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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
「のはらの星」さんから発刊された電子書籍にて。
絵柄が古くて敬遠していたのですが良かったーー。「美しいこと」のように一つの些細な、本人にとっては大きなきっかけでどうしようもなく好きになり、側から見れば「そんな奴やめときな」と120%言われるような人を自分の存在意義のように位置付けて離れられなくなる恋…
ファンタジーで登場人物3人の感情が分かるまではゆっくり読んでいたものの、木原先生お得意の顔は良いけど性格最悪な受けのターンからは目が離せませんでした。カイル、とにかく自堕落で性格悪い!なのに、その短略さが憎めないのがむしろ愛着が湧いてきてしまうマジック。。
ウォーレンの身を投げ打つほどの直向きすぎる純愛と、出自の慟哭と問いがとても苦しいです。そしてカイルがウォーレンの気持ちを自分の境遇と照らし合わせ考え始め、罪や人間の行いについて視野が広がっていく様子は感動して泣き泣きでした。天晴。
好きな人がとった行動を自分の良いように解釈したり、薔薇たちを遠くから眺めるウォーレンの切なさ、カイルがブローチを毎日眺めたり薔薇たちと素直に会話するところ、色んな素敵だったり寂しそうだったり印象に残るエピソードがたくさんあって、嫌な性格の天使も色んな人間たちもみんな最後にはこのお話の中で生きているんだなぁと、沸々と充実した読書体験になりました!
先生の書くファンタジーは、一癖も二癖もあって面白いなぁ。
はいはい、よくあるやつと決してならないんですよ。
天使と悪魔のお話。
訳あって天使と悪魔が同居していますが、羽を奪われ天使の力を失い天界にも帰れず、憎き悪魔に守ってもらう毎日。
安全のために繰り返される夜の行い。
憎くて憎くて仕方のない悪魔に頼らないと生きていけない…なんて甘美な絶望。
攻めな悪魔ですが、決して悪い奴ではありません。
半分人間の血が混じっており、悲しき過去に繋がるものの信仰深い家族に愛情深く育てられました。
彼の優しい内面まで見てほしいところなのに、悪魔というだけで、凝り固まったモノの見方を変えようとせず天使は悪と決め付け疑いません。
同じ気持ちにならずとも、双方の立場での視点がよく伝わってくるからこそ、そのもどかしさが愛おしく心をズキリとさせてくれる。
癖になる痛みですよ。
長き日が経ち、なんと天使の力が復活してきます。
それがバレないよう悪魔の機嫌を損なわないため徐々にデレはじめた天使。
無邪気に喜ぶ悪魔。
自分に対する天使の気持ちは何一つ変わっていないのに、本心を見抜けずようやく気持ちが届いたかのように幸せを感じる攻めが哀れで哀れで…ごちそうさまでした。
続きはどうなるんだ!と最後まで勢いを失わせないお話です。
電子書籍で読了。挿絵あり。
この本は何となく手に取りづらい雰囲気があるのでしょうか?
木原さんのお話は大概読んでいるのですけれど、私も何となく後回しになってしまっていた本作。
どうしてなんでしょうね?
