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1巻の続き。
ウォーレンは傷つきながらも常にカイルために一生懸命で。
嘘を重ねていった結果、カイルはウォーレンに更なる傷を与えて。
そのことに少し心が動くものの、やはり自分が天に還りたいことの方が先に立ち。
遂には還っていってしまうのだけれど。
そこにはカイルが求めていたようなものはなく。
カイルのいない間に確かに時は流れていて。
自分の思い描いていたものとは違う世界。
淋しさが募ると思い出されるあの黒い悪魔。
最後の最後、飛び出していくカイルの胸がジーンとなってしまいました。
帯に書かれていた「罪なら罪でいい。罠なら罠でいい。」
それはこういうことだったのかと。
自分さえウォーレンの元にいけば全てが上手くいくと思っていたカイル。
けれど、素直にそう言えない彼にはなかなかうまくいかなかくて。
更にウォーレンに告げてみたところでそれまでの行いもあって受け入れてもらえず。
自業自得といえばそれまでなのだけれど拒絶され、結婚することを告げられ。
とにかくカイルの心情がどんどん切なくなっていって。
自分の感情を知りつつも、どこか相手のせいにして上から物を見るようなところのあったカイルはクローディアに諭されてようやく自分の心底の感情に思い至るのだけれど。
クローディアと一緒にいることで少しずつ優しい気持ちを育んでいくカイル。
その気持ちが最後にはクローディアを天へと運ぶことになって。
それで満足さえできるようになるのだけれど。
ウォーレンに助けられ側にいられることに甘い喜びを感じたり。
けれど、ウォーレンはなかなかカイルとは向き合ってくれず。
それは彼の臆病さ故なのだけれど。
確かに、夜にはその愛を実感できるのに、昼になるとすっと消えていってしまうような。
ちゃんと伝えることが必要で。
それで何が起きても受け入れなくてはならなくて。
ただ、素直な気持ちを伝えること。
それがカイルにできる唯一のことで。
1巻ではそれほど思い入れがあったわけではなかったんだけれども、読み終えてみるとやっぱりというかカイルがすごく好きになってしまいました。
素直になれないぐるぐるする子はホント好きですね。
切ない場面とか好きすぎる。
ウォーレンは無事、長年の想いが報われてよかったな、と。
カイルとは違うけれど、複雑な気持ちのまま、それでも「悪魔に襲われないように」と理由づけをしてカイルを抱くというその行為は切ないものだっただろうなーと。
気持ちが通じ合っているわけでもなく。
けれど、どこかで何かを感じられる部分もあって。
けれど、それが本当にそうなのかどうなのかは本人に聞いてみなくてはわからなくて。
聞きたいけれど、こわくて。
こわくて、聞けなくて。
それでも愛さずにはいられない。
そんな夜を重ねたのかな。
この先はただひたすらに2人が幸せであることを祈るばかりです。
天使であるがゆえに、人の情を知らないカイルは無情にも天界に戻ってきてしまいました。けれど、決してそこは幸せな場所ではありませんでした。
アガサの言動がどうとでも受け取れて、最初に天使試験を行ったときからすでに、こうなる運命を予見して、堕天せずとも二人が出会えるように、カイルが愛を知ることができるように心を砕いていたのかも?と思わせるものでした。だから、カイルは「顔だけ?」と絶望してしまったけれど、ちゃんとアガサに愛されていたことに、いつか気が付くといいなぁと思いました。
カイルはいつも、花を咲かせることしかできない自分の能力をつまらないと思ってましたが、アガサはその力で人の心を救うこともできたことを教えてあげたかったのかもしれません。・・やっぱり、アガサはカイルの親のようですねw
再び地上に降りてウォーレンと会ったとき、素直になれないカイルでしたが、ここでいきなり素直になられたら興ざめだったので、グッジョブでした。鉄板と思っていたのに、ウォーレンに振られたあたりからが一番面白かったです。傷心のカイルを慰めるクローディアがまたいい子で。怒涛の勢いで最後まで読んでしまいました。
