さんでした。

性別とは別に、支配欲と被支配欲があるDomとSubどちらでもないNomalに人間が分かれているということが近年判明した世界。受の静は警察官。Dom Subを擬似体験でき、元々Dom Subの人はその傾向が強くなり快感が強烈なものになるセックスドラッグを追う対策本部に、エリート官僚の櫛田とペアで動く事に。その中で静は誤ってドラッグを吸い込んでしまい…というお話。

事件の真相までのお話も面白く、真犯人が思ってもなかった人だったので驚きました!
BL面では、Domの櫛田に助けられて惹かれていく静の様子が分かりやすく描かれていて良かった。普段標準語の櫛田がプライベートでは関西弁で、それがすごくえち面で効いて色っぽい!

甘いSM的な関係なので、初心者でも読みやすそうと思いました!

2

エリート官僚とエリート警察官のDom/Sub

Dom/Subユニバースが好きでコミックスでは色々と読んでいましたが、小説では初めて読みます。
どんな風に表現してくれるのか楽しみでしたが、結論としてとても面白かった!
しかも、設定は好みの警察もの。サスペンス。犯罪の謎解き的な。

主人公はエリート警察官の羽田静。
勿論本人が優秀なんだけど、彼は実は国会議員の庶子。周囲も皆知っていて七光りと見られている。
そんな静だが、父親の息のかかったDom/Subドラッグ捜査の特捜班で現場を知らぬ厚労省のエリート官僚・櫛田と組まされる事になり…

捜査中のアクシデントでドラッグを吸い込みSub性が覚醒してしまった静。
不安定な体調と、Domの櫛田との関係性はどうなる⁉︎
そして、ドラッグの元締め組織を摘発し壊滅できるのか⁉︎
…とストーリーはスリリングに進んでいきます。

性欲とは違う支配されたいという欲望。
擬似パートナーを申し出てくれた櫛田との「プレイ」は、セックスはしないという櫛田の言葉に反して非常に性的。
プレイでの快感に酔い、冷徹な表情の下で優しい思いやりを見せる櫛田に惹かれていく静。
だけど、櫛田にも過去があるわけです。
櫛田が好きだけど、心を抑える静。
同時に恩田というSub患者がドラッグ組織に絡んでいる事がわかり…

この辺で犯人はわかってしまう感じなのですが、この後静が犯人に無理矢理薬物を使われてプレイ以上の行為/ほとんど強姦/コマンド、をされてしまう描写あり。
心と体が引き裂かれる静の描写は迫力十分。
また、恋人になってDomの発情を迎えた櫛田のリアルなセックスはかなりねちっこく、こちらも迫力十分。
普段クールな櫛田が柔らかな関西弁を使う時。それがプレイの序章。
この設定もなかなか効果的だと思いました。

1

ある意味純な二人

Dom/Subはコミックス、小説共に経験無しで、こちらが初めて読んだ作品です。
そもそもオメガバースは刺さらずで、最初は小難しい設定やなー、どうかなー、と読み出すまでが長かった…。ついつい後回しにして他の作品を読んでしまったり(笑)

で、読みだしたら意外とスルスル進んで、警察ものというのもあり、挿絵のDom(攻め?)がイイ男ですっかり一気読み。

ストーリーは違法ドラッグの摘発を主題に、Dom/Subの症状?を絡めつつ、主人公の静が櫛田に惹かれていく様が書かれています。
コレがいい。次第に好きになっていく、櫛田の真摯な振る舞い、過去の出来事からパートナを作らないとはいえ、親身に覚醒してしまった静をサポートします。

支配する側の櫛田のキャラクタに萌。そりゃ静じゃなくても惚れますわ〜。支配の仕方というか、加減がちょうど良いんだなと。標準語と関西弁の使い分けがとても上手。この設定のおかげで、櫛田の精神状態というか気持ちの在処がわかりやすく表現されてると思います。
君塚に支配されてしまった静が、櫛田のグレアと「僕のもんになれ」の言葉で君塚の支配から櫛田の支配へ切り替わるところとか、愛を感じます!