読み終えた感想は「気晴らしにBLを読みましょうか」という軽い気持ちで読むと大怪我をしてしまう様な「全くもって木原さんの本でしかない!」物語だったのですが。
悪魔(人間とのハーフなんですけれど)と天使が出てくる寓話とでも言いますか、正義とは?善悪とは?能力とは?恋愛と慈愛の違いや「生きていくことって何だろう」などという、実に哲学的なことを考えてしまうお話です。
まず、ウォーレンの生い立ちが凄まじく惨い。
悪魔の血を引いて生まれてしまったが故に、母は自死。信心深い祖父母には一度殺されかけます。
結局、成し遂げられず、その後は正体を隠したまま愛されて善良に育つのですが、村人に正体がばれたため、祖父母は惨殺されてしまいます。祖父母の魂を導くため天から降りてきた天使がカイル。カイルが気まぐれで行ったちょっとした行為は、全てを無くしたウォーレンにとって、大きな慰めでした。
カイルは上記の登場人物紹介では『性格が悪い』と書かれていますが、根性悪と言うよりは『頭が固くて自分で考えない』と言う方が近い様な気がします。生まれによって人生(人間ではないのですけれどもね)はほぼ決まっていると考える様なタイプ。
カイルの世界は、善と悪のデジタルで、悪魔は優しかろうが、努力しようが『悪』なんです。
色々あって(この辺はお読みください)地上に墜とされ力をなくしたカイルは、天使の肉を喰らいたがる魔物から身を守るために、ウォーレンと一緒にいなければ命をつなぎ止められないことになります。その原因を作ってしまったウォーレンは贖罪のため、そして何よりもカイルを愛していたので誠心誠意彼に尽くします。
でも、その全てがカイルにとっては苦痛なのです。
何故ならウォーレンが悪魔だから。
そして、天界に帰られないのは全部ウォーレンの所為だから。
「カイル、とんでもないカス」と思いつつ、私の中にもカイルがいるんじゃないかと何度も思いました。
社会において『下に見ても良い人』を作っていないか。
不幸に置かれている人を「身から出た錆」という言葉で片付けていないか。
起きてしまった結果を受け止められなくて「こんな結果になってしまったのは全部あの人が悪い」と自分だけを守っていないか。
こういう風に感じちゃうところは、木原さんがキレッキレだから。
相変わらず鋭いなぁ。よく切れる刃物のようだ。
ウォーレンがカイルに尽くしている様は、私の大好きな童話『幸福な王子』のツバメを連想させます。
でも、彼は『この街で最も尊いものとして天使に拾われる』ことはない。
あまりも切ない。
天使と悪魔という設定に興味が持てそうもなく、木原さんの作品の中で読むのを後回しにしていました。
読んで驚きました。深い示唆に富んだ作品です。天使と悪魔をモチーフにしていますが、外見や出自、能力により差別することをやめられない人の弱さ、愚かさを描いているのだと思いました。
物語の舞台は、中世ヨーロッパのような、ある村。化け物が住むと言われる森の向こうの平原、高い塀に囲まれた家に、天使・カイルと悪魔・ウォーレンが住んでいました。
昔、カイルは最下級の天使でありながら、花を育てる力を大天使アガサ様に認められ傍に仕えていました。しかし、天使の採用試験を受けに来た悪魔・ウォーレンを陥れ不合格にしたことから、地に落とされてしまいます。
ウォーレンは、人と悪魔の間に生まれ、村人に祖父母を虐殺された悲しい過去がありました。祖父母の墓に薔薇の花を咲かせてくれたカイルに心を救われ、自分の力を正しく役立てたいと天使を目指しますが、カイルが自分を陥れたことを知り、怒りでカイルの翼を奪ってしまいます。
天使の力を失ったカイルは、週に1、2度、ウォーレンに抱かれることで化け物から身を守り、屈辱に100年の時を過ごしてきました。そんなある日、村の子ども・スネアが、森を越え、カイルとウォーレンの暮らす家に迷い込んできたことから、三人の交流が始まります。
カイルはウォーレンを陥れたことを全く反省していません。悪魔だからと、容姿と出自で全てを否定し、見下しています。ウォーレンをありのまま受け入れ、その優しさを理解するスネアとは、まったく対照的。カイルは、昔ウォーレンを石持て追放した村人たちと同じです。偏見に捕らわれ、相手の良さを知ろうとしない愚かさが、読んでいて、とても悲しかったです。
それに異端な者を排除するのは、弱さの裏返しだと思いました。カイルは、自分が最下級の天使であることにコンプレックスを抱いていて、ウォーレンが天使になったら自分が天使の称号を奪われるのではと恐れ、ウォーレンを陥れたのです。なんて人間くさい天使なのでしょうね。
