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溺れたのは、どちらが先だったのだろう
mitsu no you ni doku no you ni
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
表題作の長編と、短編2つの3作品収録されています。
「蜜のように毒のように」
岬(受け)の視点。高校3年生の夏、父親が連れてきた鬼頭(攻め)に心も体も溺れます。恋人同士だと思っていた岬ですが、1か月後に別れを告げられます。それから6年後、岬は保育士になります。妹の子を迎えに来た鬼頭と再会し、仕返しをしようとするのですが…という話です。
「願うように、祈るように。」
あとがきに説明がないで不明ですが、タイトルに「。」がついているのは鬼頭の視点だから?
再会してから2年、半年ぶりの逢瀬の甘い話です。岬を撮ることと、同居することを決める鬼頭です。
「羽のように光のように」
前作7月から1か月経った9月。帰りを待つ岬と、帰ってきた鬼頭が岬の元で安らぐ話です。
自分も仕事をするようになり、鬼頭の仕事への姿勢を理解できるようになり、束縛でなく待つことができるようになる岬。鬼頭との別れがムダなのでなく、成長する時間が必要だったというストーリーに好感が持てました。あと、生きて戻れないかもしれないからとライカを形見分けする場面にぐっと来ました。
仕事に生きる男と、それを理解し安らぐ場所になれる恋人という設定がお好きな方にお勧めだと思います。攻めが思ったより酷い男でなく、受けを好きなんだろうなと感じさせる作品でお気に入りです。ただ、別れている間に他の男と関係を持ったという話題がでますので、苦手な方はご注意ください。
杏野さんは初読み作家さんです。
文体は簡潔で落ち着いていて読みやすく、好みでした。
佐々木さんが描かれる体格差と性格の差がありそうな2人を見て、好みかもしれないと思って手に取りました。
保育士の岬と世界中を駆け回るカメラマンの鬼頭。
2人は岬が勤める保育園で6年ぶりに再会します。
鬼頭はまだ岬が高校生だった頃、岬に手を出してあっさりと捨てた男。
年の差がかなりある2人ですが、鬼頭に再会した途端、昔の口惜しさが蘇って来た岬は、今度は自分が鬼頭に一矢報いる決心をするのですが…。
序盤から2人の経験差が明らかで勝負にならないなという印象でしたが、岬が6年後も一途で真っ直ぐなのが可愛かったです。
岬視点なので、途中鬼頭がどう思っているか分からない展開にヤキモキします。
最初は少し女々しい印象のあった岬ですが、徐々に成長が見られたのが良かったです。
はじめての男との再会ラブです。
世界を股にかけて活躍するカメラマンと、保育士の恋。
ところどころ面白いシーンはあったんですが(とくに、攻めがたまに見せる焼きもちは、ニヤニヤするほど面白かった)、全体的には萌えられなかったです。
あまり感情移入することもないまま、あらすじだけを追う感じで読了しました。
主人公の気持ちの揺れに共感できなかったのが大きいかな。
あと、子供の描き方も好きじゃなかったです。