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タイトルと、なるみゆった先生のカバーイラストがですね、どんなお耽美なストーリーなんだって期待させてくれますが、本作は少し切なく甘い、思いっきり日常系の義兄弟モノです。
料理家の母親を持つ奏は、二十八歳にして複数のレストランオーナー。彼には恭也という三歳下の義理の弟がいたけれども、奏が十八歳、恭也が十五歳の時に離ればなれに。
十年後、突然恭也が奏の前に姿を現します。血の繋がらない兄弟なのに、奏に懐いていた恭也。ずっと彼を案じていた兄は義弟との再会を喜びます。
「身体の弱い」生みの母親と暮らすと養家を出て行った恭也でしたが、十年の空白は時折弟をまるで知らない男のように感じさせ、奏を戸惑わせます。奏とビジネスパートナーの三輪、恭也の三人で夕食を共にする予定だった日、店の厨房で食事の準備をしていた奏が何者かに襲われ…。
仕事上のパートナーを超えて、奏に好意を示す三輪。中学生の頃と変わらず、屈託なく奏に甘えてくる恭也。奏を目隠しして彼の身体から快感を引き出したのはどちらの男か?
サクッと兄弟萌えを満たしてくださいました。兄も弟も互いに思い合っているようなんだけど、それが家族としてのものなのか否か、なかなか明かさない感じがよかったです。兄の方が、最後まで兄弟愛の方を優先していたところがツボでした。まぁ、ダダ漏れてはいるんですけどね…。(それが安心感。)
大喜利の上手い芸人さんみたいに、どんなお題(設定)がきてもきっちり応えてくれる作家さまです。かのえなぎさ名義の作品は萌えとエロスにフォーカスされているようなので、めちゃオーソドックスなBLらしさを感じてそれはそれで好きですが、もう少し物語に余韻が欲しいわたしとしては、北川とも前名義で書かれた作品の方に、よりストーリー性の高さを感じます。