最後はお互いにパートナになり、同じ組織の中で働いていけるというハッピーエンド。
読後感もよく、読んで良かったなと思いました。

2

関西弁…

「君が優しくせんとってって言う時は、優しくしたい」

Dom/Subユニバースを活かした事件と捜査のお話で面白かったです。性指向を操作できるクスリ(ニュートラルをSubに近づけたり、より快楽を生むセックスドラッグ)は確かに気になるし蔓延るのが理解できる。

捜査の流れは面白かったのだけど、静はクスリに巻き込まれて2度も危うくなるのは流石におっちょこちょいが過ぎるし、大体危機の前は櫛田が不在になるし、濡れ場が薬の効果から癒す為とかお仕置きみたいなのとか最後まであんまり甘くないのがちょっと思ってたのと違いました。
そしてもっと違ったのは櫛田の関西弁。これ出生や事件や話に何ら関わらないし、柔らかい雰囲気が出るとはいえキメのシーンで気が抜けちゃったよ…

微妙に思う所はいくつかありましたが、最後の恋人としての行為で、櫛田が浅く焦らして静を泣かせるのが堪らないっていうシーンがあってめちゃめちゃ良かったです。その後の電子特典SSでもあって滾りました。
絵柄は刑事ものの割に余り重厚さがなく内容に合ってない気がしました。カラー絵に比べ白っぽいし。

1

こんな攻め最高だよ〜!

初めましての作家さんと小説では初めての設定です。

支配とか服従とかちょっとな…と思ってましたし、読んでみてやっぱりその部分はそこまで萌えなかったのです。
ストーリーや事件捜査や犯人を突き止めたりがとても読み応えがありました。

そしてなにより攻め櫛田!最高だよ!
受け静視点でしか書かれない櫛田。静を通してしか櫛田のことはわからないのですが、こんなん惚れるわ!

美形エリートで無表情。しかしそれは自分の特性を他者に影響を与えないため。
本当はべつに気難しくもなく、世話焼きで心配性で。そして熱い想いを抱えていて…。
二人がだんだん互いのことを理解していく様子に、櫛田のことがわかってくると、もう夢中になりました。関西弁ずるいでしょ〜。

最後のエッチは発情ということもあり、命令があったりで、ここまで神だったけどエッチが残念だな…と思ったら!
はぁ〜、とことん尽くす攻め、甘やかし管理し可愛がり。しかも互いがパートナーとしてぴったりなんて最強でしょう!

静も一皮剥けて(精神的にね!)父の支配や七光りも利用してやろうって思えるようになって。
あとやっぱり攻めが受けを可愛いと思ってるのって自分にとっては大事なんですよね。
このお話はそうじゃないのかな?と思ってたら最後にちゃんとあって良かったです。

2

麻取と刑事サイコー!

大好きなスリリング設定です。最近少ない貴重な刑事受け。しかもみずかね先生のエロチック表紙キター!表紙の帯を外すと受けの素敵な腹筋が。たくさん表紙を描かれているけど意外とこんな肌色多めのは少ないのです。

D/S設定というのも初めて読みました。SというのはSubと言ってオメガバースのオメガにそっくりで発情ありのメスみたいな感じ(言い方)。29歳にしてその属性に目覚めてしまう受けはなんとも気の毒。エリート刑事さんだったのに。しかも彼は有名議員の妾の子で父との確執があるのにそうなっちゃって…という展開が良かった。

D即ちDomはまさにアルファっぽく性的に強くてオスっぽい方でなんか命令できるらしい。新たな設定なのでよくわかってない所もあるけど妊娠しないみたいなのは自分の趣味的に良いかな。攻めはなぜか刑事ではなくマトリの偉い人で、医師免許まで持っているというハイスペック。あとエッチの時に関西弁発動する人です。個人的には関西弁受けの方が好きだけどエロい言葉攻め風で良かったです。

