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hikari no sekai
電子書籍で読了。挿絵なし(表紙絵も小さい。電子の発行日がH24年なので仕方がないかも)。あとがきあり。
皆さまの書かれたレビューを読ませていただき「面白いのでは?」と購読。
で、思ったことは「ひょっとしたら事前知識が一切ないままで読んだら、もっと面白かったのでは?」と言うことなんです。
でもね、レビューを読まなかったら手に取らなかったと思うのですよね。この辺、痛し痒しというか……
このお話は『真昼が恋に落ちる久野木の謎』というサスペンスだと思うのです。
正体が分からない人にどんどん填っていく不安をドキドキしながら読むのが正統派の読み方だと思います。
だからこれから読む方は、ネタバレしない方が楽しめるのではないかと。
サスペンスの盛り上げ、私は結構、来ました。
でも、ネタバレを先に読んじゃったからなぁ……
「ちょっともったいない読み方をしてしまったなぁ」と反省。
表題作と続編の中編2作品。
どちらも真昼(受)の視点なためか、久野木(攻)の感情を読むのが難しかったです。
読後、この作品の特徴は「攻めの心情が難しい」「目を舐める」の2つかなと思いました。
32歳という大人な分だけ感情を隠すのが上手く、真昼が好ましくない言動をするのを不快に感じているのか、真昼に予想外な反応をしてしまう自分に苛立っているのかが読み取れませんでした。でも、弟を愛しむ仕草である「目を舐める」という行為が徐々に減っていったとか、真昼に惹かれていく過程をもっと容易に表現できただろうに、あえてせず、読みづらいままにしたのかもとちょっと思いました。
久野木は弟を失った喪失感を埋めたかったのか、弟に繋がる真昼に理由をつけて近づきたかったのか…。お金と時間をかけた割には、ナンパして抱くという嫌がらせの域を出ない幼稚な目標に、その心情をかえって深く想像してしまいました。
表紙では優し気なイケメンなのですが、続編で「女を誘惑した」とさらりと言うほど、なかなかクールな男です。そんな久野木が真昼にメロメロになるラストはなかなか楽しかったです。
榊花月さんの大ファンなのですが、萌え評価にしてる作品のなかには「神の一歩手前」っていう作品がたくさんあります。
惜しいんです!この作品でいうと、腹黒な攻めが微妙に惜しい。何かが足りない感じがする。もう少し悪意があってもいいかもしれない、或いは逆にもう少し一途さがあってもいいかもしれない。
悪意でいうと、最初のセックスが休憩3000円ぐらいの安いラブホだったら萌えたかも。相手を傷つけようとして逆に自分が傷ついて後悔するみたいな展開、最高に萌える。(でもこれは大半のBL愛好家にとっては萎えポイントになるだろうなw)
でも最近は、その惜しい感じすら榊花月さんの魅力かもしれないと思うようになりました。
足りない感覚というのは余韻にも繋がるんですよね。さらに私、しつこい心理描写を好まないもんで。
受けくんの性格が好きでした。
必死になって攻めを追う受けくんに、キュンキュンしました。
そんなに頭は良くないし、ちゃらちゃら遊んでばかりいる受けくんの魅力は、まっすぐなところ。あたたかい家庭で育った人の持つ、底力のある懐の深さが彼にはある。そういう意味で彼は、攻めよりもオトナです。
それがエリートだけど欠落を抱えた攻めの心を溶かしてしまう。
この二人、つきあって数年したら、エリート攻めはオカン化した受けの尻に敷かれちゃうかもね。で、攻めはマザコン化するかも、なんてことも思いましたw
主人公は火事で失った視力を、角膜移植手術で取り戻した真昼。
闇の世界から光の世界へと。見える喜びを噛み締めつつ、
高校生活を謳歌しています。
そんな彼に近づく商社勤めの久野木。
彼の優しげな言葉の裏にある冷たさ、翳りに戸惑いつつも、惹かれていく真昼。
ネタばれになりますが。
真昼に不自然に接近してきた久野木の言動で、作品の序盤から既に
この人は真昼への角膜提供者の関係者(縁者)らしいというのが安易に察せられ、
謎解きの楽しみはありません。
亡くなった人の角膜が、誰かの瞳として生き続ける角膜移植。
死者によって巡り合った真昼と久野木。設定はツボなのですが。
設定を凌駕する萌えを、内容には生憎感じられなくて。
と言うのは、キャラクターの心情が(私には)判り辛いのです。
特に久野木には、共感できない部分が多すぎて。
とにかく久野木の真昼に対する恨み節が壮絶。
それは角膜提供者への執着の裏返しですが。
久野木の提供者への執着が「愛」よりも、
「気持ち悪さ」を感じてしまうのです。
真昼も一般男子として真っ当に暮らしてきた割りには、
あっさり久野木に惚れるのが唐突過ぎて吃驚します。
これはBLだから、その辺りはお約束で、
突っ込みどころじゃないのでしょうか?
