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夫を幸せにする秘訣はよく食べよく寝てよく笑うこと
itoshi no dannasama niwa tsuno ga aru
個人的に、とにかく甘くて可愛くて、切ないスレ違いとか辛い試練なんかは必要最小限で、あとはひたすら主役二人の恋愛を楽しむみたいな作品が大好きだったりします。
で、今回、まさにそんなツボ作品。
カタブツで、受けにはひたすら弱くて振り回され気味の攻めに、明るく前向きで男らしい受け!
そして、そんな二人の、時には笑え、時には甘さに悶絶し、また時には感動で胸を熱くしちゃうエピソードの数々。
もう読んでいて、楽しくて楽しくて仕方ない作品でした。
ところで、表紙の人外攻めですが、麒麟になります。
人外攻めは大好きで色々なパターンを読んできちゃいますが、麒麟攻めは初めてだなぁ。
これ面白いのが、人外である攻めの方が常識的であり、いつも受けの予想外の言動にド肝を抜かれてるって所なんですよ。
最初から最後まで押されまくり。
まぁ最初の方はともかく、途中からは振り回される事自体をデレデレと喜んでる感じだから、全然いいんでしょうけど。
内容ですが、押しかけられた麒麟の王・焔凌×押しかけ嫁・明歩による、超甘々で明るく楽しい花嫁ものです。
妊娠・出産ものでもあります。
親が信じる「麒麟教」の予言により、神獣の伴侶となるべく育てられた明歩。
彼が麒麟教が行った婚姻の儀式により、麒麟の王・焔凌が治める世界に飛ばされてしまった所からお話はスタート。
実は神として崇められている麒麟の方では、「人間が勝手な事をやってる」くらいの認識で、一方的に嫁(明歩)を押し付けられて迷惑してるんですね。
そして、頭から信じていなかった麒麟が実際に存在していた事に驚き、予言通り嫁となる事を決意する明歩。
最初から、こんな完全にズレている二人が、明るく前向きな明歩の行動により、心を通わせて本当の夫婦となって行く様。
そして、妊娠・出産が語られます。
で、こちら、とにかく甘くて可愛いです。
最初こそ、焔凌は明歩を迷惑がってますが、それも本当に最初の最初だけ。
二人のスレ違いすら存在せず、唯一訪れる試練も、ほんのちょびっと明歩が危険な目に遭うと言う程度。
そう、人によっては、いわゆる「甘くて可愛いだけ」と感じられちゃう作品だと思うんですよね。
が、逆を言えば、切ないとか痛いとかが苦手で、こうひたすら可愛い溺愛系作品がお好きな方なんかは、めちゃくちゃ萌え転がっちゃう作品だと思うんですよ。
なんせ、この二人の甘さって、半端なくて!
そもそも焔凌ですが、超カタブツで常識的。
結婚相手として明歩を差し出されれば、「そこは青年では無く乙女だろう」と普通に驚愕する。
で、反対にやたら前向きで型破りと言うか、規格外と言っちゃってもいい明歩。
もうね、出会い時から焔凌は振り回されっぱなしなんですよ。
初日に嫁なんだからと押し掛けられ、「やること(初夜)をやらないと」と明歩に乗っかられる。
で、慌てて「必要なのは愛だろう、そこに愛はあるのか!?」みたいな。
これ、「なくてもエッチは出来るよね?」とアッサリ明歩にはいなされ、しかも男の悲しい性。
明歩に煽られてそのままエッチに及んじゃうんですよ。
そして、人一倍生真面目でカタブツな彼は、「こうなっては責任をとる」と、明歩を皇后にする事に。
と、かなりイレギュラーな形で夫婦になってしまった二人。
面白いのがですね、終始、こんな感じで攻めが受けに振り回されてると言う関係性なのです。
また、明歩ですが、何も考えず自分のやりたいようにやってるように見えて、実はしっかり焔凌の事を思いやり、彼の為になるように行動してるのが好感を持てると言うか。
だからこそ、最初こそ迷惑がっていた焔凌が、そんな明歩にどんどん惹かれて行くのが自然に感じられると言うか。
と、明歩にグイグイ引っ張られる形で距離を縮め、本当の夫婦になって行く二人ー。
で、この後ですが、明歩の妊娠・出産が語られます。
しつこいですが、最初こそ押し付けられた嫁・明歩を迷惑がっていた焔凌。
もう、この妊娠時なんか、完全に明歩にデレデレ。
明歩がつわりで具合が悪ければ、好物の果物を慌ててとりに行く。
そして、心配するあまり、自分の方がゲッソリとやつれる。
また、お腹の子に「父である。順調に生育しているか?」と語りかける。
いや、彼は、このカタブツな所が、こういうシーンでいい味出してるんですよ。
出産までしっかり書かれてますが、明歩に「へたくそ」とか「違う!」とか罵られながら、オロオロと腰を擦り、「こんなに明歩が苦しむなら、もう子供は一人で充分だ!!」とかやってるのが、なんとも微笑ましくて。
そして、無事に赤ちゃんが誕生したシーンでは、感極まってる焔凌に、こちらまでジーンと。
こういうお話、めちゃくちゃ楽しい。
めちゃくちゃ楽しいよ!!
あとですね、異世界にいきなり飛ばされてしまったのに、何故か帰りたがる事も無く、常に前向きに現状を受け入れる明歩。
彼のバックボーンがちょっと切なかったです。
サラリとは書かれてるんですけど、この親じゃあ、こっちの世界でたくましく生きる事を選ぶよなぁと。
と、(明歩のバックボーンはともかく)甘くて可愛くて、ほっこりさせてくれるところもあってと、とても好みの作品でした。