攻めは受けをさんざん優しく甘やかしておいて「僕はもうパートナーは作らないから」と余計な宣言をして可哀想な受けを泣かせます。イケズだなあ。

悪者に拉致されて途中までいたぶられる綺麗な刑事受けが読めて良かったです。その部分のイラストもエロくて萌えました。もっともっと刑事受けが増えればいいのに、と日々願っています。

3

Dom/Sub

みずかね先生ホイホイで購入。Dom/Sub初で、まだ何だか馴染めなかったので中立より萌にしました。何作か読んで慣れるのを期待したい。本編260P超+あとがき。Domの方にも発情があるってちょっと新鮮。

発足と同時に特殊性向犯罪対策本部に配属された静。この組織は、D/S性向を刺激する違法ドラッグ等を取りしまるもので、厚生労働省の麻取から派遣されてきた審議官の面倒を見る羽目になり・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
事件関係者少々、君塚(D/Sに詳しい医者)、対策本部の関係者、受け父ぐらいか。

++攻め受けについて

攻めはスパダリなんだろうなあ。訳あり過去もちでパートナーは作らないと言っているDomさん。三つ揃えスーツきていてビシっとしてそうなんだけど、なぜか受けとプライベートになると関西弁になる設定。関西弁は好きなんですが「きゃ」ってカッコよく感じる箇所がなかったんです。軽いタイプではないし、お仕事厳しく取り組んでおられるエリートっぽいのに。DomだとSubの面倒みたがるらしく、静に一生懸命人なみの食事させようと餌付けっぽくするシーンもあるんだけどな。彼の恋心がさっぱり見えなかったように思ったからか?

受けは政治家の婚外子(認知済)という立場から、父の言われるままに育ってきた方。やや人生なげやりっぽく感じてしまいました。人の役にたちたいと考えているっぽくお仕事は頑張っているんだけど、Subとして目覚めちゃったために心が色々揺れ動いていて、きゅん!という恋心をあまり感じられなかったでした。

攻め受けともカッコいい&美人さんに間違いなくってビジュアル的には完璧なんですけど、各種設定におろおろして、なんだか共感度が低かった一冊でした。命令されて跪くってのがあまり好きではないからかも。

2

待っていましたよ‼︎

新作、めちゃくちゃ楽しみにしていました!色々な設定を楽しませてくださっている先生ですが、新作Dom/Subとは…‼︎これはもう、期待しかない‼︎しかも警察ものです‼︎


主人公の羽田静は、警察庁のエリート。将来が約束されているのは警察出身の父の後ろ盾があってのこと。親の期待に応えるため、幼少期からその思いに支配され続けてきた羽田。誰にも弱音を吐けない精神的な孤立の中で、職務に身を投じてきたのですが…。

羽田の転機は、D/Sドラッグ犯罪の根絶を掲げた、警察と麻取による合同対策本部の新設でした。彼とペアを組むことになった櫛田は、厚労省キャリアでDom。それまでNだった羽田は、捜査現場で不用意にD/Sドラッグを吸い込んでしまい、潜在的にSub傾向が強かったために覚醒してしまいます。


事件の展開も興味深かったし、成人してからD/Sに覚醒した羽田の戸惑いと葛藤や、父親からの支配から解放してくれた人物との出会いなど、物語の核心となる部分をしっかりと読ませてくれて、さらにDom/Subユニバースの美味しいところを存分に楽しませてもらいました‼︎

警察と麻取の競演(饗宴?)は最高の舞台ですし、メインカプの肩書きがこれまた絶妙で…。いやぁ〜、Dom/Subって、攻めの魅力が試される設定なんだなーって改めて実感しました。攻め厨に優しいユニバースです!

