【イラスト付き】【単行本書き下ろしSS付き】
gouman na kikoushi ha omega ni ochiru
2020年1月fujossy「オメガバース ・兄弟・闇」 BL小説コンテスト
最優秀賞受賞作
fujossyの規約で、応募作品はfujossyで更新できないらしい。
ヨアン:
公爵家の嫡男。金髪翠眼の美貌。
奴隷商から護衛としてイェレを選ぶ。イェレは何故か傷だらけだった。
継承権を狙う弟の陰謀に嵌り、イェレを誘惑しようと薬を飲み、発情。想定外のオメガ化。
獣人と番になった為、家から追放。叔父の計らいで、祖母の屋敷に隠遁。
イェレの負担になる自分を責めて暮らす。
イェレ:
黒豹のアルファ獣人 恋人を奪い、飽きた玩具のように捨てた男を殺す。
殺人の罰として奴隷に売られ国外追放。奴隷商に売られたところを、ヨアンに救われる。
ヨアンのヒート中を襲い、番になったのに、人間のヨアンを愛せず悩んで居る。
獣人国と冷戦状態にある人間国・ シェルマンの貴族社会から追放され、イェレと辺境の国で暮らすヨアン。
ヨアンは、発情抑制剤を飲んでいた。過剰摂取で衰弱していくヨアン。
それを知ったイェレが、歩み寄ろうと考えを改める場面で終わり。
文字制限があるコンテスト用の作品の編集加筆版だけど、場面場面に割り振る文字分配がイマイチのような気がする。 萌切れなかった。
fujossyBL小説コンテスト最優秀賞受賞作品を大変加筆されてて印象がまったく違うのに愕きました
切なさがもりもりになってます
以下ガッツリネタバレです
獣人と人間が相容れない存在として戦争までした二国があった
戦いも終わり距離を置くことで表面上平和であっても獣人を奴隷として使う人間もいた
公爵の息子ヨアンは従者を選ぶ時見つけた奴隷アルファの獣人イェレを自分のものにする
公爵と言う高い身分の息子でありながらも母は既に他界し父は家に全く近寄らなず、義理の母と義理の弟は自分を家落として跡継ぎになろうとしている殺伐とした環境で生きていた幼いヨアンはイェレに縋る様に側におく
夜寝所で寝付く前にイェレの獣毛をさわり彼の語る旅の経験の話を聞きヨアンの孤独はイェレによって埋められ、ヨアンはイェレの特別になりたいと願う
が、ヨアンを見つめるイェレの瞳は彼を通してどこか別のものを見ていることに聡明な彼は気づいていた
人間の国では獣人は性奴隷扱いや酷い扱いをされる中ヨアンは進学した学校への従者に奴隷のままではイェレを連れていけないと知りイェレを奴隷から解放し従者としての身分を与える
その身分にするには誓約が必要となり生涯支えるのでなければ短い期間でないといけないと知り、学校を卒業する三年間のみと契約した関係となるとわかっていてもイェレに側にいてほしかったのだ
その三年目イェレが己との契約が終われば獣人の国へ帰ってしまう日が近づく中、イェレの中に自分への未練がない事に悲しむヨアンはせめて一夜の記憶が欲しいと思い獣人を惑わすという薬を飲む
その薬はオメガの発情期と同じ状態を起こす薬であり、それを勧めてきたのは自分を貶めようとする義母と義弟の手先だった事など知らないヨアンはその薬はただアルファを惹きつけるだけの薬だと思っていたが、それを飲んだヨアンの香りを前にイェレは理性を失ってしまう
実はイェレは噛むことによって相手をオメガにしてしまうと言う特殊な能力の持ち主だったらしくその結果ヨアンはオメガに、イェレとは番になってしまう
獣人とまぐわいオメガになってしまったヨアンは父に捨てられ、ヒートを起こされたイェレにも睥睨される
絶望し壊れていく自分を覚悟したヨアン
ただそんなヨアンの身案じる者もいて、ヨアンは辺境の地に匿われることになる。そこはイェレのいた獣人の国との境だった。そしてそこに連れていってくれ面倒を見てくれることになったのはイェレだった
そこで発情期が来るたびにイェレに義務的に抱かれるヨアンにイェレの獣人の仲間がイェレを解放しろと迫ってくる
イェレには運命の番がいたがその相手が死んでしまっていたという過去を知ったヨアンはイェレにこれ以上自分を抱かせる辛いことをさせないためにひたすら発情抑制剤を飲むようになり過度の摂取のより肉体が限界に来てしまう
この後イェレ視点になるのですがイェレの過去もとても切なくヨアンの行動と重なっておりヨアンがいかに幼い事、幼いながらも気高い人物であったことがより伝わってきます。
又イェレの過去も切ないうえに、ヨアンと二人暮らす場所は獣人の国に近く、獣人にとって人間がいかに忌むべきものか、人間と獣人が結ばれることがいかに難しいかが分かります
そんな中ヨアンが倒れてしまいます。
で
続く
なんです
前半のヨアンのモノローグが幼く拙いくてちょっと不安になりましたが、淡々と紡ぐ言葉の裏の切なさにすぐに引き込まれて読み進むことができました…そして拙さもヨアンがまだ幼かったからだとイェレのモノローグになったらわかります
他者からの醜い妬みによって貶められ尊厳を汚されれ大事なものを失ってしまっている二人
イェレはヨアンの恋は孤独ゆえの依存と思っているしそしてそれはある意味事実でしょう。そしてイェレはヨアンには恩義を感じているけど人間への不信感も払拭しきれていないのもまた確か
この逆境の中2人の気持ちがどういう風に結ばれていくのか受賞作からどう膨らみ変わっていくのかも込めて続きがとても楽しみです
単話で続きを読まずにいられないってところで終わってるので心の平穏のためには完結して購入をするのがいいでしょう
受賞作品を読むと加筆により世界観がぐっと分厚くなってるのを感じるのも楽しいと思います
評価については物語は終わってなんぼと思っていますのでこちらの評価にさせていただきます