ウォーレンは、人としての心を忘れたくないと、毎日人の姿で村に働きに出て、日々神に祈っています。ずっと努力してきたのです。カイルの翼を奪ったことを後悔し、彼を守るうちに、深く愛するようになります。そして、薔薇の精気しか食べられないカイルのために、毎日薔薇を苦労して手に入れ、スネアが家に来るようになると、カイルもスネアと一緒に食べられるようにと薔薇の花びら入りのクッキーを焼いたりするのです。努力して育んできた優しさや思いやりこそ、認めてられてほしいと思いました。人とは、そういうものであってほしい。
カイルが薔薇を育てる温室を欲しがり、真冬にもかかわらず、薔薇をもっと欲しいと望んだことで、ウォーレンは悪魔の姿で毎日南の国へ飛んでいきます。それが村人の目に留まり、やがてウォーレンが悪魔という噂が立ち…。巻末の短編は、その後の悲劇を暗示しているかのようです。
薔薇を愛情深く育てることのできるカイルが、なぜ気持ちを育むことを知らないのか。不思議でなりません。
カイルが天使として改心する時は来るのか。ウォーレンの切ない恋心がカイルに受け入れられるのか。次巻、結末をしっかりと見届けたいと思います。
悪魔のウォーレンと天使のカイルの物語。
先生のファンでありながら、なんとなく後回しにしていた作品。結果、早く読まなかったことを後悔しました。続きが気になって一気に読みました。さすがです。心情の変化が素晴らしく、後半は胸が痛いほど。大満足です。
コミカライズの方を先に読んだのですが、あまり好みではなかったので読むのを先延ばしにしていた作品です。
コミカライズは、どうしてもダイジェスト感が強く、不可解な部分が多かったのですが、小説の方は面白かったです。
ファンタジー設定がどうもなじめず、カイル=普通の子、ウォーレン=極悪人の父の落し胤、と脳内変換するとしっくりきました。そのくらい、中身は天使らしくも悪魔らしくもありません。カイルだけでなく、ほかの天使たちもおよそ天使と思えないほど人間臭いキャラクターでした。
神の教えに背くことは罪みたいですが、カイルのことをさげすんだり陰でこっそりいじめるのは罪じゃないのかな。上級天使たちもあからさまな態度を隠さないです。そういう部分で、ファンタジー設定に入り込めなかったのかもしれません。
それはさておき、切なさはいつもの木原ワールド炸裂でした。ウォーレンが報われなさすぎる。スネアには優しいのに、ウォーレンには容赦のないカイルが次巻でどのように変わるのかが楽しみでした。
読む前はファンタジー好きだし、読みやすいかな~と軽い気分で手に取ったのですが、とても心に残る作品でした。個人的に2冊セットで(特に2巻が)神の中の神です。挿絵もとても綺麗で幻想的な異国の世界にぴったりで、好きです。
--(以下ネタバレと感想が含まれます)--
1巻は主にウォーレンの過去とカイルとの出会いの話です。
祖母とケンカをした男の子スネアは、魔物が住んでいるという森に飛び込んでしまいます。そして1つの家を見つけます。中に居たのは、見た目が麗しい一人の人間。
彼は言います「僕は天使だ、僕はおそろしい悪魔に掴まっているのだ・・・」と泣く姿もあまりに綺麗で羽が無くても、天使なのだと思えます。
暗くなったら魔物がやってくるから早くお帰りと促され帰るスネアにいきなり飛び掛る黒い物体「お前はあの家で何をした・・・!」化け物の恐怖にひたすら泣き叫び、化け物はスネアを人間だとわかったら無礼を詫びて森の外まで案内をしてくれます。
彼は自分を悪魔だと言いました。悪魔の姿を見た後も穏やかでとても優しいウォーレンが悪い存在に思えません。
天使なのに平等に慈悲深くないカイル、 悪魔だけど心の優しいウォーレンの話はスネアを軸に進みます。「悪魔というだけで幸せになってはいけないのですか?」
泣きながら神様に問うスネア。同じ様に私も思ってしまいました。
神様への信仰が深い世界の切なくて悲しい・・・1冊目でした。2巻を準備した上で読むことをお勧めします。はらはらするところで終わるので。
設定だけでも魅力ある作品ですが、このお話は設定はあくまで基盤であって、そこからどうやって心を掴まされるか、お話で魅せられた気がします。
ウォーレンの残酷過ぎる過去で思いっきり泣いてしまったり、悪魔だと分かっていても葛藤した上で彼を育てることを、あんなに愛情を持って育てた人達の結末は酷すぎます。グロイのは少し苦手なのと、涙が止まらなくてと手が止まってしまったのですが、それを越す続きが読みたいという気持ち。
カイルの人でなし具合に心を締め付けられたり、自分も似たような感情を持つことはあるので、「・・・残酷だな」と思うことはあっても、ちょっと可愛いな~と思えてしまいます(^▽^;)
カイルもスネアに対しては天使の様に優しいので、悪魔に対してだけ冷たいのです・・・多分。
そんなカイルですが彼の覚えていない小さい光の様な優しさが、ウォーレンを救ったところはブワワっと泣けました。全然カイルを嫌いになれない!!(笑)
一番残酷なのはどの時代でも人間なのかな・・・と思った1巻ですが、2巻でこの考えも変わったり・・・??
