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「コイシラズ」が先日発売になりましたので、引っ張り出しました!
きっと「コイシラズ」を読んだだけでも、それなりに物語はわかるとは思うのですが、八代俊一という人間を知るには、どうしてあんなにピアニストの滉に囚われてしまったのか、それを知るにはこの「流星のサドル」があったほうがよりわかると思えます。
この主人公、結城滉という男について何て臆病でヘタレで情けない!!と叱咤して、ケツひっぱたきたくなります。
俊一が好きなのに、それはもう犯したいと思うほどに我慢できないほどの欲情を持つ程に音楽もなにもかもひっくるめて全てが恋しくて恋しくてしかたないのに、好きすぎるが故の臆病が極端なのです。
この音楽モノの根底には必ず”音楽=セックス”があるのですが、最初の出会いとセッションでこともなげに俊一はそれを口にする。
何もかもが俊一のあまりに天然とも呼べる恋心への疎さが呼び込むものなんですが。
もちろん才能もだけど、その身体も欲しいとだんだん抜け出せない一人きりの樹海に陥ってしまうのには、滉の右腕がひどい腱鞘炎になってしまったこともあります。
彼と演奏するために更に無理をして腕を悪くしていく、休めればある程度の回復も見込めるはずなのに、そのブランクが俊一と離れてしまう危機感からさらに無理をする。
他のメンバーはとうに気がついていて、それとなく聞いてくるのに、俊一はうっすら気がついていながら滉の大丈夫という言葉を真に受けて、さらに滉をあおるような甘い言葉をかけてしまうのだ。
どうしようもない想いを何とかするために、買った男が劇団員の充。
彼は俊一とは似ても似つかないが、俊一と思い、俊一を犯すシチュエーションで無理矢理に抱くプレイをする。
充の存在で、多少は救われる滉だがそれは一時的な痛みどめのような効果しかない。
充は自分が代替だということを知りながらも滉のその寂さを察して、本気になっていって、滉の為に自分が俊一に気持ちを言いに行ってやるとさえ言う。
・・・もうっ!!滉!!お前は世界最大のヘタレだ!!!
充とホテルから出てくるところを俊一に見られ、絶望する滉。
逆上してしまった滉は自分で自分の右腕をとうとう駄目にしてしまう。
「コイシラズ」の中で滉は自殺だったのか、事故だったのか、ということが俊一の心にシコリを残してしまいましたが、これを見ると解るでしょう~
ピアニストして俊一に必要とされなくなる日がくる恐怖と、恋心を告白した時に拒絶される恐怖と、汚しがたい音楽の天使を汚したいとおもう自分への罪の意識と、つくづく彼はネガティブだ。
しかし、一流の音楽を表現するものはある程度、そんな部分を持った人間もいるのかもしれない。
滉も、俊一も初心すぎたんだ。。。
この本、実にやおい的表現が満載で、何かうれしくなってしまう。
普通の小説とこうしたBL小説と、一体どこが描き分けになっているのか、そんな比較が勉強にもなる作品でした。
やっぱり萌えとはどっか違うんですよね。
それは壮大なシリーズの中の一作だから、思い入れが強いからかもしれません。