ラストはハッピーエンドです。カイルはツンデレになるのかと思ってましたが、意外と素直ないい子だったみたいで、きっとこれから二人は末永く幸せに暮らすんだろなー、という寓話にぴったりなラストでした。
最近の木原作品では同じようなシチュエーションでももっと面白いものがあるので、木原作品の中では見劣りしてしまうんですが、ほかの作家さんでこのくらいの満足度でも神評価しているので、ちょっと迷いつつこれも神評価になってしまいました。
1巻の終わりが悲劇を予感させるものでしたので、2巻を読み始めるのが辛くて。でも、読み終えたとき、深い愛の物語に心が震えて仕方ありませんでした。
再び羽が生えてきて天使の力を取り戻したカイルは、「自分は死んだら消えてなくなる」とウォーレンをだまして、天に戻っていきます。しかし、大天使・アガサ様の傍には既に別の天使が仕え、自分の存在意義を見失ってしまいます。そして数十年の時が立ち、スネアの魂の導きでウォーレンと再会したカイルは、自分を愛し必要としてくれたウォーレンの傍に行きたいと、自ら天を去り地に堕ちることを選びます。
誰からも必要とされないのは悲しい。自分は特別な存在でありたい。カイルがウォーレンの元へと走ったのは、そんな気持ちから。理解はできますが、ウォーレンをだまし彼の愛を踏みにじったことを悪いと思っていないのですから、ウォーレンに拒絶されてしまうのも無理はないと思いました。カイルはまだ愛を知らなかったのです。
行く当てのなくなったカイルは、初めはウォーレンを恨んでいましたが、優しい娼婦のクローディアに拾われ、彼女の生き方から愛を学び、やがてかつて自分に愛をささげてくれたウォーレンの心を理解していきます。物語は愛の深淵に分け入っていき、生きることの意味を深く問いかけてくるようです。
自分の体は離れて暮らす妹と叔父家族の生きる糧なの、と話すクローディアに、カイルは人が生きる大変さと、愛する者のために神の教えに背く人の愛を知ります。そして、天使のように優しいクローディアが死の床についてしまうと、神はなぜ貧困や飢え、貧富の差、病を作ったのだろうと、神の存在を遠く感じるようになります。
生きるのは本当に大変です。カイルの抱いた疑問はとても難しいことで、私はその答えを知りません。ただ、辛いこと、悲しいことを経験した人ほど、愛を与える人になれるのかもしれない、人の悲しみに寄り添える人になれるのかもしれない…。そう考えると、生きる意味、希望が湧いてくるような気がします。
死にゆくクローディアと共に見送った結婚式の馬車。カイルは、花婿・ウォーレン(本当は違うのですが)を祝福するため、馬車を彩る薔薇たちにありったけの愛を送ります。愛を知らなかった冷たい天使が、クローディアのおかげで愛を与えることを知ったのだと思うと涙があふれて止まりませんでした。「愛している人を祝福してあげましょう」と言ったクローディアの言葉を思い出したのでしょうね。
人は弱いもの。生きるのに愛が必要だけれど、もしかしたら、愛をもらうよりも、ただ精いっぱいの愛を与えることが生きる力をくれることがあるのかもしれない。クローディアの生き方から、そんなことを感じました。
自分に愛を教えてくれたクローディアの魂を天国で安らかに過ごさせてやりたいと、カイルは自分の羽を切り落とし、クローディアの魂につけてやります。それが自分の死を意味すると分かっていても。化け物に襲われるカイルをすんでのところで助けるウォーレン。二人が再会できた奇跡は、カイルが命を差し出しクローディアの魂を救ったことへの神様からのはからいのような気がしました。カイルはやっと本当の天使になったのですね。
最後、ウォーレンとカイルは、互いに心をさらけ出し、想いを通わせます。二人の愛を求める長い旅がやっと終わり、本当によかったと思いました。
読後は、ウォーレン、カイル、クローディアからたくさんの愛をもらったように感じ、幸せな気持ちで胸がいっぱいになりました。
電子書籍で読了。挿絵、あとがきあり。
読むのを止められなくて、こんな夜中になっちゃった。
ああ大変だ。明日(正確には今日か)も仕事があるのに!