ベットシーンも羽が無い天使は、魔物に食べられてしまうので、それよりも力が強い悪魔の匂いを身に付ける必要があるということで、あのカイルが大嫌いなウォーレンに抱かれるという理由も違和感を感じさせません。
ウォーレンの羨ましい程の一方通行的な愛情も優しさも、ときめきと切なさが溢れ、そして物凄く萌えました(////)わー!私としてはすっごい萌えたりもしますが、良い意味で同姓同士の愛(BL)というよりも、1人の個体同士の愛情の話かと思えます。
最後に1つ。少年のウォーレンが初めてカイルと出会った時、自分の彼女(人間)と髪の毛の色、綺麗な瞳が似てるという描写があったのですが・・・
悪魔ということを隠して穏やかに人として生きたいと思い、普通に青春時代を過ごして彼女がいるのは別にいいんですけど(彼女の描写も少ないですし)
カイルへの想いは百年越しだし、疑いようがないのですが、ちょっぴり彼女に嫉妬しました(笑)
木原作品2作目です。
何を読もうか考えながらこちらの作品リストとか見てたんですけども。
特別ファンタジーが好きというわけではないのに、何故かこの作品に惹かれるものを感じて手にとってみました。
悪魔のウォーレンと天使のカイルの物語。
この巻ではウォーレンの健気さがとにかく目立ちました。
いわゆる「悪魔」と称されるイメージの非道なところはまるでなく。
ただただ大事に育てられてまっすぐに育った少年というか。
少しもひねくれたり曲がったところがない、純粋すぎるほどの幼年期。
最初に捨てられかけたところはあるけれども、その後はとにかく愛情を注がれて育って。
でも、ただ単純に幸せな家庭というわけでもなく。
その後の彼らをとりまく悲劇の遠慮のなさというか容赦のなさがさすが木原さん!といった感じで。
まず、学校へ行くとなった段で耳や尻尾を切り落とすなどというのがフツーのお話なら有り得ない感じで。
更にはウォーレンのおじいさんおばあさんの最期なんか壮絶で。
街中に吊るされている描写だけでも無惨この上ないのに、更に森に入ってから、おばあさんを置いておじいさんを探している間に、とどんどん凄惨さを極めていって。
情景がリアルに浮かんでくるような描写に自分がBL読んでるってことを忘れそうになったり。
そんなこんなでもう生きていく意味も失ってしまったようなウォーレンの前に現れたのがカイル。
彼のとった何気ない行動がその後のウォーレンに多大な影響を与えて。
ウォーレンは本当に健気。
なんか見てて応援したくなる。
スネアと出会った頃のカイルと暮しているウォーレンの日々は本当にいろいろ切なさを抱えていて。
ただ一心にカイルを想っているけれど、それは決してカイルには伝わっておらず受け入れてもらえたわけでもなく。
そんなある意味孤独な日々を重ねて。
それでも、どうにかカイルのそばに在りたいと思っているような。
ただ一度の激情がカイルの自由を奪うことになり。
それもあって元から良い性格とは言えないカイルがウォーレンの元に在ることになるのだが。
天へ還れる兆しを見つけた彼がとった行動がまた狡猾というか酷いというか…。
ただ利用するためだけに媚を売って。
相手の気持ちを少しも考えることなく。
スネアに窘められてもただひたすらに自分のことばかり。
ホント、ウォーレンてばどうしてこんな奴好きになったんだろ。
そう思わずにはいられない。
けれど、あの時のウォーレンにとってたとえ気まぐれであったにしてもカイルがしてくれたことは何よりも嬉しかったに違いないのだ。
悪魔が哀れで切なくて、
その気持ちをことごとく裏切る天使に憎しみを覚えた。
天使が好きになれなくて、それでも悪魔の真摯さに心打たれて、悪魔の幸せを願わずには居られない上巻です。
被害者は天使なのかもしれないのに、何時までも必死な悪魔の顔が、慈しむ悪魔の表情が胸を締め付けて離さない。
どうしてわかってくれないのか・・・!!
不安を覚えつつ下巻に・・・たぶんそれで正解!
木原先生の作品は辛い状況を乗り越えないと何かに届かない・・・!!