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England wo omoe
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
めっちゃ面白かった!
20世紀初頭のロンドン郊外を舞台に、二人の男が出会い、目的は違えど利害の一致で行動を共にしていくストーリー。
ウィットに富んだ会話の数々、言葉の裏の裏まで読むような探り合いが面白くて、あっという間に引き込まれました。
2014年「ベストLGBTロマンス賞」受賞作。
主人公のアーチーは、H.R.ハガードの「ソロモン王の洞窟」に登場するカーティス卿の甥という設定で、本作は二次創作ものにあたります。
ヒューバート卿の別荘に招かれた元英国軍大尉のアーチー・カーティスには、ある目的があります。
同じく招待客の詩人ダ・シルヴァもまた別の目的があり、屋敷を調べていてーー…!
自身が巻き込まれた「欠陥銃事件」を調べるカーティスと、友人を自殺に追い込んだ脅迫事件の真相を追うシルヴァ。
この二つの事件に共通している容疑者が、パーティーの主催者であるヒューバート卿です。
事件の証拠を掴むため、ヒューバートの部屋を調べたり、深夜の図書室に忍びこんだり……もう、バレそうで見つかりそうでドッキドキ。
早く早く〜!って感じで、手に汗握りました^^;
暴かれていく事件の真相が結構恐ろしくて、その割に目的がしょーもなくてやるせない……
事件を追う中で育っていく、カーティスとシルヴァの信頼関係と恋心には堪らなく萌えました♡
人種も階級も知性も異なる二人が、お互いを知るほどに惹かれていきます。
シルヴァとの会話の中でカーティスの心が動いた瞬間が分かる!
会話一つ一つに人間性が垣間見えたり、悲しみや苦しみが感じられたり、キャラの内面を丁寧に描いているところが素晴らしいんです。
ふわふわしているように見えるシルヴァの、知的で狡猾なギャップもイイ!
軍人として生きてきた肉体派のカーティスと、ボヘミアンな生き方をしている知性派のシルヴァ。
二人の触れ合いが官能的で、特にカーティスがシルヴァに初めてフェラするところが好き♡
相手に快楽を与えること、その悶える様や喘ぎ声を聞くことを幸福だと感じるようになる瞬間。
シルヴァの精液をムスクのような味と表現するところ。
全てにカーティスのシルヴァへの愛を感じた!
ツーカーで通じ合う二人が、恋愛に関しては以心伝心能力が使えない可愛さが微笑ましい。
そして、事件は意外な幕切れを迎えます。
とんでもない犯罪ファミリーの驚愕の結末を見届けて下さい。
カーティスとシルヴァに協力する二人もかっこよかった!!
二人の恋の行方はジレジレできゅんきゅんです。
シルヴァの素直じゃない物言いがクセになり、カーティスの告白は胸に響きます。
これね、時代背景も絶妙なんですよ。
20世紀初頭って同性愛が罪で、偏見が酷いから男同士の恋愛に対する葛藤が切ないの。
で、過去のトラウマから愛することを恐れるシルヴァの苦悩も。
とにかく、命をかけた男たちの熱い戦いから目が離せません!
ひとつ難点を挙げるとしたら、カタカナの名前が覚え難かったこと。これ、切実な悩みでした(泣)
スカベリさんのイラストも最高!!
