てんてん
Dorian Gray no hageshisuiru yuuutsu
本品は『ドリアン・グレイの激しすぎる憂鬱』のフェア書店特典
ペーパーです。
本編後、白洲が宙人に服を作るお話です。
白洲絵一の筆名をもつ神代双葉は伊集院宙人を愛人としますが、
己の隣に置くには宙人の趣味は悪すぎます。そこで双葉は自身の
服を手掛ける浮島に、宙人を任せる事にします。
神代宅に呼ばれた浮島はイギリス映画に出て来そうな老人で、
黙々と宙人の体型を計り続けてメモを取りますが、全ての確認は
双葉に向けられていました。
どうやら宙人の髑髏のシャツがかなりお気になさなかったようで
浮島は異例の速さで半月後に普段着を先に届けてきます。
涼しさと居残る暑さの交じり合う10月の鎌倉で、浮島の誂えた
サックスブルーのコットンのシャツとパンツに着替えさせられた
宙人は口を尖らせています。
宙人は普段の服をとても気に入っているのに、ここにいる間は
浮島の仕立てた服を着るようにと言われたからです。確かに上質
なシャツは間違いなく心地よくても、宙人は着なれないボタンの
付いたシャツに戸惑っていました。
俺に服を着せないって、言ったよね? 双葉さん
それは比喩的表見というものですし、『マイ・フェア・レディ』
におけるヒギンズ教授のように、宙人を人間視せずに根本から
変えるような事はしていません。
服はいくらでも着替えなさい。全て着替えなさい。
髪も黒く染めたらいいね
すると宙人は・・・
B5版片面にて恋人になっても噛み合わない2人のお話になります。
いつもの服が好き、この金髪も好き、双葉はありのままの自分を
愛してくれたのではないの? と詰め寄りますが、双葉はそっけな
く「そんなわけないだろう」と一蹴し、宙人を腰砕けにするの
ですよ(笑)
生半可な美的感覚でこの館が管理できると思うのかい?
双葉の中の絶対美は宙人の髑髏は限界だと言われた宙人は「本当
の俺を愛してなくない!?」と反発しますが、双葉は中身にしか情が
ないから宙人の選んだ服には愛も興味も執着も持てないとコテン
パンです。
綺麗に微笑む双葉に立ち向かう語彙力のない宙人は気持ちの良い
シャツは譲っても髪染めは拒みます。それには宙人なりの矜持も
あるのですが、双葉が気づく事はなく。
しゅんとした宙人にそれ以上追及せず、彼の持ち込んだDVDを
見る事にしますが、彼が手にしていたのは初デートで観たアニメ
でした。
何故、宙人といると結局何も思い通りにならないのだろうと思い
つつも、彼のかなりの部分を理解してしまったのかもしれないと
溜息を突きつつも小さく笑む
・・・という愛人の軌道修正を頑張る白洲のお話でした♪
相変わらず会話が全然噛み合っていないです。でもソレが楽しい
というか、可笑しいというか、なんだかんだとラブラブなのは
伝わってきたSSでした (^-^)
白洲の頑張りは実を結ばなそうなのですけど、自由にならない
未来が白洲を変えていく事は確かでしょうね。