神作品、これしか言葉が浮かばない
ちるちるさんではBLにカテゴライズされていますが、この作品がBLかと問われれば答えは否ではないかと思います。
いじめ。レイプ(未遂ですが)。
人によっては地雷ではなかろうかという題材を真っ向から描き、普通とは何かを問うている。
人とは違う性癖を持つ少年たちが、「自分」を模索し、もがく。そんなストーリーだったように思うのです。
2冊完結の作品ですが、1、2ではなく、SIDE A、SIDE Bという表記がつけられています。もちろん続き物ですが、AとBとでは作品の趣が若干異なります。単純に1巻、2巻、という表記にしなかったところに、永井先生のこだわりを感じたりしました。
内容としてはかなりシリアスですが、永井先生のパンチの利いたギャグと、綺麗な絵柄の中にドンとぶち込まれたギャグ絵が、シリアスすぎず、けれど重いテーマを軽視してはいない。非常にバランスの良い神作品だと思います。
主人公は中学生の三島。
長い髪に、白い肌、可愛らしい容貌を持つ彼は、「ホモホモしい」という理由で同級生たちからいじめられている。けれど、三島はゲイ。自身の性癖を自覚している彼はいじめられてもじっとそれが終わるのを待つだけ。
ところがある日、自分をいじめている桐野の秘密を知ってしまい…。
田舎で、閉塞感のある村。
そんな場所で、他人とは違う性癖を持つ少年たちは、どれだけ精神的に圧迫されていたのか。
同じ性癖を持っていることで急速に仲良しになる桐野と三島。他の誰にも相談できず、けれどお互いの前だけは素の自分をさらけ出すことができる。
そんな時間が、彼らにとって、どれだけ貴重で大切なものであったのかと思うと胸が痛かった。
三島はいじめを受けていますが、彼自身あまり気にしていない風なこともあってか、さほど悲壮感はありません。
が、いじめの行為はかなり壮絶です。地雷な方もいらっしゃるんじゃなかろうか。
けれど、桐野や夢野が三島をいじめる理由がいじらしいので、ぜひとも挫折せずに読んでいただきたいなと思います。このシーンを乗り越えた先に、彼らが抱える心の闇が見えてきます。
SIDE Aの終盤で、三島を狙う(性的な意味で)学校の先生の柳田に襲われるシーンからスタート。
学校の先生が自分の生徒である中学生を襲うという、なんともおぞましい展開にぞっとします。けれど、このシーンは柳田も自身の性癖を受け入れてもらえず、という悪循環の結果。
もちろん、彼のしたことは許されざることですし、こういった描写が地雷な方も少なからずいらっしゃると思うので、読むにあたり注意が必要かもしれません。
が、素の自分を受け入れてもらえなかった柳田の孤独と哀しみが胸に迫る。
この作品には「母親」が数人出てきますが、彼女たちの対応がそれぞれ違うのが、話に重みを与えているように思えてなりません。
少年たちが選んだ道はそれぞれ異なる。
何が正しくて、何が間違いなのか。
そもそも「普通」とは何なのか。
読み手によって受け取り方は様々で、そのどれもが正解なのだと思う。
最後の、柳田先生の過去の話に号泣した。
紛れもない純愛だったのに、それを捻じ曲げられた彼の哀しみに。
そして、それを消化できずに、三島を襲ってしまった彼の孤独に。
どのエピソードもきちんと回収され、読み進めた先に答えがある、ストーリー展開が非常にお上手です。
SIDE BはSIDE Aに比べ厚さが倍ほどもある。その分、中身も濃い。ぜひとも2冊まとめて読まれることをお勧めします。
出版社:ふゅーじょんぷろだくと
レーベル:POEBACKS Be comic
シリーズ:スメルズライクグリーンスピリット
発売日:
価格:¥680(税抜)
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レーベル:POEBACKS Be comic
シリーズ:スメルズライクグリーンスピリット
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レーベル:POEBACKS Be comic
シリーズ:スメルズライクグリーンスピリット
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電子発売日:
価格:¥700(税抜)
出版社:ふゅーじょんぷろだくと
レーベル:POEBACKS Be comic
シリーズ:スメルズライクグリーンスピリット
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価格:¥700(税抜)
出版社:ふゅーじょんぷろだくと
レーベル:POEBACKS Be comic
シリーズ:スメルズライクグリーンスピリット
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出版社:ふゅーじょんぷろだくと
レーベル:POEBACKS Be comic
シリーズ:スメルズライクグリーンスピリット
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出版社:ふゅーじょんぷろだくと
レーベル:POEBACKS Be comic
シリーズ:スメルズライクグリーンスピリット
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