なので真昼と久野木が恋に落ちる過程も、あまり納得できませんでした。
二人の恋の障害はハードで重いと思うのですが、アッサリ解決した感もあって。
設定も素敵だし、萌えな場面もいくつかあったので。
色々ともったいないな~と思った作品です。
>乱菊さん
コメントありがとうございます!
え?このレビューが4000本目だったのですか?
全然気がつきませんでした(汗)
お知らせくださり、ありがとうございます。
文章が優しいなんて初めて言われたので、
嬉しくて舞い上がってしまいそうです!(笑)
乱菊さんは幅広く、色々な作品を読まれて、凄いです。
私もいつも楽しくレビューを読ませて頂いています!
ありがとうございましたm(__)m
こんにちは。
このレビューが4000本目でしたね~!+*・゚(゚∀゚)゚・*:+
私も何気に投稿したら4001本目だったので、キリ番逃しちゃったなー!と残念がっておりました(笑)
しかし3000目本が2/3のようですから、ちょうど1ヶ月で1000本だったんですねー。
すごく早いですねえ。
藤棚さんのレビューは文章が優しいので密かにファンでした(もう密かではない)。
私はコミックスばかりなので、小説レビュは参考にさせてもらってます!
角膜移植で視力を取り戻したばかりの真昼は、青春を謳歌しようとしている高校生。
そんな真昼の前に現れたのが、端正な美貌の大人の男、久野木。
真昼を遊びに連れ出してくれる大人の男に、真昼は次第に夢中になって、久野木と付き合い始める。
けれど、久野木には何か秘密があるようで、笑っていても瞳の奥は笑ってなくて、どこか真昼は不安を抱えていた。
そして、ある日、二人でデートをした帰り道。
突然、久野木が冷たくなった、それきり連絡も取れない久野木に真昼は耐えきれなくて家まで押し掛ける。ところが久野木には冷たく追い返されてしまう。
ショックを受ける真昼だが、それでも諦めきれずにもう一度、久野木の家を訪れると、ついに久野木の口から、久野木が真昼に近づいた本当の理由が明らかにされる。
ちょっとせつない感じの物語。
角膜移植とかって、そこには必ず死んだ人間の存在が付きまとうから。
素直に喜べない部分が、あるんだよね。
その辺のところを題材にしたのはすごいと思う。
結局、久野木も次第に真昼に惹かれていて、二人はくっついてめでたし、めでたしになったんで、無事にハッピーエンドなんですが。
もう一つのお話の方で、久野木に「結婚話」が持ち上がるんですが。
その話の中で、久野木が「心が動かなかったかって言えば嘘になる」って言ってるところが、なんだか、この小説は人間書いてるんだな……って気になりました。
だって、綺麗事に「僕は結婚しない」って書いてしまうのは簡単だけど。
実際は揺れるのが人間だもんね。
そう言う意味ではちゃんと骨のあるいい小説だと思います。