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美しさの片鱗に惹かれあった二人が互いを
深く知る内に高めあい、紅蓮に包まれたまま
二人で直走って行く。劣情故にではなく、「義」故に。
只凛とした恋に急かされるのなら、それもまた
一つの在り方でしょう。
土台は、歌舞伎の演目。BのL歌舞伎で売り出したコラボもの。
色々勉強になりました。
電子版に二種類あって、
パレット文庫
B+ LABEL 紅蓮のくちづけ 染模様恩愛御書
二つは、同じ内容で、違いは、挿絵。
サイズの大きいイラストに入れ替えて再編しただけで、内容に変更がない
・・とあったので、パレット文庫版を購入。
読了後、二人の結末に心が沈んだ。
実話が土台の原作は、とても強烈。主役は、大川。
「通し狂言 染模様恩愛御書 細川の男敵討」・・【 染模様恩愛御書】は、
肥後熊本の細川家に伝わる名宝の由来譚。
肥後国熊本藩3代藩主綱利の頃、江戸屋敷が類焼、
大川友右衛門は、数馬に後を頼み、燃える蔵に走る。
切腹して主家の重宝「達磨の掛軸」を自らの腹中に収め、火事から守り通す。
血に染まった達磨の掛け軸は「細川の血達磨」と呼ばれ,
長く友右衛門の忠節が讃えられた忠義物の一つ (「歌舞伎素人講釈」のサイトに仔細あり。)
歌舞伎や狂言には、常に風刺が込められているけど、この演目もそう。
このお殿様は、大石内蔵助達17人の赤穂義士のお預かりを担当した人。
歌舞伎が参考にしたのは、浄瑠璃の『蔦模様血染御書』で、
大川が守り抜いた宝は、朱印書に変えられてます。
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●細川家小姓・印南数馬
濡れ衣で死亡した父・十内の仇を討つまで恋をしないと誓う美少年。
●若侍・大川友右衛門
浅草の夏祭りで数馬に一目惚れ。
恋に生きると決意、武士を捨て細川家中間となり、数馬を見守る
●細川綱利侯:肥後国熊本藩3代藩主。
不義の罪で手討ち寸前の友右衛門と数馬を助け、二人の仇討ちを認め、支援。
立花家の正使として細川家を訪れた図書を、先方に断りなく閉じ込め、仇討ちの加勢を始める。
歌舞伎の【 染模様恩愛御書 】では、
江戸屋敷の蔵の火事で、大川は家康公発行の「朱印状」を守るため、火の中に飛び込む。
書状を抱え、脱出不能を悟った大川は、腹を切り
「三つ合わせて、肝腎腸~!!!」と臓腑を投げ捨て、胎の中に書状を詰めて守りぬく
・・『細川血達磨』の所以になる場面は、壮絶。
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小説版は、BLアレンジで恋愛優先の展開。
血達磨ではなく、柔らかく別の表現になっているけど、メリバ。
似た粗筋の作品に、「君と緋色の恋を抱き」があるようなので、読む予定。
★知らなかった九州の衆道。https://bit.ly/3ULHnQu
パレット文庫より、深山くのえさんの「紅蓮のくちづけ」です。
時は江戸時代、街角で偶然言葉を交わしただけの美しい少年のことが忘れられず、彼の居所を探し当て身分も名前すらも捨てることすら厭わないほど情熱的な友右衛門と齢16歳にして顔も知らぬ相手を親の敵として仇を討たなければならない不遇の美少年数馬、そんな二人が織り成す数奇な恋の物語です。
この話、歌舞伎(通し狂言)とボーイズラブのコラボレーションだそうで、松竹では市川染吾郎さんと片岡愛之助さんが主役の二人を勤めているのだそうですが、この仇討ち衆道ネタで初めて歌舞伎の公演があったのが1889年だと知ってちょっとびっくりしてます。
「男には果たす忠義がある、男には守る愛がある。そんな男たちが織りなす恋と感動のストーリー。数馬…いつまでも一緒にいよう。」
って言うパレット文庫さんの煽り文句にちょっと笑っちゃいました。
でも、身分制度があるこの時代ほど家やら血筋、上下関係のしがらみに囚われている時代は無いでしょうね。
もしかすると下級の者たちよりも身分の高い人たちの方がその傾向が強いのではとこういう時代物の話を読むたび思います。
上の言いつけは絶対で逆らう事もままならない、そんな時代に産まれた不運とでも言うのでしょうか、それは友右衛門と数馬の二人にとっても避けようの無い現実で、二人の恋はお互いの性別が男同士である事以上に平坦な物では無かったのですね。
互いを想う気持ちは変えようも無いのに、かといって自分達の仕える藩主の言いつけにも逆らえない、逃れられぬ宿命に翻弄される二人……。
ハッピーエンドの作品が多いBLものの物語の中でハッピーエンドとは言いがたいこの作品ですが、それでも自分達の想いを貫き通したと言う視点から見ると、彼らの選んだ道は決して不幸ではなかったように思えます。
友右衛門の言う「いつまでも一緒に…」の誓いは果たされているわけですからね。
深山さんの書く話は読み終わった後じんわりと暖かいと言うか何か心に染み入るものがある。それが、私的にはポイント高いです。お気に入りの1冊がまた増えました。
久しく上演が途絶えていた明治の初世市川左團次によって人気狂言となった
三世河竹新七作『蔦模様血染御書』が、約一世紀ぶりに復活。
2006年大阪松竹座にて『染模様恩愛御書』として上演されました。
この復活狂言をノベラライズしたのが、この作品です。
公演当時は歌舞伎とBL小説のコラボ!?と、何かと話題になったのを覚えています。
確か公演中は劇場の売店でもこの小説が売られていて。
BLを知らなかった歌舞伎ファンがたくさん、この本を購入されました。
舞台と小説では随分と雰囲気が違っていて、驚きました。何より結末が全く違う!
舞台はBLというより「衆道」で、武士道や忠義の心を重要視して描いていました。
小説版はひたすら恋に生きた友右衛門と数馬でした。
多分、BLとしては小説に描かれた「恋に全てを懸け、二人はいつまでも共にある」という
友右衛門と数馬が王道なのだと思います。しかし折角の時代ものなのだから、二人の武士らしさを感じたい私には、武士道・忠義の描かれ方が薄味で不満でした。
そして私の個人的な感覚で申し訳ないですが。小説版の数馬が乙女すぎて。
「女と見まごうばかりの少年(小姓)」というよりも、「男装した美少女」としか思えなかったのが、この作品に対して非常に辛口になってしまいました。