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「赤色サイレン」の続編です。
本作は、年下の救急救命士の風祭信吾と恋人になった羽所病院の院長の義理の息子・羽所郁生が、元々ノンケで誰からも好かれる信吾との関係性に不安を抱く姿がメインとなっていきます。
あんなにクールだった郁生が、今では信吾が可愛くてしかたない。
しかし、自分が7才年上ということや、信吾は今夢中になっているだけ、という思いが拭えず、また信吾の熱さもやがて冷めてしまう、だから愛してしまったら別れるしかない、という思考に囚われ始めて…
一方信吾は相変わらずどころかますます郁生に優しくて、郁生は心とはうらはらに冷たく素っ気ない態度を取ってしまう。
そんな時、郁生の元カレで大学病院の麻酔医・麻生が郁生のストーカーになってしまい…
信吾を求める心を押し殺してしまう郁生と、郁生の言動を真に受けながらも誠実な信吾のすれ違い!
そして麻生に襲われる郁生の緊迫がこわいです!
そして本作では最後にもう1つ、大きなクライマックスが。
立て篭り事件が発生し、人質に狭心症の持病があるということで信吾たちが駆けつけるのですが、犯人に立ち向かってしまった信吾に犯人のナイフが……!
ここに来て死ネタか⁉︎と慌てましたが…
やっと素直になった郁生も案外可愛い。仕事を通じて出会い、仕事でもお互い助けあって高め合える相手との本当の恋。ラストのエッチシーンは信吾がきっちり郁生をリードしていて、2人はベストマッチな恋人です。
続編です。救急の現場で働くカプなので、お仕事ものでもあり、そのへんも楽しめる展開です。でも、ただのお仕事ものには終わらないというか、やっぱり剛さんは読ませてくれるなあと思います。
前作から1ヶ月くらい経過しています。
救急救命士の仕事は朝から翌朝までの24時間勤務。
お互い忙しく擦れ違いも多い。
けれど合鍵も渡されているから、信吾は家の掃除をしたり料理を作って帰りを待ったりと恋人に甘く尽くしています。
かれど郁生の方は信吾のように甘い時間を素直に楽しむことができないんですね。
自分がどんどん信吾に嵌まっていくのが怖くなっているというんでしょうか。
信吾の将来を思う気持ち、ノンケだった信吾を男同士の恋愛に引き込んでしまった罪悪感も感じています。
ストレートな愛情を嬉しいと感じている自分がいても、このまま夢中になって信吾を受け入れ、そしてもし別れるときがきたら自分の方がきっと耐えられなくなる。そんな風になるのは郁生のプライドが許さない。
だから信吾の愛情に素直になれず、つっけんどんな態度で接してしまい、信吾が傷ついた顔をするとしまったと思うけど素直じゃないから謝ることもできない。
迷いを打ち明けることなく信吾に冷たい態度を取ってしまうので、信吾にも不安が生まれてしまいます。
二人の間には微妙な擦れ違いの空気が流れはじめます。
しかしお互いの迷いを取り除き、それ以上に二人の関係を確かなものとする二つの事件が起こります。
「赤色コール」というタイトルは二人の仕事を連想させますが、二人の強い結びつきの意味でもあるのがわかりナルホド~でした。
ハラハラ、じ~んとさせられるシーンもあって、大変楽しめました。
ワンコ好きにはたまらない一冊でしたね。