正直、ジャケ買いですもん。
モノクロームロマンス文庫やっぱりいいわあ。ハズレがないのは翻訳という手間をかけるから原作を厳選してるんだと思う。2014年の「ベストLGBTロマンス賞」受賞作だそうです。
舞台は1904年のイギリス。腐女子の皆さんはご存知ですよね?同性愛が犯罪とされていた時代背景です。切ないとか背徳感とかのレベル超えてます。性行為の現場を押さえられたら猥褻罪で懲役になってしまうのです。恐ろしい。
元軍人の英国紳士×男色家の詩人(別の任務も負っている)でユダヤ人のカップルですが挿入シーンはないので受け攻めは正確にはわかりません。海外m/m作品はリバ多いし。でも体格はイギリス人が大柄でユダヤ人の方は細身でこの時代に片乳首にピアスしているというエロい仕上がりの人です。
訳者の方のツイッターを見るとこの作品の様々な情報が載っていてさらに楽しめます。タイトルの慣用句の意味や原作者が日本のマンガの絵がついて喜んでいたことや(だよねー。日本のBLコミック・イラスト素敵すぎだもの)作中の緑の花の意味など。ゲイのシンボルのお花だそうです。
人種も階級も宗教も全く違う最初は険悪だった2人が陰謀渦巻く恐怖の館の中で共同戦線を張って、お互いの魅力に惹かれ合い絆を深めていく様子がドラマチックに描かれています。ラストの方で一気に盛り上がる2人。でも2人には同性である以外にもあまりにも障害が多すぎてなかなか素直になれない受け?のダニエル。頭が良くて勇気があるのに自分の恋愛には過去の辛い経験もありどうしても臆病になってしまう。時代が時代なので慎重なのも当然。
でもそんなダニエルの態度を物ともせず戦車のように純愛の道を突き進む攻め?のカーティスの態度が素敵。ナヨナヨした男色家の皮を被ったキレキレの秘密捜査員で皮肉ばかりのよく回る舌を持ったダニエルに「そんな君の舌が好きだよ」と殺し文句。ダニエルが動揺して完璧な上流英語が崩れて下町言葉が出てしまうシーンが好きでした。
時代を考えるとハッピーエンドとはいえ2人の恋愛は茨の道だとは思いますがラストの激甘の雰囲気は腐女子の皆様の心の琴線に触れること間違い無しの名作だと思います。続編あるのなら読みたいなー。
海外ものならではの壮大な展開のBL。めちゃくちゃロマンティックです。やっぱり反目している二人がくっ付くという展開は何十作品読んでも面白い。2人の親密なシーンは本当にドキドキしました。反目が二人の性格だけではなく職業や生まれのバックボーンからそうなるというのも海外作品はしっかり書くので読んでいてストレスがないです。あと体格差にも萌えます。
2020年読んだ作品では少なくとも五指に入ると思っていたのですが、ちるちるで小説部門のノミネートに入っておらず、レビューを書いていなかったことを反省しました。
かつては世界的に権勢を誇ったものの翳りが見え出した1904年頃の大英帝国が舞台。読み出した時、英国文学で有名なジェイン・オースティンの「高慢と偏見」を読んでいるかのような気分になりました。上品で華美な生活の裏側で繰り広げられるアバンチュールや悪行の数々。貴族の虚飾と退廃を感じました。がんじがらめな階級社会とノブレス・オブリージュ、そして家同士が決めた閉塞感のある結婚生活の中で、隠れた所で自由と快楽を見つけざるを得ないのでしょうか。
イギリスの片田舎の某地方が舞台のクローズド・サークルものサスペンス。序盤である程度事件の背景等が明かされますが、クローズド・サークルものだけに、かえって不気味でハラハラしました。舞台となった場所が色々条件が揃いすぎる案件で、、怖いです。
発端となった事件、解決に至るプロセス、エンディングともになかなか衝撃的で頭がマヒしてきました。どこまで○○防衛なの??善悪ごちゃごちゃになる。。
破滅と栄光。結末に呆然としました。タイトルに込められた意味など色々考えさせられます。
英国の根強い階級社会、人種差別風潮の中で、あからさまな蔑視を受けながらも、自らの嗜好を隠そうとせず、奔放に振る舞う多才なダ・シルバァは魅力的ですが、内面は繊細でとても傷ついているのが感じられます。何より相手、カーティスの事を一番に思いやれる性格にじーんとくるし、とても切ないです。何度も涙しました。
