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wiwn shounen
読み始めたとき、設定がいつの時代なのかちょっと混乱しました。
「20世紀に入って10年」なのに「大和朝廷が、新制民主国家日本として生まれ変わって40年」???
でもすぐにこれは作家さん独自の世界観なのだと気づき、その後は何の問題もなくストーリーの中へと引き込まれました。
「永遠少年」と「永久少年」ではそれぞれ別のカップルが主役なのですが、共通していることは「少年に対する愛」。
少年しか愛せない大人の男が生涯を共にする伴侶を見つけることができるのか?というのがテーマになっています。
どちらもあまり長いお話ではないので、切ないところもあっという間に過ぎ去ってしまったという印象なんですが、どちらも興味深いお話でした。
雰囲気としては明治・昭和初期って感じなんでですがあくまでなんちゃって時代での話です。
細かい時代考証は無しで雰囲気を楽しむ作品ですな。
2カップルの話です。
ある子爵が謎の遺言を残して亡くなります。
その遺言の内容とは、「我が少年。それを保護するものに、爵位、及びすべての財産を贈与する」というもの。
探偵もどきな事件に興味のある公爵家の桜庭〔攻〕は、その少年が誰なのかという、この謎に興味を持ち首を突っ込みます。
その少年候補が続々と現れる中で、残った内、1人の少年・理海〔受〕に桜庭は魅かれ教育を施すという名目で彼を預かります。
理海は子爵とは関係ないと本人も言っていて、桜庭もそれを知っているのですが、理海の魅力にどんどん魅かれていく。
桜庭は27歳で少し若い気はしますが、少年趣味で色んな少年を愛してきたけれど彼らが少年から青年になってしまうと興味がなくなってしまう。
けれどそんな桜庭に、理海は心が少年のままだったらいいんじゃないかと言ってのけるのです。
理海の真っ直ぐな気性と、馬好きで何でも馬に例えて、セックスの時でさえ、やり方は馬がやっているのを見ていて知っていると台詞には面白可愛かったです。
もう1カップルは子爵の書生をしていた2人。
娼婦の息子で娼館で育った周防〔受〕は、水揚げされる前、12歳の時に子爵に買われます。
子爵の書生・雅春〔攻〕に周防は一目で魅かれてしまい、子爵の目をかいくぐって彼らは愛し合う様になるのです。
子爵の少年を愛する趣味、そしてかつて愛した少年が忘れられずに彼に似せた人形まで作らせた子爵。
子爵は晩年、阿片のせいもあって精神的におかしくなっていたけれど、彼の少年への愛情はおそらく本物だったのでしょう。
ある意味、気の毒でもあり哀しくもあり。