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chitose no koi ni meguru tsuki
不死の鬼・葵が、平安時代に出会った恋人は人だった。
死に別れた恋人の再生を待っていた葵。
でも恋人の再生者は妖魔祓い師・・妖の天敵。
随分昔書いた作品の再編物なのだそう。
日野 葵:
黒髪で華奢、実は鬼。
「月花庵」は、昼間は人、夜は妖を相手に藥の商い。「月花庵」の店主。
弓月:
葵を守る妖。プラチナブロンドの美丈夫。
木周友哉:
昼は舞台俳優と殺陣師 夜は妖祓い
先月発行された『おひさま色の愛しいひと』の素直さが好ましかったので杉原さんのご本をもう少し読んでみようと思いまして手に取りました。
いや-、この本は大長編ですよ。
実際の長さもさることながら、お話の時間軸が長い。平安時代(だと思う)から現代までの1千年ですからね。人はどんなに長生きしてもせいぜい100年ちょっと。その10倍ですよ。
それもね、人生って主体的に生きていれば、楽しかろうが苦しかろうが悲しかろうが「短い」って感じるような気がするんですけど、このお話の主人公の葵はそうじゃないの。恋した男の、それも自分ではなく姉を愛した男の魂を浄化する為だけに、その長い時を生きているのです。
おまけに葵はその男、北小路和之の最愛の妻であった姉を不本意ながらも手にかけ、北小路は妖刀に心を支配される前に目の前で自害するという壮絶な思い出を抱えています。
それって一体どんな感じなんだろう?
生きて来るの、とんでもなく辛かったんじゃないですかね。
「辛かったんじゃなかろうか」と思うのは、やはり杉原さんの文章が読者を煽らないからじゃないかと思うんですね。この『煽らない文章』が、私には大層色っぽく感じられたんです。
葵は『めっちゃくちゃ重い悲劇を抱えた儚い美人』です。
北小路は葵の想い人ではありましたが、彼が選んだのは葵ではありません。
なのになぜか未亡人臭がするんですよ。
私はね。これがたまらんかった。
ラブラブ部分もちゃんとありますが、それよりも何よりも『しっとりとした大人美人の色気』にやられました。
はんなりしたお色気がお好きな姐さまにお勧めします。
千年もの間、生き続ける鬼と、身のうちに妖刀を封じたまま転生を繰り返す青年。
一途で健気な鬼が哀しい、壮大で感動的な輪廻転生ものでした。
で、ザックリした内容です。
昼は人間相手の日本茶専門店、夜はあやかし相手に薬屋を営む葵。
実は鬼である彼は、ある悲願を果たす為に千年近く生きてきたんですね。
そんな彼が、ある事件をキッカケに出会ったのが、祓い屋の青年・友哉。
実は二人には、深い因縁があってー・・・と言うものです。
まずこちら、ストーリーとしてかなり壮大でして。
葵ですが、強い力を持つ「古の鬼」の一族なんですね。
京の都で姉のような存在である同族の女性・桐香と暮らしていた彼は、鬼だと気付きつつ親しみを持って付き合ってくる変わり者の貴族・和之に恋をします。
しかし、その想いは叶わず、和之と恋仲になったのは桐香。
ここから、胸の痛みをこらえて二人を祝福するものの、鬼の力が暴走した桐香に懇願され、彼女を殺す事に。
で、桐香の死を知った和之が、強い苦しみから妖刀にとり憑かれ、葵を守る為に自分で命を絶ってしまう・・・。
そこから、身のうちに妖刀を宿したまま、何度も転生を繰り返す和之の魂。
生まれ変わる度に、見守り続ける葵。
贖罪の為に、和之の魂を解放する事を悲願とするんですね。
そして、ここから現在。
友哉として再び巡りあった和之と、いよいよ時が満ち、とある代償と引き換えに彼を解放すべく動き出す葵。
と言った所でしょうか。
こちら、個人的に一番心に残った部分ですが、葵の健気さや一途さだったりします。
千年もの間、ただただ和之を解放する事だけを願い、ひっそりと生きてきたんですよね。
また、古の鬼であっても、千年も生きる事は困難なんですよ。
その証拠に、現在の葵は力も弱り、ともすれば鬼としての狂気に呑み込まれそうになっている。
そんな彼が、強い意思を持って「千年生きた古の鬼」になろうとした理由ー。
いやこれ、代償が哀しすぎる上に、葵があまりに健気すぎる・・・。
こういうお話、めちゃくちゃ弱いんですよ。
山場なんかでは、すごく心を打たれると思う。
二人が二人とも、相手を想って必死に行動する姿にグッとくるんですよね。
と、全体的には好みのストーリーだし感動的なのです。
なのですが、若干引っ掛かる部分もあって。
えーと、私は輪廻転生ものが大好きなんですけど、それは愛し合う二人が再び巡り会うと言うのに、限りない萌えとロマンを感じるからなんですね。
それが、和之は桐香とくっついてた。
勿論、友哉は葵に惹かれて二人は結ばれますが、和之が葵以外の別の人物を好きだったと言う所が、なんか嫌なんですよ。
理屈じゃなく。
和之と葵が愛し合ってた方が絶対萌えると思うんですけど、何故、桐香とくっつけちゃったんでしょうね?
