スイッチ

switch

スイッチ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×23
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
2
得点
20
評価数
6
平均
3.5 / 5
神率
16.7%
著者
真式マキ 

作家さんの新作発表
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イラスト
黒山メッキ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
価格
¥630(税抜)  
ISBN
9784829626689

あらすじ

M性感店で働く直斗は、キャストではないのに指名される。一見サディストのような客・城川を縛り、要望通りのセリフで追い詰めて…。

表題作スイッチ

城川司、直斗を指名する客、39
三国直斗、M性感店スタッフ、25

レビュー投稿数2

目覚めてゆく、本当の自分

あらすじから、M気質の受けをあの手この手で翻弄するワルい攻めを想像していましたが、全然違いました。
受けにより、過去の呪縛から解き放たれ、本当の自分に目覚めてゆく攻めの物語です。
攻め救済ものです。

SMがなんたるかと言うのは分からないんですけど、愛の形は人それぞれですよね。
作中で書かれてますが、セックスに善も悪も無いんですよ。
快感を味わいよろこびを交わす。
それだけのものであり、それこそが大事なのです。
いや、SM自体はやっぱり理解しきれなかったんですけど、二人の恋愛部分は、心にグッときました。
偽物の被虐から解放され、本当の喜びを知った攻めと、自分の居場所見つけた主人公に、素敵な未来が訪れん事を!
あと、ソフトSMなので、ハードなのを期待されてる方はご注意下さい。

内容ですが、客として訪れたエリート風男性・城川×M性感店のスタッフ・直斗による、ソフトSMもので攻め救済ものです。シリアス寄りです。

M性感店で受付事務スタッフとして働く直斗。
紛う事なきマゾヒストである彼は、飛び入りの新規客・城川に、サディストのインスピレーションを受けます。
しかし、自身をマゾヒストだと自認する彼は、何故かキャストでも女性でも無い直斗を指名するんですね。
戸惑いながらも彼を縛り、要望通りのセリフで性感を煽って行く直斗。
快感を得つつも、どこか苦し気な城川が気になってー・・・と言うものです。

直斗ですが、過去の苛め経験と、理想的なサディストとの出会いにより、マゾヒストに目覚めた青年です。
その性癖からか、それとも職業柄か、相手の深層心理を見抜く事に長けているんですね。
で、そんな彼の前に現れた、謎めいた男・城川。
彼が客として訪れる度に、その内面を少しずつ探って行くー。

責められる事で確かな快感を得ながらも、何故苦し気なのか。
抵抗を奪い、心を拘束するようなセリフをねだる城川の心理。
そして、虐げられないと興奮しないと思い込んでいる、彼の過去ー。

しつこいですが、直斗はとても聡いんですよね。
城川の言動の端々から、彼自身が気付いていない、そして歪められた本来の性癖を察して行く。
終始、直斗の視点で進む為、読者も彼に寄り添う形で、城川の真実を知ってゆくのがとても面白いのです。
で、疑問だった部分が確信に変わってくる頃、大きく切り替わる二人の立場ー。
まさに「スイッチ」です。

いや、上手いな!
ここまでの流れがあまりに鮮やかで、作者さんの手腕に唸らされちゃうんですけど。

で、ここから、本来の自分を目覚めさせてゆく城川ー。
って感じでしょうか。

私は元々、SM自体に詳しくない上に、興味も薄いのです。
ただ、そんな私ですら、直斗が言葉で城川を調教して行く様。
そして、「スイッチ」が切り替わった城川の、獲物を追い詰めてゆくようなサディストぶりに、もうゾクゾクしちゃって。

また、城川を呪縛から解放したいと願う、直斗の一途な想いだったり、そんな彼との出会いにより、過去を昇華して本来の自分に立ち返る城川と言うのがとても素敵で。
城川は、自分の本当の性癖に罪悪感を覚えていましたが、セックスに「正しい」も「間違ってる」も無いんですよね。
そして、互いに望むものを与えあえるなら、それはとても幸運な出会いなんだろうなぁと。
う~ん・・・。
SMを題材にしつつも、根底にあるものが心の救済と言うのが面白いなぁと。
なかなか、こういう設定のお話って読めないので、とても新鮮でした。

それにしても城川、直斗に出会えて本当に良かったねぇ。
そして真式先生は、SMを題材に一捻りあるお話を書くのが、本当に上手いなぁと。
デビュー作で衝撃を受けたクチなんですけど、あの雰囲気がお好きなら、間違いない作品だと思います。

4

ある種の推理小説として読みました

真式さんのお話の登場人物は裏がある人が多い様な気がします。
その『裏』を読み取るのが面白いので、そこが魅力だと私は思うんだけれど。ある種の推理小説ですよ。
でも、その所為でお話が複雑になってしまって、自分にゆとりがない時にはちょっとしんどくなってしまう。現在、私はちょっとばかり忙しい毎日を送っておりまして……違うときに読んだならもう少し萌えられたかもしれません。
そんな事情から萌えは少なかったんですけれど『どうして城川がM性感店に訪れたのか』と『何故M属性であるはずの三国が城川にとてつもなく惹かれてしまうのか』の謎を解き明かしていくミステリとしては大層楽しめました。読み終わって「なーるほど、そういう訳か」と、全てがストンと腑に落ちる感じ。

いや、本来は推理小説ではないのですよ。だからそれほど構えなくても大丈夫。スルスル読めます。
でも私はそんな感じで楽しんでしまったので今回はネタバレなしで。
「やっぱり刷り込みってすげぇ」と思い「恋の直観を信じて突き進むのって乙女のロマンだわ。あ、ひょっとして『運命』って直観が当たることを言うのかも」と思ったことだけを書いて終わります。

蛇足
滝というM性感店のマネージャーが面白い脇役として出てくるんですが、この人の『裏』は解き明かされないままお話が終わっているんですね。
これだけが心残り。まぁ、彼の動機を想像するのも楽しいんですが。
単なる『いい人』なのではなく「欲か色で動いたんだったら面白いなぁ」と思っております。

1

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