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kao ga nai tabibito
2019年刊。
あらすじに惹かれて購入。
水無月さんは歴の長いBL作家さんだがほんの数冊しか読めていない。
面白いかどうかはいざ読んでみてのルーレット状態だが、今回のディ〇ニーファンタジーっぽい物語は好みに合った。
ただこの作家さん、はっちゃけた後書きを書く部分は損しているかも知れない。
宝石店の店員・操は同性の恋人に裏切られた憂さ晴らしに一夜限りの男を拾うが、仮面を外さないその男の事は何も知らないのに、優しく情熱的な彼にたちまちに惹かれる。
だが、その男の素顔が陶器のように崩れてしまうのを目の当たりにして、打ち明けてもらった秘密は現実には信じ難いものだった。
気の遠くなるような永い年月をかけて、粉々に砕けて世界各国へ散らばった全身のパーツを探し続けてきた彼の旅路も、残すは左瞳と左手の薬指のみとなっている。
彼の最後のパーツを共に探してあげたいと願った操は、幼馴染みの骨董商・嘉門にも協力してもらう生活の中で、彼の正体が二千年前に消滅したルドミナ王国の王子・シャミンだと判明していく。
そんな中でシャミンと操は互いに惹かれ合った者同士として順調に愛を育んでいるが、二人の間に割りこんでくる意地悪キャラが好き勝手して威張り散らす様子には眉をしかめてしまう。
操は恋愛相手の条件にやたら顔の良さに拘るが、その一方で顔は良くとも性格の歪んだ実兄・貢と元彼・本田に見下され続けているなんて皮肉にも程がある。
幸いにもシャミンは王子の品格と知性を持ち、操は他人の気持ちを汲める心優しい青年だが…
この手の物語は、主人公達の心正しさが勝つと同時に意地悪キャラが因果応報で懲らしめられないとすっきりしないのに、全然痛い目に遭っていない点が生ぬるい。
更に欲を言えば、操には人の美醜に振り回されない確固たる悟りを持って欲しかったな。
運命の相手・シャミンと巡り逢えた奇跡には感動するけれど、その運命の相手が超絶美形ってオチがほんのわずか複雑でもある…
まぁ全体的には話の本筋である『二千年も彷徨った異国の王子の終息の出逢い』から大幅に外れる事なく、ロマンチックな雰囲気に浸る事が出来る。
意地悪キャラが幅を効かせすぎな部分もあるが、二人の理解者、嘉門や老猫ティティ、考古学者の教授もついているのでご安心を。
私は普段、ツッコミを入れたりしつつ、好き勝手にレビューを書かせていただいてます。
が、それを低評価レビューでもやった所、批判が来ました。
色々反省しまして、フザケて見えないよう、なるべく端的にレビュー書いてみました。
すると、今度はすごく冷たい印象になってしまい、これはこれで本意では無いため、困惑してます。
色々手直ししましたが、どうにも上手くいかないです。
一応、個人的な印象としましては「何てこったい!?Σ( ̄□ ̄;)」くらいなので、そんな程度の感覚で修正して貰えるとありがたいです。
前置きが長くなってしまいましたが、以下レビューです。
水無月先生ですが、トンデモ系のお話でハマる時はめちゃくちゃハマります。
今回、設定としてもストーリーとしても、とても壮大でロマンチックで素敵なお話なのです。
が、主人公の兄と元カレのあまりのクズっぷりがロマンチックさを上回ってしまい、読後感としてはひたすらイライラだったりします。
ここまで兄と元カレをクズにする必要性があったのかと疑問だったんですけど、作者さんはこのナルシストなクズ二人をノリノリで書かれたとの事。
作者さんの好みだけで書かれたのなら、失礼ながら悪趣味だと思います。
もちろん、これはあくまで私の好みの問題なので、クズ二体(←作者さんがそう言ってます)が気にならず、ロマンチックで壮大な物語に酔える方もたくさんおられると思います。
そんなワケで、なるべく客観的に内容を書かせていただこうと思います。
主人公である宝石店店員・操が、失恋した所からお話はスタート。
飲み過ぎた操は、仮面を着けた謎の青年・シャミンを拾います。
甘い一夜を過ごした朝、シャミンの素顔を見て、大いに驚く事に。
なんと彼は「顔」を持たず、自身のパーツを探して2000年もの間、彷徨い続けていてー・・・と言うものです。
シャミンですが、古代ルドミナ王国(砂漠の小国)の王子で、呪術により陶器の人形にされています。
しかし、バラバラに割れて壊れてしまったため、そのパーツが世界中に飛び散ってしまったー。
死ぬことも出来ない彼は、自身のパーツを探しながら2000年もさまよい、あとは顔(瞳)と指だけが足りない状態で、操と出会ったんですね。
と、大筋としましては、主人公である操の協力を得て、シャミンが残りのパーツを探しだし、生きた人間に戻るー。
ここに、主役二人の運命的な秘密なんかも盛り込まれてまして、とても壮大でロマンチックなお話なのです。
ただ、個人的に引っ掛かった部分。
操の元カレですが、どうしようもないクズです。
二股を掛けていて、しかも操の勤め先である宝石店に、相手の女性と婚約指輪を買いにくる。
また、操の兄がこれまたクズ。
エリートで美形なのですが、弟である操をあからさまに見下し、口汚く罵るんですね。
別れたばかりで後釜がいるとは節操が無い。モーホーはこれだからと言った調子でしょうか。
操は昔太っていましたが、当時の写真をシャミンに見せて、ワザワザ操を傷つけたりもする。
その上、妊娠中の妻が体調を崩して入院した事に怒りを滲ませ、「ゲロゲロゲロゲロやってるなぁと思ったら、脱水症状で入院した。」と、自分の面倒を見ない(見れない)事を罵る。
で、嫁の代わりに自分の面倒を見させる為に、操のアパート転がりこんでくる。
実は、この兄と元カレは親友同士でして、二人で操のアパートに居座ります。
傍若無人にやりたい放題、二人でこれでもかと操とシャミンをコケにして喜ぶんですね。
彼等の会話ですが、もう小学生のイジメレベルです。
操をバカにし、貶し、彼が萎縮するのを喜んで見ている。
読んでいて、とても不快に感じるセリフばかりです。
兄弟と元カレでありながら、何故ここまで操をコケにするのか理解出来ないし、そんな彼等とキッチリ決別出来ない操にもイライラします。
この後ですが、元カレの婚約者から操が刺されそうになり、庇ったシャミンがバラバラになってしまいます。
シャミンをなんとか甦らせようと、懸命な操には心を打たれます。
しかし、ここでもクズ丸出しの二人。
兄は「バケモノだ」と操を残し、サッサとタクシーで逃げ出す。
そして、救急車を呼んで大事にされる事を恐れ、自分が見ると言い張る元カレ(←医者です)。
挙げ句の果てにポストに大金を放り込み、「決して口外しないよう。遺体の処理に困ったら、下記に連絡を」とメモだけよこす。
話を動かす為に、ある程度ひどいキャラと言うのは存在してもいいと思います。
ただ、この二人をここまでクズにする必要があったのか、個人的には理解できないのです。
また、作者さんが、その事を「ノリノリで書きました」と、自慢気に書いておられるのもよく分からない。
個人的にはこの二人の印象が強すぎて、せっかくの素敵なストーリーが台無しになってます。
後味が悪くて仕方ないです。
ただ、ストーリー自体はとても素敵なので、クズ二人が気にならない方には魅力的な作品だと思います。