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kono natsu ga owaru maeni
小説b-Boy2012年7月号掲載作品。イラストあり。
『嫁いでみせます!』と『一途な独占欲』の間に書いたものになりますね。
私はナツさんのコメディが大好きなんです。
でも、このお話はシリアスモード。
高校3年生の成瀬が避暑に来た津田に惹かれていく様を、あまり捻らずストレートに書いています。
成瀬は見た目が良いのでそこそこモテて『黙っていても地元の公立大学には入れる』成績の高校3年生。地元で進学し、親の不動産会社を継ぐ予定です。
なりたいわけじゃないのですけれど「そういうものだろうな」と思っています。
彼は自分の性的指向が男性に向いていることに気づいていますが、地元という狭い世界で暮らしていく為には「それじやマズイだろう」と思い、避暑に来る年上の女性と経験したりして『女とも出来た』事に安心している様な子です。
まだ18歳なのに、もう完全に守りに入っているんですね。
だから人生が楽しくない。なんとなく鬱々としています。
そこに『ゲイのミステリ作家とその美しい愛人』と噂される2人が避暑にやって来ます。あろうことか、成瀬の友人がその『愛人』に誘惑されて『気持ち良いこと』をしてもらったと聞きます。
ガソリンスタンドのバイトで知り合ったその愛人、津田に誘われるままに、成瀬も彼らの家に招かれ……
極めてオーソドックスな『ひと夏の恋』ものです。
この手のお話は、若い方が(この場合成瀬が)その恋によってどう成長していくかが見どころ。
期待を裏切りません。
何と言っても、遊び人と思っていた津田のキャラクターが良いのです。
「ビッチか?」と思わせておいて、子どもっぽかったり、今こそという場面でやたら生真面目だったり。絵に描いたような『ギャップ萌えの罠』なんですけれども、見事にはまりましたとも。
ナツさんの書く『真面目な登場人物』って、私の好みど真ん中なんですもの。
いやほんと、好きだなぁ、この方のお話。
新作を書いてほしいなぁ……