某事件で失った物も多く、今は勇気と誇りを持って愛故に上流社会の規制観念を打ち破ろうとするカーティス。同じ20世紀初頭のイギリスを舞台にした小説・映画の「モーリス」を思い出しました。「モーリス」ではクライヴの選択が理解出来なかったのですが、この本でシルバァが何に直面してきたかを味わい、理解が深まりました。同性愛者は迫害されて、いかに生きにくい暗黒の時代だったか、、。見つかると現行犯逮捕で監獄行き…という事実に驚くばかりです。カトリックでなくプロテスタントの国なのに。犯罪を犯す事と同性愛が明るみになる事が同等に社会的生命を絶つという重みが二人の前途に立ち塞がります。
社会の上層にいる人達ほど失う物も大きく、葛藤も大きい事が伺えます。だからこそシルバァもカーティスの輝ける余生に汚点を残すのでないかひどく心配します。それにしても、上層の人ほど全寮制の寄宿舎学校、男性ばかりの名門大学、男性ばかりの職場という同性愛の下地になりそうな条件が揃うという何たる皮肉、、。この時代は女性が学問の分野、社会に進出しない時代背景だったから、余計に隠れて…が多かれ少なかれあったのかもしれません。
なかなか文学的で、会話もウイットに富んでいるし、サスペンスものとして楽しめ、時代背景も覗けて満足の一作でした。モノクローム・ロマンス文庫の中では、他の作品ばかりが取り沙汰され、あまり話題になっていなかったので、正直期待していなかったのですが、とんでもなかったです。名作で読み応えがありました。何故話題にならないのかホント不思議。映画化にもに向いてそうなエンターテイメント性に溢れながらも、色々考えさせられる一冊でした。
この後「モーリス」や樋口美沙緒先生の「パブリックスクール」も読み返したくなりました。
この作品はBL的には最後までいっていない(笑)ので余計に、バディものとして今後も色々な事件に二人で潜入調査して欲しいです。シリーズ化が実現すると良いなー。
この作家さんの他のシリーズも読みたいです。
「モノクローム・ロマンスにはずれなし」の法則は変わっていません。
二転三転する筋立ても、武骨な元軍人とモダンな皮肉屋でおまけにクィアな詩人というキャラクターも、犯罪のえげつなさとその解決の『天誅感(笑)』の男らしさも、グイグイ読める面白さですが……英国の物語って難しいなと思っちゃったんです。「私、階級社会の中での身分差についてちゃんと解ってないよね」って。
時は1904年。日露戦争が起きた年ですね。
主人公のカーティスは伯爵家で元英国大尉。
粗悪な銃の暴発事故により所属部隊が壊滅し、彼も右手の指を3本失くして除隊した過去があります。その時にけがをした膝の調子も悪いまま。
そんな彼が招きに応じてアームストロング家に訪れたのは、その暴発事件にアームストロングが絡んでいるという話を耳にしたから。きっとガセネタだろうと思いつつも、カーティスは充実していた軍の仕事と、信頼していた戦友たちの命や将来を奪った事件をうやむやにしたくない気持ちでやって来たのです。
そこで出会ったのは浅黒い肌を持つ詩人でクィアのダ・シルヴァ。
クィアって今ではセクマイを指す言葉つして使われますが、この当時(同性間の性行為は犯罪ですから)はかなりの蔑称です。『変態』というルビがふってありますが、もうちょっと侮蔑的な感じゃないかと思うんですよ。
カーティスもダ・シルヴァを『そういう人を見る目』で見ますが、アームストロング家を探っているうちに、ダ・シルヴァも自分と同じ目的を持って潜入してきたことを知ります。利害が一致した2人が一緒に極秘で行動をするうちに、カーティスは、男たちに蔑まれているダ・シルヴァが知的でエスプリに富み、勇気があることに気づいて行きます。
カーティスの気の緩みからアームストロング家に不信を抱かれた2人は、目くらましとして性行為に耽るふりをするんですけれど……
英国は言葉遣いだけではなく、アクセントすら階級で異なると聞きます。立ち居振る舞いや話し方で出自が解ってしまうのだと。
で、このお話にもそういう事がちらちら出て来るんですよ。
こちとら『みんなが中流』の昭和生まれですからねぇ。多分、私が思っているのよりももっと激しい差別意識が此処には書かれているんだと思うんですね。
だからカーティスがダ・シルヴァに惹かれて行く過程が、ある意味『あり得ない』事なんだと思うんです。最初は『嫌な奴』だと思っていても徐々に良い所を見つけ出して行く過程を読み進めると、ダ・シルヴァだけじゃなくてカーティスが誠実で公正な『良い奴』だっていうのが解るんですよ。
これもねー、ちゃんと『階級』の感じが解っていれば、もっとグッとくると思うんですよねー。
惜しいんですよ、この解らない感じがっ。
ああ、こんなことなら若い頃にもっとちゃんと勉強すれば良かったっ。
