amazonの電子書籍版です
お兄ちゃんさえいればそれでよかった。
hakobune wa mou konai
作品解説で既にネタバレしちゃっていますね……出来れば前情報0で読んで、えっそうなんだぁ!と思って欲しいです。
以下ネタバレするので未読の方はスルーお願いします。
性犯罪被害者から加害者(といっても加害者の子供というだけで共犯者とも言えない立場ですが)への執着が、綺麗事なしで綴られているところの迫力が凄かったです。あまりに痛々しいので、暴力行為へのトラウマがあってフラッシュバックしそうな人にはおすすめできませんが、そうではない人には迫真の心理描写、おすすめです。
タキがカイに執着を抱き執拗に暴言や暴力をはたらくこと、これは一種の甘えなんだろうなあと思いました。タキにとって唯一絶対で全智全能にも見えたカイへの、子が親を思う時のような慕情の裏返し。被害者だからって何をしてもいい訳じゃないですが、あんな目に遭わされたんだから無理もないよなぁ……と悲しくなりつつ読み進めました。
ラストでは何もかもすっきり解決したわけでもないし、タキはまだカイにちょくちょく憎まれ口を叩きますが、それでもカイを殴るんじゃなく優しく愛情表現をしていきたいんだと、そういう望みを懐くようになったのが、小さな前進ですが救いだと思いました。
あらすじホイホイされました。表紙も目を引きますよね。
切ない好きとしてタキがカイを見つけてからの暴力を伴う無理矢理は凄く性癖ゴリゴリおされました。
そこは大満足なのですが、どうにもこの手のものは肉体関係が必要な愛だったのか…と疑問視したくなるんですよね。
被害者と(直接的ではなくとも)加害者に近いとてもデリケートすぎる関係の二人。
カイは分かるのですが、タキからしたら世界の全てだった相手に対してそういった肉欲抱くのがどうにもピンとこないんですよね。
だから恋人に近付きつつある空気を感じるとちょっと身を引きたくなったり。