そ・し・て!・!このお話にはもう一つニッチな特典があります!それは…

関西弁♡

あれ、ズルいです〜。死ぬほど萌えました。読みながらテーブルがんがんに叩きました。叩き割る勢いでした…。

ハードボイルド系がお好きな方にぜひおすすめ‼︎

2

D/S設定を楽しみながら犯人探しも楽しみ、萌えの供給もできる

初読み作家さん。
読みやすく面白かったーー!
手にしたのは刑事ものという事とDom/Sub作品だったから。

ご存知の方も多いかと思いますが、D/Sというのは「支配欲求を持つ者」と「被支配欲求を持つ者」。極端に大雑把な言い方をすると、命令する側とされる側。
SM作品との違いとしては、SMが性趣向の側面を持つのに対し、D/Sは本能であるというのが大きいのではないだろうか。
つまりは、抗えないという事。
SMの場合嫌だと思う相手を袖にすることもできるだろうが、D/Sでは否が応でもSubはDomの命令に応じてしまう。
何故この説明を持ち出してきたかというと、本作、とてもこの設定が活きていたからです。
うまい。
刑事もの事件ものという事もあり、犯人を追い詰めるワクワク感、想像する楽しさもあると思いますので本編に触れる具体的な説明は省き、D/S設定を活かし、犯人探しのワクワクを楽しめる素敵な作品という感想だけ( ´ ▽ ` )

肝心の恋愛面については具体的に。
Subである「静」が本作の受けです。刑事。
Domである「櫛田」が攻め。官僚。
とある事件の捜査の為にこのふたりがバディを組むことになり…とお話が進みます。
静視点で語られる今回のストーリーは切なめだったかなーと思いつつ、性格なのかDomの性質なのか、櫛田の世話焼き具合が良い感じに甘さをもたらせてくれて♡
見える優しさも見えないところでの優しさも溢れていて♡めっちゃ良かったです!
そして、所々で顔を出すDomの支配欲…というかただの櫛田のヤキモチ?あれホント最高!
静はなぜか毎度絶妙な勘違いをして全然気付いていないのもかわいかった(*´◒`*)
仕事もできて普段しっかりしている人がぬけてる部分もあるって母性本能くすぐりにきてますよねー!!
あとは、お好きな方もいらっしゃるかな?櫛田がプライベートで喋る関西弁も、普段は完全無欠で冷徹な印象の櫛田とのギャップがあってかわいかったです(*´◒`*)

えろはそこら辺に散りばめられながら、最後にはなんと20ページくらいの甘いのがあって出血大サービスだなと。笑

楽しかった!おすすめです。

2

Dom/Subユニバースものということで。

初読みの作家さまでしたが、今人気上昇中らしい「Dom/Subユニバース」ものということと、みずかねさんの描かれた美麗表紙に釣られて購入。

Dom/Subユニバースものはまだ2冊目で(1冊目は山田ノノノさんの「跪いて愛を問う」)、今一つ世界観を理解しきれていないような気もしましたが、ストーリー自体非常に面白く一気読みしました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は警察官の静。
彼の父親は警官から叩ぎ上げで政治家にまでなった重鎮。が、静の母親は愛人でしかなく、父親からはずっと放置されてきた。けれど本妻さんとの間に子がなせなかったことから父親は静を跡取りと認め、それに伴い静の生活の一切を管理し取り仕切ってきた、という過去がある。

静が刑事になったのも父親の意向でしかなく、さらに父親のおかげもあってか順調に出世を続ける静にやっかみ、辛辣な態度を取る周囲の人たちもいる。それを跳ねのけようと、日々奮闘する健気な男性でもある。

最近とあるセックスドラッグ「アポロ」が蔓延し、そのドラッグを介した事件が多発していた。「アポロ」は摂取することで疑似的にDom/Subを体験できる、というものだが、クスリ欲しさに犯罪に手を染める事件が急増し、アポロを駆使したと思われる犯罪だと推測された。

それに対抗する形で「特殊性向犯罪対策本部」が立ち上げられ、そこに静は捜査員として加わるが、医師免許も持つ異色の官僚・櫛田とペアを組まされることになる。お飾りの上司と組まされたことに辟易としつつ捜査に奔走する静だったが、捜査過程でアポロを浴びてしまい―。