前半1/3までは1巻の続き、それ以降はROSE GARDEN2で、この部分が『書き下ろし』になるのかと思います。
あとがきによれば、なかなかこの書き下ろし部分が書けなかったそうで。
木原さんも色々と考える部分があったのでしょう。「堂々巡りの感も、多少否めませんでしたが」と書かれていますが、堂々巡りと言うよりは『人は一旦理解してもぶれる』ということが書いてあると思いましたよ。
羽がない所為で天界に帰れないカイルに新しい羽が生えてきます。生え揃って飛べるようになるまで、ウォーレンの目を誤魔化すために、カイルはウォーレンを懐柔しようと、冷たく無視をすることを止め、話しかけたり頼み事をしたりします。当然の如く、ウォーレンは自分を許し、情を持ち始めてくれているのだと誤解します。そして、自分の体までを差し出してカイルの望みを叶えようとします。そんなウォーレンを騙すことに成功し、天界に帰ったカイルは天使達の間で『悪魔と暮らしていた恥知らず』と蔑まれ、啓愛していた大天使からも衝撃的な言葉を告げられ、初めて『本当に自分を必要としていたのは誰なのか』に気づきます。そして自分から下界に堕ちてくるのですが、ウォーレンと再会しても素直に気持ちを告げられません。そればかりがウォーレンには「好きになった人間と結婚する」と拒否され、捨て鉢になって魔物に襲われ怪我をしてしまいます。行く場所もないカイルは娼館で働くクローディアに助けられるのですが……
1巻が寓話であったように2巻は教養小説です。
読み終わった感想は「教科書に載せるべきだ!」。
ROSE GARDEN1だけで終わっていたら、カイルの成長はそれほどでもない様な気がするんですね。
「天界では誰も自分を必要としていないから、自分を必要とするウォーレンの所に帰ろう」という『こっちがダメだったからあっち』に平行移動するだけ。
それはそれで『愛の物語』ではあるんですが、やはりこのダメ天使に成長していただかないと希望がない。カイルが変われるということは、私の中の『内なるカイル』も変えることが出来るということだからです。
自分を永遠に愛しているはずと勝手に思い込んでいたウォーレンに心変わりを告げられ、カイルは市井の暮らしを強いられます。人の世界で初めて働き、自分が悪であると思っていたことが、やむを得ないことであったり、蔑んでいた人に助けられたりします。
経験を経て、カイルの凝り固まった考えが根底から揺らぎます。
そして、自分の頭で考え、クローディアのために重大な決断をします。
それはカイルに大変な不利益をもたらす決断でしたが、彼は後悔しないんです。
そして結果を自分のものとして受け止める。
ここにかなりじわっときました。
木原さん、ありがとう。
あー。きた。
久し振りに(精神的に)痛い痛い、涙もにじんできた、でも続きが気になって仕方ないし、もっと不幸な展開の予感に歓喜してしまう…
まるでゾーンに入ったかのように集中して一気読みしました。
ごちそうさまでした。
言いたい好きなところたくさんあったのに、お話の圧にのまれて頭からは吹っ飛びましたが、心の底にたくさん残っているそんなかんじです。
優しい悪魔と円満に縁を切るために、自分はもうすぐ死ぬのだと嘘を吐いた天使には驚かされましたよ。
今までの行いも酷いと言えましたが、羽を毟り取られたもんな…と同情を捨てることはできずにどうにも嫌いになれなかったのですが、さすがに見限る時がきたのでは?と謎の自問自答してました(笑)
その後の展開もちっとも予想することはできず…眉間に皺よせながら楽しませていただきました。
破壊力高めな作品だと思います。
