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中学生の嘉手納奏は、覚醒すると湖の中にいた。
自分が誰かもわからないまま、寒さに凍えながら、ただ必死に湖からはい出した。
そんな奏の元に、美しい女の人が手を差し伸べる。奏はその女の人に連れられ、暖かい部屋と食事を用意してもらうが、すぐに「追手」と言われる男たちが、その家に現れる。奏を助けてくれたウルテアという女の人は、奏を救ってくれようとするが、植物が押し寄せてきたり、水が襲いかかってきたり、と普通ではありえないことが起こり、結局奏は、ウルテアと二人、再び湖へと飲みこまれてしまう。
再び奏が目を覚ますと、そこは湖畔の病院で、アイザックと名乗る若い男が奏の傍にいた。そこで初めて、奏は自分が心臓の移植手術を受けるためドイツを訪れていたことを思い出し、心臓の移植は成功したが自分が行方不明になっていたことを知る。
心臓移植したばかり人間には無茶な行動をとった奏だが、入院していた病院に戻った後は、驚くべく回復力で健康を取り戻して行く。
そして、奏は元の生活に戻るべく、日本に帰国することになる。
心臓の病で、長く学校を休んでしまったため、元々いたクラスよりも一学年下からやり直すことになった奏だが、学校には謎めいた転校生――神楽崎がいた。
そして、日本に戻った奏の家には、移植コーディネーターのアイザックが同居することになった。
そしてそころから、奏の廻りで不穏な動きが起こりはじめる。
この話の設定がすごく好きです! 大好き!
心臓移植という思いテーマをうまくファンタジーにアレンジしてるな、と思いました。
そして、この人の話の特徴だと思うのですが、一体全体、誰が仲間なのか? 本当の味方は誰なのか? わからないことにドキドキします。
みんなが、みんなの正義で動いていて、本当に誰が正しいのか今の時点では全くわからないことも面白い要素の一つだと思います。もしかしたら、全員が全員正しくて、誰の思いも否定できないのかも知れませんが……。
果たして、本当の意味で奏を守ろうとしているのは誰なのか? 全員が疑わしくて、それぞれが、それぞれを疑うように差し向けていて、ともすれば誰も信じられなくて、結局信じられるのは己だけ。そんなドキドキ感がすっごく面白い。
今の段階ではアイザックの立ち位置も微妙で、決してBLとは言い難い状況なのですが、それでも十分に面白く読める話だと思います。