というお話。

Dom/Subユニバース。
んー、オメガバースに近い感じかな?SMとは違う…、んですね?
と今一つ理解しきれていないのですが、

人を支配したい「Dom」と支配されたい「Sub」がいる。
「Sub」には発情期があり、発作的に支配されたいという感情に苦しむことがある。
生まれつき持つ性癖で、とある出来事をきっかけにその性癖を発症することもあれば気づかずに生きていくこともある。
基本的にはパートナーを作るが、パートナーの解消は自由。
セックスの時だけではなく、日常生活の上でも「Dom」は「Sub」から認められたいし、可愛がりたいし、甘やかしたい。反対に「Sub」は「Dom」に構ってほしいし、いじめられたいし、尽くしたい。
この関係が上手くいかないと日常生活に支障をきたすほどの身体的な変調をきたすことがある。
っていう感じでしょうか。

今作品では、静は潜在的に「Sub」の性癖を持ち合わせていたけれど、アポロを浴びてしまったことで顕在化した、ということなんですね。

で、静と仕事上のパートナーである櫛田は「Dom」であり、仕事において、そして私生活において、静と櫛田は仮のパートナーになるけれど。

静はその生育環境により、一人で奮闘する癖がついているっていうのかな。誰に頼ることもできず、周囲からの偏見を跳ね返すためには自分が頑張るしかないと思っている。そんな彼が、自身が「Sub」だと知ってしまった。その時の絶望感が手に取る様にわかる。櫛田を頼りたくない、けれど「Dom」に支配されたい。手嶋さんの文章が非常にお上手で、彼の葛藤や苦しみが読者の胸に迫ってくる感じ。

バックボーンとしてはシリアス寄りなのですが、ベースとしてはシリアス一辺倒ではありません。その大きな要因の一つが、櫛田の関西弁。仕事の時は標準語で会話しますが、プライベートの時はおっとりした関西弁で話すのです。これがなんともまろやかというのか。そして彼自身、穏やかな人物ということが大きく効いている感じ。

Dom/Subは基本的にDomが支配し、Subは支配される側、という関係なので、どうしてもセックスの時はDomがSubを押さえつける、といった立ち位置がベースなのだと思います。支配する、ということで、櫛田が静を言葉で嬲ったり、軽くお尻を叩いたり、我慢させたり、ということはあるのですが、ハード過ぎず、ぬる過ぎず、櫛田が優しい男性なのでプレイ自体がハードになりすぎない。このジャンルは初心者なのでこの二人の関係が標準的なものなのか否か分かりませんが、少なくとも初心者には非常に手に取りやすい1冊だったと思います。

で、今作品は二人のDom/Subという関係が大きな因子ではありますが、そこにセックスドラッグが絡んだ犯罪が加わることによりミステリーの要素もプラスされて、犯罪解明のストーリーもすごく面白かった。

正直に言ってしまうと犯人は途中で読めてしまう部分もあったりするのですが、そこに絡めてDom/Subの性に生まれついてしまった人の葛藤とか苦しみとか、櫛田の過去とか、あるいは複雑な人間関係もきちんと描かれていて非常に読みごたえがありました。

お互いに深い愛情があるからこそ、Dom/Subユニバースという性が生きてくる、というのが素晴らしい。そしてオメガバものと大きく異なるのは、パートナーという関係を、Subからも解消できる、という部分なのでしょうかね。一度番契約を結んだら最後、オメガにとってはどんな状況でも番解消はできない(アルファは可能なのにね)と違って、本当に対等な立場。

SMものとか、オメガバものとか、近い関係のものは他にあるので、作家さまの書き方によってDom/Subユニバースが生きるか否か変わってきそうなのも面白い。

新たなジャンルとして確立されそうなのもうなづける、非常に魅力的なジャンルだと思います。

初読みの作家さまでしたが、読みやすい文体に素晴らしいバックボーン、魅力的なキャラ、引き込まれるストーリ展開。どれをとっても素晴らしい作品でした。手嶋さんの違う作品も読んでみたいと思います。

あ、みずかねさんの挿絵は今回も素晴らしかったです。
みずかねさんの描かれるスーツは最高だ…。

9

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