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koto no beni
作家さんの新作発表
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夏の終わりにはやっぱりオカルト!と手に取りました。
テーマは「血を吸う妖刀」!
主人公は身長187センチで剣道は全国レベルの、男から見たいい男、鎌倉南署の刑事・大門京介。
彼は霊感があり、人には見えないモノが視えたりする。
ある日、ヤクザの組長が斬り殺され、二振りで一組の日本刀のうち一振りが盗まれるという事件が起きます。
捜査の過程で刀工の当麻博雪という男に出会い、刀達の因縁の世界に巻き込まれていく京介…
という具合に展開するのですが、この「刀の因縁」が何とも凄まじい。
「紅」(くれない)は血を好む刀。戦国時代に造られ、何百何千の血を吸ってきた妖刀です。
ならば対となる「白」は、紅を鎮めるために元禄時代に造られた。そして白は男の精液を好むのです。
紅と白を一緒にしておけば何も起こらない。しかし離れ離れになると紅は人斬りを呼ぶ…
そして白は紅を探してくれる清浄な気を持つ男を自ら引き寄せる…
いいですね、この和風耽美という感じ!
白は独りになると、これという男に過去の持ち主達の艶事の幻影を見せます。京介も夢に小姓と藩主の悲恋を視て夢の延長のように博雪を抱きます。そしてその絶頂の瞬間、博雪の躰から抜いて精液を白にかけるのです。頭の中には「もっと喜ばせろ」という声が響いて。何ともエロ凄まじい…
とは言っても、初めから博雪への恋愛感情を自覚して博雪にも伝えているので悲壮な感じはありません。博雪も京介を支えて、相思相愛感がきちんと出ています。
紅の妖気故に起きる連続殺人事件の捜査、京介の相棒刑事とのどこかコミカルなやりとり、京介と博雪の恋物語のバランスが良くて、題材としてはおどろおどろしいけど読みやすいと思います。
特に私はオカルトっぽい話が大好きなので、とっても面白かったです。
続編あり。
1冊丸ごと表題作です。
妖刀に誘われて人を斬り殺すという、少しオカルトチックな内容です。
刑事の大門(攻め)は幽霊の見える男。そんな彼が、大森というヤクザが自分が持っていた日本刀で斬り殺されるという事件を捜査することになります。
刀鍛冶の博雪(受け)を尋ねていくと、先祖が作った刀だと言います。紅丸と白丸の二振りで一組ですが、紅丸は犯人が盗み、残ったのは白丸だけ。
現在の所有者であるはずの四ツ目を訪ねると、彼も殺されています。
大門はもっと話を聞こうと博雪を訪ねますが、そのうちダメだと言われたのに白丸を抜いてしまい…。
紅白の刀の、妖刀としての因縁や、大門の霊感についての話をすんなり受け入れられれば楽しめます。紅は血、白は精液を好むというエロい設定に有り得ないと引いてはいけません。刀が汚れてしまうんじゃないの?という疑問たちには丁寧に書いてくれているので、それほどトンデモ展開には思いません。
白丸に操られて博雪を抱く大門ですが、最初から惹かれるものを感じています。
一方、博雪も役目なので大門を受け入れますが、最初から好ましくも思っています。
そういう雰囲気の下地があるので、最初の情交も、操られただけという感じはせず、二人が両思いになる過程をすんなりと受け入れられます。
事件の解決、二人の関係、過去の因縁、恋愛だけでなくミステリーとアクションもあり、読み応えのある作品でした。
紅丸の過去の話が「妖しの剣」として出版されているそうですので、そちらも読んでみようと思います。
霊感体質の攻も、ちょっと謎がある受も、どちらのキャラも生き生きしていて、とてもおもしろかった。刀の因縁話もドラマチック。剛さんは、こういう話を重苦しくなく読ませてくれるから、やっぱり好きだ。
先だって発売された「妖しの剣」、読まれた方多数おいででしょう。
本文を読む前につい、あとがきを読む癖を止められない自分ですが、そのおかげでちょっとした掘り出し物を見つけた気分です^^
あとがきにしいら先生が「”妖しの剣”は他社さんからのシリーズに出ている日本刀の創世記」というようなことを書かれていたので、さっそく取り寄せました。
“紅“の妖気が現在でも残っていることがストーリーに大いに関係してくるのですが、紅の“気”を鎮めるために作られた“白“という相方の剣の作られた経緯というか作られ方が何ともエロ哀しい。作るときの状態を考えると、妄想が逞しくなります。
また、白に力を与えるための与え方が、受けにとってはある意味寸止め!
刀に力を与えるための行為ではなく、お互いが愛し合うための行為が出来るようになった時は、「心おきなく出来るようになって、良かったね…TT]としみじみしてしまいました。