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onenight loveaffair
巻末には電子書籍の発行日しか書いていませんでした。ちるちるのページで関連作品になっている同人誌『LOVE ALIVE』が初出なのかしらと思いますが、そうすると2006年1月の発行なんですね。
今から14年前、こんな大人大人しいBLが書かれていたなんて、ちょっと驚愕です。
だけど剣持の職業が『准教授』ではなく『助教授』だったり、煙草関連の描写が今のものよりも緩いと言うか……確かに10年以上前っぽい感じがするんですねぇ。
上で紹介されている出版社あらすじを読むと、コメディベースの作品の様に感じてしまいますが、私はかなりビターだと思いましたですよ。
BLの世界において、高校の時告白してふられた相手と友人でいたいが為にずっと想いを覆い隠している男(剣持)が、その想い人(由比)に「俺に対して優しくない」と詰られた結果、sexする羽目になっちゃう、なんていうシュチュエーションが繰り広げられたとしたら、それは『両想い』ってことですよね。
少なくとも私はそういう話を読んだことがあるんですよ。それも沢山。
でもね、このお話ではそうならないの。
いや、バッドエンドではないんですよ。
ハッピーエンドの気配はあるのですけれど、このお話に由比の心情は一切書かれていないのね。書かれているのは『剣持の目から見た由比』なんです。
で、剣持は自分の目が恋で霞んでいることをよく知っているんで『由比が押せば落ちるであろう様に見えること』が真実かどうかわからないんです。
だからこのお話は『恋する2人』の話じゃないのね。
『15年間恋心を隠し続けて来た男』の話なんですよ。
剣持は、由比を完全に吹っ切って新しい恋を探そうとするのか、曖昧にしていた自分の恋心をあらわにして由比を恋人にするべく努力しようとするのか、どちらかを選択しなければならない処に追いつめられてしまったので『彼は決断し、成功を夢見て、最大限の努力をしようと思いました』っていう所で終わっているの。
剣持は刑事でもマトリでもないし、脱獄しなければならないCIAやFBIでもない。
でも、前述の決断をする剣持が素敵なんです。
うぉっ!と思っちゃったんです。
英田さんテイストってこんな感じだと思うんですよ、私は。