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yakusoku no kakera
いや、設定はいいんだよ設定は!
軍服モノだし、GHQの将校と日本人の華族なんてカップリング、ちょっと変化球でイケている!
支配する者される者とのねじれた関係かと思いきや、
案外、「美しいおもひで」が根底にあったあたりも、ちょっとした意外性があっていい
うーん、ソープオペラ的展開は結城センセイの通常運転だからいいとして(そういうのにカタルシスを感じる層も確実にいます)、ほぇぇ!? と困ったところでひっかかりまくりだったのであります。
トリビアの詰め込み方に関しては割に安定感がある結城センセイ、
戦争直後の事情はいつも通り、ちゃんとリサーチかけてる形跡があるんだが、
いくら華族だからって「プロバンス風スープにサーモンのムニエル」を作るのはありえません。どうもそういう校正のまずさが目立つ作品です。
それさえなければ、それなりに面白いとは思うんだが、時代モノで考証がうまくいってないって自分的には一番ガックリくるパターンです。
終戦直後の混乱の中でのGHQ将校と旧日本陸軍将校のロマンス。敗者と勝者、正反対の立場にある者同士が復興に携わっていく中で恋に落ちていくストーリーです。軍人の恩給停止や華族制度の廃止など時代背景がしっかり描かれていて、読みごたえがありました。
楠木子爵家は、戦後、GHQに屋敷を軍政部の宿舎として接収され、離れに住むことを強いられます。子爵家の次男久也は、ある日女性を強姦しようとした米兵を殴った咎で身柄を拘束され、ウォレス大尉の前に引き出されます。そこで二人は口論となるのですが、勝者と敗者、当然両者の論理は食い違い、久也は激昂したウォレスに陵辱されてしまいます。そして、ウォルスは町の安全と引き換えにその身を差し出すよう久也に要求するのです。
このお話、実は再会ものでもあります。が、ウォレスは子供の頃会ったことを覚えているのに対し、久也の方はそれを覚えていない。しかも軍服姿の久也は、昔とすっかり変わって偏狭な軍国主義者となっているように見える。そうしたことに対する苛立ちからウォレスは久也に対し、暴力的な行為に及んでしまったのですが、これが後々まで尾を引くんですよね。すれ違いの大元となる。
さて、取り引きで夜ごとウォレスに抱かれる久也でしたが、やがて、住民との折衝役を頼まれるようになり、行動を共にするうち、ウォレスの復興に対する真摯な気持ちを知るようになり、惹かれていき…。復興を通して距離が縮まっていく様がほのぼのとしていて心温まります。
受攻両方の視点で話が進んでいくので、ウォレスの気持ちもよく分かりますね。初め鬼畜だったウォレスですが、やがて久也の昔と変わらない純粋さに惹かれていきます。久也が窮地に立ったり、危険な目に合う度に、庇い、助けにやってくるウォレスがいい男ぶりでとても愛しく思えてきました!ですが、久也は彼の気持ちに気付いてないんですよね。ウォレスが自分に対して見せる優しさや気遣いの意味が分からずに戸惑っている。久也自身、純粋で生真面目で相手の言葉の背後を読まないタイプではありますが、それ以上にウォレスの言葉の用い方に問題があるかなと。誤解を与えるような言い方ばかりしてますからねぇ。結局、久也を陵辱したことへの罪悪感によってがんじがらめになって一歩引いちゃってる感じ。ウォレスは結構不器用でヘタレかな?でもこういう反省、葛藤多き攻めは好物です。
部分部分で、そんなに上手くいかないでしょう、というご都合主義的な箇所や終盤、もう少し詳しく描写して欲しいと感じる箇所もありましたが、最後の最後に時を超えて約束が果たされるあたりメロドラマ好きの萌えツボを刺激します。すれ違いのじれったさも味わえて満足しました。何だかんだで王道ものに弱いな、私。あ、それと、軍服(プレイ)にも大変萌えました。