「生きているならそれでいい。それだけでいい」
では終われず、
「だけど一人は寂しい」
と続く…胸を掻き毟られるようなどうにもならない文が印象に残っています。
たまたまでしょうが、木原作品の英語のタイトルの作品は、苦手だと気づきました。
この天使は・・・いや、正直参りましたよ。
木原さんお馴染みの、好きになれる要素皆無のキャラが、この天使カイルなんだもの。
ここまで傲慢で利己的で甘え腐ったカイルのいったいぜんたいどこがいいのさーウォーレン!という自分の叫びも、また毎度お馴染み。
でも、叫びながらもどこかうっとりしてる自分が怖い。
真っ向からのファンタジーなので、けっこう読むのに気合を入れましたが、舞台はどこであろうとも、痛い感はまるで同じ。けっこう安心しました(笑)
木原作品の痛さにすっかり慣れてきたので、幸せなエンディングにちょっと物足りなさを感じてたりして。
それでも何もかも放り出して一気に読んでしまうのは、やっぱり圧倒的な吸引力と言いますか、話の展開が読めず、先が気になって気になってほかのことができなくなっちゃうんですよねえ。
「ええ、そうなっちゃうの?ひどい!」と嫌悪しながらも「で?で?」とページを捲ってしまう中毒性。
この振り回され具合が、癖になるもうひとつの大きな原因だと、この作品でようやく気づきました。
1・2巻合わせてのレビューです。
悪魔の子ながら人間の祖父母の愛を受け愛の中で育てられた、愛を知る悪魔ウォーレン。
ウォーレンの愛の対象、大切にしたい相手は、美しい天使カイル。
しかし!コノハラ流天使は、愛を知らず、妬みと不信と慢心に支配されて、悪魔が自分に寄せる心のことなんて全く受け入れないのです。
ああ全く天上の世界というのは、美しいだけで酷く残酷なものなんですね。
天使と悪魔という世界観は大雑把に言って「キリスト教」的な価値観と言っていいのでしょうか。今はいざ知らず、中世くらいのキリスト教・宗教的価値観ではひたすらな異分子排除が当たり前だったのでしょうね。
愛を持って育てていた孫が悪魔の血を引いていたから、「正しい」村人達は優しい老夫婦を惨殺します。悪魔は絶対悪。死ぬべき存在。
人に混ざって生活するなんて。
天使に恋して天使になる試験を受けるなんて。
天使である自分と性交するなんて。
愛を知っているなんて。
一度はもぎ取られた羽が再び生え出して、カイルはついにウォーレンの元を去り、夢にまで見た天界へ。しかしそこは蔑みと嫉妬に満ちた世界で、カイルはあれほど拒んでいたウォーレンの心を欲する…
ここからは天使カイルの流浪の年月が語られます。深い心の機微を知るクローディアという娼婦との出会い。
彼女と出会って、家族を愛するが故に娼婦となった彼女が、天界の掟的には無条件に地獄行きとなる愛の矛盾、神の矛盾に気付き、死の直後のクローディアの魂に自分の天使の羽をつけてあげるカイル。
あの傲慢で残酷な愛を知らない天使が、この世で蔑まれる立場の人間によって変わるという物語。
途中はコノハラ節炸裂で、これでもか!のウォーレン残酷物語だったけど、ラスト、えっと驚くくらいの円満な結末で、こんなハッピーな終わり方もあるんだと少し驚いてしまいましたが、読んでて本当にホッとしました。永遠に愛し合ってほしいです。
どこまでも献身的な悪魔についに泣かされる下巻。
いや、人によっては上巻できていたのかもしれない・・・。
そして天使にも転機が・・・
最後まで天使を許すことが出来るものか!
と思っていたのに、感情の変化は起きるものです・・・。
離れて二人の切ないやりとりがまた胸を締め付けてくる。
そのドラマはあなたの目で確認してください・・・。