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kowagari yakuza ni natsukaremashite
イラストレーター(漫画家)さんきっかけで読んでみました。kindle unlimitedでも読めます。
ちょっと長めのお話。餡玉先生、初めて読みましたが面白かったです。タイトルどおりのストーリーで、ヤクザに懐かれてしまったのは霊が「視える」男子高校生。擦れてなくって真面目な子がヤクザに惚れられちゃうなんて…。大阪弁バリバリのコメディで、ホラー色は全くありません。霊に取り憑かれてしまう理屈やお祓い方法は簡潔だけれど説得力があって、違和感なくコメディ一直線で楽しめました。
攻めの美形どヤクザな椿が魅力的なので紬はもちろんのこと、椿と同じ施設育ちで兄貴分の忍海、組長側近の遊佐、舎弟の宍戸──。彼らと椿の裏の関係性にめちゃくちゃそそられました。
セリフには勢いがあるし、キャラが生き生きとしていて、受け攻め以外のスピンオフが読みたくなりますね。個人的には警察庁に勤務する忍海が気になっちゃってます。
紬が素朴で真っ当なので、彼目線を基準に据えた上で、裏社会のドンパチやオカルト要素がのびのびと描かれていて純粋に笑えました。描きようによっては暗かったり深刻にもなりそうな設定なのに、一貫してコミカルに終始しているところに作者の力量を感じましたね。
椿も人間はもとより、猫やら犬やらに取り憑かれちゃって、かわいいやら気の毒やら…笑
若頭としての面子も丸潰れ。だけど、凄味があって腕力も強いので、やんちゃ臭さとのギャップに紬ともども痺れちゃいます。おぼこな紬もかわいいし、個人的に椿がなんたって萌えキャラでした。ヴィジュアルの希望としては長髪めのイメージだったけど…。
エロがいつもいいところで寸止め状態で、お預けくらい続けたのも、紬の成長に合わせてくれているんだろうなと愛を感じました。いかにもあんあん♡なエッチシーンにだいぶ慣れてきましたが、濡れ場はこれくらいピンクがかってなきゃダメなのかな…?最終的には読み手の好みに拠るのでしょうけれども。
web小説そのものに馴染みがない者にとっては色々と新鮮でした。webだと作者さん裁量の更新スタイルでしょうから一章が短く、人によっては章ごとにタイトルがつけられていたり、セリフに「♡」が入っていたり。ノリがよくてサクサク読めますし、瞬時に映像が浮かぶのでアニメ作品みたいに次回の更新日が待ち遠しくなるのがよくわかります。商業作品とは異なるしきたりや創作文化を少し知ることができて勉強になりました。
ある程度章をまとめて詳細なタイトルを外したら、もっとすっきりと読めたかも。一気に読みたい派としては、章ごとに一時停止されちゃうと逆に読みにくく感じるかもしれないなと思いました。