あらすじ
昼は名門大学の若手学者にして、夜は同性相手の衝動に身を任せる今宵限りの京美人、雛瀬春実(ひなせ・はるみ)にも、また春が巡ってきた。だが、それは単なる桜の季節到来ではなかった。忘れえぬ最愛の人の一周忌の日に、何とこれまでで最大に相性がわるい男、藤城拓也(ふじしろ・たくや)と出会ってしまったのだ。あまりにも心身ともに健康的な大学生の拓也は、ズカズカと春実の内面に押し入り、恋人を自称し、苛立たせる。百戦錬磨の春実さえ、彼の前では別人のように感情もあらわに怒り、泣き、叫んでしまう。
「え……俺の時だけ、違うの?」という拓也の問いに「お前は、俺の心を裸にしてしまう」と答える春実。春実の中で何かが生まれ変わろうとしていた。しかも、この一直線青年は、星の数ほどの男達と逢瀬を重ねてきた春実が一度も言われたことのない、ある特別の言葉をかけてきたのだ。はたして、その告白とは……!? 連作二編収録のシリーズ第4弾!