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senaka ni kiss to toiki
交通事故で家族を失った春日郁己は、絶望感をどうすることもできないまま、伯父家族に引き取られた。伯父家族が郁己のことを引き取ったのは、郁己が手にした保険金目当てで、郁己がいない間に、勝手に郁己の部屋を家探ししているようだった。
生きる意味も将来の夢も分からない郁己は、修学旅行の帰りに山形へ帰るために乗車していた新幹線から飛び降りた。居場所のなさから、死にたい気持ちになった郁己が会いたいと願ったのは、ただ一人――中学生の頃、部活動の陸上の練習を見てくれていた初恋の教育実習生、沢口恵一だけだった。
だが、三年ぶりに会った沢口恵一は、教師もしておらず、当時と百八十度も違う人物となっていたが、変わらず面倒見がよかったりするところは昔と変わらなくて、郁己は沢口への気持ちを再認識する。
追い出されない事をいいことに、沢口の元に居座ることを決意した郁己。
面倒に巻き込まれることがわかっていて、事情があることを知りながらも、聞かない沢口――。
感情を動かすことのなくなった郁己は、誰も知る人がいない東京の地で、郁己はあちこちを見て回ることで、少しずつ、感情を取り戻し始める。
郁己の抱える「居場所がない感じ」というのに、私はすごく覚えがあって。
居場所がなくて、つらくて、いっそ死にたくなってしまう気持ちっていうのに、えらくシンクロしてしまって、なんか久々に「いい話だったなぁ……」って気もしてます。
最後は、どうして郁己が自分の保険金を叔父夫婦に渡したのか、理解できないと思わない事もなかったんですが、それはそれで、やっぱり郁己が後悔しない事が一番だと思うし。
それが若さ、と言えば、若さなのかもしれません。
これからもうちょっとして、叔父夫婦が自分のやってたことの微妙な食い違いに気付いてくれればいいと思う。全部が悪意だと思わなかったけど、やっぱり多少の悪意も並んでると思うんだ。