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kanshouyou aijin
私の愛する高遠琉加さんの監禁モノです。
高遠琉加節に胸ときめかせ、読み終えるのがもったいなくて、行きつ戻りつしながらゆっくり読みました。
神に近い萌え評価です。
主人公は遊び人の大学生、瑛。
ふと目覚めると、雪深い別荘に、鎖で繋がれて閉じ込められていた。
主人公のそばには、大学教授の音無がいた。
よくある監禁モノのように、凌辱強姦はない。
音無はひたすら、主人公を『観て』いるのだ。
まるで絵画を愛でるように、ひたすら観ている。
シチュエーション的にはキモいですが、読んでてキモさはないです。
なぜ音無が主人公を監禁したか、なぜ音無はひたすら観ているだけなのか、それは物語が進むなかで少しずつ明らかになります。
めちゃくちゃ面白かったです。
雪の冷たさも、別荘の静けさも、読むうちにじわりじわりと胸に染み込んできました。
主人公の焦燥の中身が、少しずつ『閉じ込められていること』から『音無の壊れた心を修復できないこと』にスライドしていくさまは、見事でした。
最後に見せた主人公のオトコマエっぷりにキュンとなりました。こういうオトコマエ受け、大好きです。
主人公の加藤瑛は学教授・音無悠一に拉致され、
雪深い別荘に監禁されます。
加藤の身体の自由を奪う鎖は、グランドピアノに繋がれています。
ピアノに鎖で繋がれた美貌の青年とは、なんとも淫靡で耽美。
そしてそんな青年に手を出さず、ただ見ているだけの音無。
淡々とした口調や冷静な態度が、逆に怖いです。
他人に正常な関心を抱けない音無に恐怖を感じつつも、
彼の歪みや心の闇に興味を持ち、惹かれてゆく加藤。
閉じられた世界で加藤と音無の感情が交錯するさまを、
静かな文章で綴られてゆく物語。
根本的にはダークでハードな内容だと思うのですが。
作品の雰囲気が非常に淡々としており、清浄ささえ感じます。
真冬のピンと張り詰めた冷たい空気を頬に感じられるような作品で、
丁度いまのような寒い季節に読むのには、ピッタリだと思いました。
高遠琉加先生の2006年発表作品。
タイトルの「観賞用愛人」から見目麗しい系が登場するお話かと思いきや…
実は「監禁もの」なのです…!
女にも馬鹿騒ぎにも飽き飽きしている今どきの大学生・瑛(えい)。
ある晩行きつけのバーで場違いな大人の男性と出会う。
彼・音無悠一は大学の植物学の助教授だが同時に老舗宝飾ブランドの跡取り。
いつも冷静で何事にも心を動かさない悠一に興味を持ち、何かと挑発する瑛だったが…
クリスマスイブの日、酔った女性を連れてなだれ込み、見せつけるように、わざと怒らせるように悠一のソファで事に及ぼうとした瑛に遂に怒りの感情を見せる悠一。
酔って次に目が覚めた時、瑛は雪に閉ざされただだっ広い部屋のベッドに、宝石がはめ込まれた足枷を付けられていた…
何が起きたのか?
時計も電話もない山奥の別荘に、悠一と2人で。
だが悠一は瑛を犯す素振りも見せず、ただおとなしい人形でいる事を望んでいる。触れずに観賞するだけの相手として…
性的な要求を持たない監禁者の不気味さが迫ってきます。こちらの方が逃げ場がないという感覚が迫ってくる。
一度逃走を試みて失敗し大怪我を負って連れ戻された後、悠一の世話に身を任せ、少しストックホルム症候群的な雰囲気になる瑛。
…というのも、実は悠一は過去……
悠一の過去が明かされ、瑛がこの閉ざされた男こそ枷を嵌められたまま身動きが取れないのだと感じ、自分が悠一を助けたいと考えるようになる。
しかしそんな時社長である養父が亡くなった。悠一は一晩一人になりたい、と瑛を別荘から出す。しかし悠一が一人でいる別荘から火が出て!
この展開の緊迫感はゾクゾクしました。
ここまでほとんどエロなどは無く2人の関係性の変容が中心に描かれます。
愛も欲望も持っていなかった悠一を激しく求めるようになる瑛。
そして瑛に応えてまず欲望を、そしておそらく愛も知るようになる悠一の姿がいい。
ラストは瑛に対しての強烈な独占欲を見せる悠一と、それを甘んじて受け入れる瑛。それは形を変えたもう一つの「監禁」の始まり、なのかも。
シャイノベルスはけっこう好きなお話が多く、お気に入りです。
表紙と裏表紙が一枚絵になっているのも、表紙の紙質も素敵です。
こちらの作品は大好きな北畠さんがイラストを描かれているのも、ポイントが高かったです。
や、それよりまず、このタイトルでイラストが別の方だったら買わなかったかも…
タイトルを先に思いつかれたとのことですが、もう少しレジに持って行きやすい方が良かったような。
攻めの悠一は私大の助教授で、老舗高級宝飾ブランドの御曹司。
表情の動きが薄く、人をあまり寄せつけない雰囲気の持ち主。
受けの瑛は遊び呆けている美貌の大学生。
気まぐれで猫のような青年で、バーで会った悠一のテリトリーへズカズカ踏み込み、結果監禁されてしまいました。
タイトル通り『鑑賞』しています、悠一は瑛を。
ただ、『愛人』といっても『愛する人』といった風かな。
瑛を自分の別荘へ監禁し、ただただ鑑賞する悠一は、瑛ではないけど何を考えているかわからないうちは怖いです。
関係のスタート後しばらくは、瑛の方が悠一へ執着しているように感じましたが、動かない表情の下ではぶすぶすと火種が燻っていたのでしょうね。
でも、けっこう瑛ってひどい男で悠一への態度や行動も眉を顰めるものだったので、怒りで監禁の方が納得できたなあと思います。
よくBLである監禁=えっちではまったくありません。
瑛自体は性に奔放なたちのようですが、悠一はかえってそういったものを厭っているような。
そういうシーンは少ない方の部類に入ります。
ふたりは似たような境遇で、どこか寂しさを抱えながらそれを意識しないで暮らしていたようです。
そんなふたりが出会い、お互いがお互いを磁石のように、無意識下で惹かれあっていたというような感じでしょうか。
わたしだったらいくら綺麗でも、瑛のような男はノーサンキューですが…
読んでいてふたりにさほど劇的な魅力は感じず、なんとも淡々と静かに進むお話でした。
ただラストの別荘へUターンする辺りから、面白さを感じました。
もしかしたら悠一は自分でやる?と思っていましたが、そういう展開だったかあ!と。
それってかなり終わりに近いんですけどね(苦笑
この作品で視点は受けの瑛なので、彼の心情はカッコ書きです。
個人的にはこの手法は好きではありません。
長く何回もダラダラ出てくる作品は、ひじょうに鬱陶しく感じます。
ただ、こちらは回数がさほど多くないですし、同じページ何度もあるわけではないので気になりませんでした。
萌と中立で悩みましたが、読み返すことはないかなあと思い中立にいたしました。