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かのえ作品はタイトルが堅いっちゅーのかキャッチーさに欠けるっちゅーのか、挿絵も硬派なイメージだし、今では新規開拓としてもなかなか目にとまりにくいかもしれません。その証拠にレビューが少ない…。個人的にはツボな作家さまなので、ひっそりとでもレビュー数に貢献できたらいいなぁ~なんて。
働く男を描いた作品が多い中、本作の舞台は先生による「初」裏社会。極道モノでも本格派からなんちゃってまで幅がありますが、このお話はリアリズムではなくファンタジー寄りとして楽しませていただきました。
間宮組のフロント企業として経営コンサルタント会社を任されている菅尾京一。もともと堅気だった彼は、数軒のクラブを経営していた四年前、妹を組長代行・間宮俊成の愛人として人質に取られて以来、不本意にも間宮組関係者とならざるを得なかった。その上、俊成は妹を囲っていながら京一にもオンナになれと執拗に迫ってくる。
ある日、京一が俊成とバーで落ち合い別れた直後、間宮組と抗争中にある武闘派組織から送られた手先が俊成を襲撃しようと店に乱入。標的は店を出た後だったため、一人残っていた京一が相手を取り押さえ自宅に連れ帰ると、鉄砲玉らしきその男はつい先日京一から貰いタバコをした青年だった…。
京一と青年(望)は利害が一致していることからある取引を成立させるのですが、お察しのとおり二人はいい仲になっちゃうんですねぇ。割と濡れ場が挿入されている方なので、わたし的に本作はエロに滾るの回でした。先生のエロは好みです~。
カップリングとしては望が年下ワンコ攻めで、京一が美人の男前受け。俊成はさしずめゴーマンキャラの当て馬といったところでしょうか。でもねぇ、俊成が京一に抱いている深〜い思いが最後にさらっと明かされるんですよ。京一とそっくりな妹を愛人にしておいて、実は本命?の京一が彼の意志で自分に落ちるのを待っているだなんて…、いくらゴーマンであっても度量が大きくないとできない恋の駆け引きじゃないかな。もしかしたら当て馬が一番魅力的なパターンかも?
エンディングは逃避行になだれ込むので単純にめでたしとはいえないかもしれないけれど、最後に収録されている後日談「眠る傍に」を読むと二人の未来は心強い。移動中の車内でも滞在先でもずっと眠ってばかりの京一に構ってもらえない望がぶーたれるの巻で、それは京一が一番心を許している相手が望だから…って、結局はらぶらぶなヤツら…。
櫻井しゅしゅしゅ先生の挿絵効果も相俟って、切ないようでいて希望を感じられる海辺のラストシーンが素敵です。
追記 先生のHPでは昨年(2016年)、「DRIVING RAIN」、「FIRE UP」二編のSSがアップされているようですね。