血族しか愛せない宿命を持つ王族の狂おしいほどの愛がここに
山奥で野人のように暮らしていた〝足弱″は、生まれて初めて上京した都で、千年続く王朝の最後の王である今世王レシェイヌの庶子の〝兄上さま″だと発見され、宮殿に保護される。
国土に緑をもたらす奇跡の力を持つ王族は、血族しか愛せない宿命。
しかし、十数年前の流行病により、今や生き残っているのは今世王レシェイヌただひとりだった。
孤独のために死にかけていた今世王は、足弱に夢中ですがりつき、ひたすら愛を捧げる。
そして、王族命の家臣一族「灰色狼」もまた、真綿に包むように足弱の世話をし、尽くそうとする。
自分が王族だとは思えない足弱にはそのすべてが困惑のもとで、耐えられず、ついに宮殿をあとにしようとするが……。
33年前に幼くして行方不明になった国王の腹違いの兄を探すため、三十代半~後半の男は都へ上がるよう国全土に通達が出された。
山奥で一人っきり、ほとんど人と関わらず生きていた足弱も、あまり乗り気でないまま都へと赴き、他大勢と共に国王である今世王に拝謁した。
一目見て、今世王は足弱を消息不明の兄だと判じる。
自分を兄と慕い愛を囁く今世王や王族として敬ってくる家臣たち、そして宮殿の生活に馴染めない足弱は戸惑うばかりで・・・
前作に比べるとこちらの方が波乱な展開です。
死の病が発症したレシェイヌ。
自分亡きあと兄が最後の王族として利用されずに暮らしていけるよう整えようとするレシェイヌの心情や、感染予防のため看病することもできない足弱の慟哭が伝わってきます。
会いたくても会えない二人の書簡やどんどん悪化していく病に涙涙です。
でこぼこカップルなんですが、兄上がとにかくピュアで可愛い。素朴で人を罵るような言葉を知らない。見た目は地味で年相応というか山奥で苦労して育ったので年上にすら見えるんですが人としての品格があり、出会った人々を魅了します。エッチの声が相当色っぽいらしいです。