魂が同じだけで、和之と友哉は別人だと分かっちゃいるけど、なんか桐香→葵に乗り換えたみたいで、スッキリしない。
や、一途な攻めが好きなのです。
あと、設定を詰め込みすぎな気がします。
全部で350P弱あるんですけど、別に友哉が(昼は)殺陣師だの葵を狙う鬼(雑魚)だのの設定を省いて、もっとスッキリさせた方が読みやすい気がするんですよね。
序盤は面白いし、終盤は感動的なんですけど、中盤が中弛みなんですよ。
ちょっと、飽きてくる。
まぁそんな感じで引っ掛かる部分はあるんですけど、全体的には好みの感動的なお話でした。
あと、攻めが一途でいなきゃと言うのは、完全に個人的な好みの問題です。
和之が不誠実なワケでは無いです。
どちらかと言うと、とても誠実だと思います。
表紙買い。せつないんだろうなと思っていましたが案の定せつなさ一直線でした。サブキャラが好きでしたが王道路線かなと思ったので萌にしました。本編300P超+後日談35P+あとがき。時系列が長いのもあって、読み応えたっぷりです。
昼はお茶屋さん、夜は別の顔である、あやかし向けの薬局を営んでいる葵。ある日夜の店を訪ねてきた黒猫さん(猫又)に聞き、人気のなさそうな一軒家を訪れます。「突然襲われた」と倒れている三毛猫を助けていたら、日本刀を持った男が刀で切りかかってきて・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
和之(平安時代の陰陽師)、桐香(受けの姉のような存在、故人)、弓月(受けに仕える銀狼、人型はイケメン)、攻めの仕事仲間等。弓月が好き・・ひたすら主の幸せを願って仕えるイケメン・・・しかも銀狼。最高。
**攻め受けについて
受けさんはとーーーっても忍耐強く健気なお方。ぐずぐずというよりかは静かに涙を流す方でメンタル強い!もうちょっと剛毅な方だったら好みドストライクだったんですが、ある一瞬で全てを片付けようとして、ひたすら待っている、最後の最後まで慎重な方でした。
攻めさんは過去の因縁に囚われているために人間関係そのものに興味があまり無いという状態で、喜怒哀楽があまりはっきりしていない感じに読めました。攻め受け二人とも、すっごく怒ったり笑ったりというシーンが無いように思います。シリアス、ひんやりした空気感のお話だから、それでいいんだと思うんですけど、だから私はあんまりキャラに入れ込まなかったのかな・・。攻め受けより、攻めの過去の魂である和之や、サブキャラの弓月の方が分かりやすくって共感しやすかったかな。弓月は好きでした。気に入らないっていって、攻めときゃんきゃん喧嘩してます。噛みついたりもしてますし。もっと受けの事好き好き路線を全面に出して活躍してくれると嬉しかったんだけどな・・。
私は好みドストライクではなかったですが、せつなーいタイプのシリアスお話が大好物な方でしたら、絶対好きそう!是非!と思うお話でした。