1巻中盤までは確かにおかん系年下男×ビッチ系年上クズの織り成すストーリー。でも、クズでビッチなモモという人格が形成されるまでには壮絶な背景があるのです。ビッチ受けが苦手な人も、まずは2巻まで読んで欲しい。登場人物すべてが濃く、それぞれのキャラに想いを馳せたくなってしまう、そしてモモの表情に込められた凄まじい熱量に圧倒される、そんな作品です。2、3巻と読んで初めて本当のこの作品の魅力を理解できました。
事後処理をしているモモに出会すランニング中の八田ちゃんという、とんでもない出会いから物語が始まります。どうにも放っておけない生活能力ゼロで年上のモモを拾ってしまい、色々と世話を焼き大事にしつつも、その代償に絶倫セックスでぼろぼろにしてしまうという良いんだか悪いんだか分からない2人の関係。そこにモモの前飼い主である須田が現れ、モモはピンチに。八田ちゃんはこの件をきっかけに、モモのどこか諦観している性格に気付き、彼がどんな過去を生きていたのかを少し知ることになります。しかし、1巻はあくまでまだこの作品の導入なのです。
モモの喘ぎ声がきっかけで隣に住む栗田とも仲良くなり、モモと八田ちゃん両方が互いに嫉妬するという刺激もありつつ熱い関係を保っていたやたもも。そこに新しい男との生活のためモモとの関係を清算したいという身勝手な母親が登場し、物語は一気にディープな方向へと転換します。ここからはまさにはらだ先生の本領発揮です。モモの過去である母親との生活、須田との生活がそれぞれ描かれ、なぜ今の人格になったのかが明らかになります。母親と須田の気持ちも全く理解できないわけではないから余計に辛い。そしてモモの表情にとにかく引き込まれる巻でした。
母親と須田との関係をどう清算するのか、そして八田ちゃんと心から幸せに付き合えるようになるのかが最大の見所です。モモのためなら嫌いな須田に会いに行くことも厭わない八田ちゃんが格好良くも感じつつ、いざ会ってみると互いに大人げない応酬を繰り広げてしまう2人に思わず笑ってしまいます。八田ちゃんや栗田のおかげもあって、モモは無事に母親とも関係を清算することができるのです。そして、今まで八田ちゃんの絶倫ぶりが目立つばかりだった濡れ場でしたが、モモが本当に心から八田ちゃんといれることの幸せを感じながらその愛に溺れられる行為に変化します。ここまでやたももを追ってきて本当に良かったと思えました。