お話は続きそうです。またしても楽しみなシリーズの誕生。
(裏表紙側の帯に『2020年秋イーライ・イーストン、同冬ラニヨン、同12月ライラ・ベース、2021年ラニヨン刊行予定』との記載が。あああああ楽しみ。)
怪我で軍を退いたカーティスと、詩人のダ・シルヴァが主役。
カーティスは当初、頭の固い人だと思ったし、ダ・シルヴァは話し方や内容から頭の良い人だと感じました。(実際、頭の回転の早い人とあります)
しかし、当然ながら当初の印象だけの人物たちではありません。
読み進めるうちに、それは少しずつ変化したり付け足されたりしていきます。
その変化が実に鮮やか。
特に、これはカーティス視点で書かれているため、彼の変化は読み手には顕著に伝わります。
ダ・シルヴァと出会い、幾つかの出来事を経るうちに始めの頭の固さというものはどんどん薄れ、ラスト周辺まで来ると柔らかい印象さえ私は持ちました。
正直、冒頭ではカーティスを好きになれるかな?とも思ってしまったけれど、半分くらいまで読むと結構好きだなと、ラストまで来ると凄く好きだなと感じました。
対してダ・シルヴァは当初は頭のとても良い人、皮肉屋といった印象でしたが、臆病な面など弱いところも見え始め少し意外でした。
この物語の時代は男性同士の恋愛は罪とされ投獄される背景がありますから、恋愛も決して個人の自由などではなく、逮捕と背中合わせということに。
そのため同性愛者への偏見や差別も今より遠慮がなく、加えてダ・シルヴァは人種としても蔑みの対象になったりします。
それゆえに作中でも不愉快な言動などが飛び交いますが、始めはダ・シルヴァに良い印象を持ってなかったカーティスの、それらの言動に対する姿勢が少しずつ変化していくところもグッときます。
あと、その手のシーンは本番という意味ではありません。
口で、までです。(お互いに)
が、何やら妙に色っぽいですね!
イラストの、スカーレット・ベリ子先生のお力も加わってのことなのは言うまでもありません。
後半、何だか主役の2人より、別の人たちの方が活躍しているような気もしないではありませんが、とにかくハッピーエンドで終わって良かった。
途中、2人ともに弱さが見えたり、戸惑いがあったりしたけれど、ラストは両方にビシッと見せ場を作ってあげたのが見事だなと思いました。
最初はよく分からなかったタイトルも、振り返れば的を射ている。
自分が平安、戦国、江戸、明治…日本の歴史小説を読んでなんとなくスッと理解できるように、イギリス人が読むべき本なのかな…と思ってしまった。きっとその方が何倍も面白いのではないだろうか。男色が刑事罰になる世界は実際にあったのでしょうけど、どうもそういった歴史背景や階級、学校のレベルなど、国に根ざしたものを知らないで読んでいることが勿体なくなる。交わされる皮肉の半分も面白がれていない気がしてならない。
最初の方特にその点と、なかなか慣れないカタカナ名の登場人物の矢継ぎ早な登場に怯んだものの、きっちり楽しめました。モノクローム・ロマンス文庫にハズレなし。
登場人物が溢れてきた時に流して読み進めても楽しい本もありますが、この作品に関してはきちんと覚えておくことをオススメしたい。
序盤とラスト付近、主役2人ともの印象がガラッと変わった。可愛いからいいけどね!
無条件に信頼を置けるモノクローム・ロマンス文庫!
今回も面白く、夢のようなお盆休みが終わり社畜に戻らなくてはいけない現実を忘れさせてくれました。
特に好み要素がない登場人物でもストーリーの中でニヤニヤさせてくれるんですよね。
単にただのBL…というところに重きはなく、ストーリーに厚みがあるんですよ。
そこを日本人の感覚ではあまりうまくキャッチボールできないような洒落ているとも思えるセンスある会話のやり取りが尚楽しい。
舞台は敵地なのでスパイスもきいていてドキドキしました。
軍人らしい立派な肉体をもつカーティスですが、自分の内心そのままの好意をまっすぐ一生懸命伝えようとしているところは可愛かったです。
(立派な胸毛強調されているのって新鮮でもあった…!)
シルヴァの第一印象は最悪な方だったし読者としてもなんだか胡散臭さ感じましたよね(笑)
でも話が進んでいくにつれ魅惑的な姿にはやられた…!
きつめのズボン……いいね!!
一つ一つのシーンが簡単に頭の中に浮かびお話に集中できました。
それにしてもこの時代はバレれば刑務所に入れられてしまうのね…ひぇっ。
(それはそれでそういうフィクション作品ないのかな…と思ってしまった)