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8nenme no yakusoku
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
お互いを好きなままで、周囲の状況で別れざるを得なかった高校生の気持ちを封印し、過去の事だと忘れようとしている主人公千波のもとに、8年たってからふらりとあらわれた晴一。
過去のことは何も語らず、自分のことも何も語らず、ただのんびりと友人達と飲み歩き、千波のもとに通ってくる晴一に、封印していた想いがあふれ出し。
家族を傷つけたくない、自分には晴一との未来はうまくいくはずないとあきらめたはずなのに、高校時代と変わらない晴一の優しい笑みに、だんだんあの時と同じように惹かれていく心をおさえきれなくなります・・
このどんどん気持ちが晴一にむかって加速していく恋心がせつないです。仕事や、家や家族を放り出せないまじめな性格の千波。
すべてをすてて追いかけてほしいと後半お祈りするような気持ちで読みました。
う~ん、キャラクターもストーリーも、全体に漂う切なく優しい雰囲気もいいと思うんですよ。このトーンは好みなんです。
それでも、設定やエピソードがいちいちあまりにも陰気で暗過ぎて、読んでてどうにも気が滅入ってしまいました。メイン2人のキャラクターやラブは好きだからなおさら。
ここまで行かなくても、ただ『切なさ』を堪能できる程度で留めておいて欲しかったですね。
【今回、当人比でかなりネタバレしてます。ラストに触れていますので未読の方はご注意を】
それに、あのラストがどうにも納得行かないというか微妙な気分になってしまいました。
あれで晴一(攻)のキャラクターそのものに疑問を持ってしまったんです。
一方的に『千波(受)が』すべてを捨てることを当然のように考えているのが引っ掛かってしまって。
何も考えずにさら~っと読んだら、それはもう綺麗なハッピーエンドなんでしょうが、実際(アメリカでの2年間もそうだけど)2年経って帰国したら千波はどうするの?
家を出る(地元を離れる)こと自体はいいんですよ。大切な物のために他のものを手放す必要があるというのはよくわかるんです。
冷たいかもしれませんが、私は千波が家・家族を捨てるのはまったく気にならないんです。どころかさっさと家出ろ!と言いたかった。←こういう『親(ここでは祖母か)が子どもを縛り付ける』ような設定がものすごくキライなんです。親の立場(『作中の親の』ではなく、自分が親としての眼で見てしまうってことです)で考えてしまって生理的嫌悪感を覚えます。我慢ならない。←これが前述の『陰気・暗過ぎ』の一因なので、余計にダメだったんです。
でも『仕事(謂わば天職)』をあっさり捨てさせようとするのがどうしても気になりました。
例えば結果は同じだとしても、もっと2人でどうするのがいいか話し合うのが絶対条件じゃないのかなあ。いくら過去の傷があったとしても、アレは一方的に晴一が被害者ってわけじゃないだろう。
結果として『千波がすべてを捨ててアメリカについて行くこと』がダメなんじゃないんです。
BLファンタジーとして『男が仕事を投げ出して恋人について行く』こと自体は、私は十分アリだと思ってますから。
問題はその経緯。とにかく、最初から千波が晴一に合わせるっていう選択肢しかないのが・・・
それに、これが『アメリカ永住』ならまた違ったでしょうが、たった2年(予定だけど)だよ?
晴一ってホントに誠実で健気なキャラクターなんだろうかと考え込みそうになっちゃったよ。あまりにも身勝手じゃないのか?
高校生じゃないんだからさ~とラブストーリーに浸り切れませんでした。
いっそ『高校生同士』だったらこれくらいドリーム・ファンタジーで流せたかもしれません。
う~ん、この作品こそ『後日談』が欲しかったよ。ほんのSSでいいから。
ほんとに悪くはないんです。ただ・・・個人的には何とも微妙かなあ。
幼いながらも真剣な恋をしていた二人が、
ある事件がきっかけで別れざるを得なくなる。
悲しい別れから8年。晴一への消せない思いを胸に秘め、
静かに暮してきた千波の前に突然、晴一が現れます。
恋をして一番盛り上がっている時に、
相手に気持ちを残しながら別れた二人なので。これは後を引くでしょう。
別れてからの8年、千波と晴一がどんな思いで暮してきたか。
それを考えると切なくなりますね………
再会し、千波の気持ちは揺れに揺れます。
千波が封印したはずの恋心が一気に溢れ出し、
晴一へ向かう描写が切なくて。胸が苦しくなるくらいでした。
そして晴一が突然、千波の前に現れた真意が、後半に明らかになります。
千波は8年前と同じ様に、大きな選択を迫られることになるのですが。
彼を身動きできなくしているしがらみと、どう折り合いをつけるのか?
また悲しい結果に終ってしまうのか??それとも……?と。
この辺りの展開が最後まで読めず、どきどきハラハラ。
幸せになって欲しい!と、ひたすら願いながら読みました。
いつも大人しくて弱々しい印象しかなかった千波の母親が、
息子の最大のピンチに母の強い愛を見せた場面に、胸と目頭が熱くなりました。