砂原糖子さんのレビュー一覧

バーテンダーはマティーニがお嫌い? 小説

砂原糖子  ミドリノエバ 

表紙が可愛くて好き

お酒とお酒絡みの話が大好きなので、わくわくしながら読んだ。
キャラクターは嫌いじゃない。が、視点主の戸原の心理描写はずっと愚痴を聞かされているようで、陰鬱な気分になってくる。暗く軽い展開が続くのもしんどくて、読んでいて楽しいと思えたのは終盤一割くらいかも。

戸原は表面上はクールなバーテンダー。でも内側には不満を大量に抱えており、心理描写は口に出さない文句だけで構成されているような。断りたく…

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セラピストは眠れない 小説

砂原糖子  金ひかる 

あと一歩何かが噛み合えば……

出張ホストと客として出会った二人のお話。この設定がクセモノで、外村が出張ホストをやっていなければ、最初から違う関係性で進んでいれば、とても魅力的に見えていたキャラだったと思う。強引な展開も多かったかな。

外村は出張ホストとして派遣された先で、失礼にもいきなり客に説教をかます。金で呼び出されて来ておいて、何を言ってるんだという印象。
この外村の成長が見られる作品かと思ったら、相手役の碓井のめ…

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夜明けには好きと言って 小説

砂原糖子  金ひかる 

“卑屈は人を醜くする”

再生の物語かな、という作品。応急処置の再生から、本当の意味での精神的な生まれ変わりを遂げたような。黒石の一途さが素敵で、適度に待つ姿勢を見せながら白坂に関わっていくのも良かった。泣きのシーンは最高に萌えた。

大きな事故に遭い、別人として生きることにした白坂は、因縁の相手黒石に再会する。過去に付き合い騙された、と恨む理由を語っているが、白坂の心理描写から黒石への怒りはあまり伝わってこなかった。…

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真夜中に降る光 小説

砂原糖子  金ひかる 

虚勢がなぜかなんとなく切ない

別作品のスピンオフらしい。スピン元より先に読んでしまったが、特に問題なく読めた。ただ終わり方がスピン元カプに絡む感じなので、そちらを知っていた方がいろいろと感慨深かったのかも、とは思った。スピン元もぜひ読みたい。

一作通してずっと新二視点。このキャラは社会不適合者っていうのかな。幼少期の家庭環境が良くなくて、自分を保つためにたくさんのバリアを張っている。
でもバリアだけならまだしも、外に大…

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恋煩い 小説

砂原糖子  志水ゆき 

これはいい攻×攻

都市再開発事業を計画する会社の社長(槻島)と、ボロアパートの管理人(永沼)
槻島視点


kindle unlimitedで読んだ。



冒頭、ボロアパートの壁の穴から隣室の男の自慰行為を夢中になって覗き見るという…どういう状況!?と思って心掴まれてしまった。


自分は受け攻めの属性にあまりこだわりがある方ではないので、受け攻め表記は事前に確認しないことも多い。
大体は…

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月は夜しか昇らない 小説

砂原糖子  草間さかえ 

切なさと幸せが押し寄せてくるラスト

近未来のお話で、監視する者×監視される者という、面白い設定。常に夜が続いているような、静かな雰囲気もとても良い。表題作ラストは切なさと幸せが押し寄せてくるようで、じんわり泣きたくなった。この作品、めちゃくちゃ好き。

盗撮されている被疑者を常時監視する刑事の玖月。対象者である戸明のことは、一方的に見ているだけで、内面までは知らない。実生活では全く接点のない二人が、どのように出会い近づいていくの…

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愛になれない仕事なんです 小説

砂原糖子  北上れん 

この雰囲気と糖度にハマりそう

警察モノの続編。付き合っても甘さのない塚原と本名のこの雰囲気が好き。

職場恋愛中の二人は、あまりに可愛い合図を決めていて笑ってしまった。この二人が話し合って決めたとは思えないし、察する形で出来上がっていくのが想像できる。相手の感情には鈍くても、こういう意図はしっかり伝わりそうで萌える。

今回は塚原の昔馴染みが出て来て、本名がやきもきする展開。といっても恋愛的なものより、信頼関係が崩れる…

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恋愛できない仕事なんです 小説

砂原糖子  北上れん 

甘さはなくともお互いへの信頼は

刑事×刑事の事件モノ。警察絡みにしては恋愛要素多めだった印象。ドライな主人公がドライなまま思い悩み続ける描写が面白い。気分の上下が分かりやすく、あからさまに浮かれた様子を見せる塚原が可愛くて、とても好きだった。

取り調べ相手からの一言が、頭から離れなくなってしまった本名。本名の心の極々小さな穴に、その一言がストレートに入ってしまったような。恋愛脳なキャラでもないのに、自身の恋愛に悶々と向き合…

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恋煩い 小説

砂原糖子  志水ゆき 

社長秘書がなかなかの曲者で好き

いけ好かない俺様社長な槻島が恋に落ち、情けない姿を晒しながらも恋を成就させるお話。メインカプも良かったが、社長秘書の樫谷がなかなかの曲者で、物語をさらに面白くしてくれたと思う。特に後半は読んでいてずっと楽しかった。

槻島は特に女に対する物言いが酷い。単純に性格が悪いのでなく、何らかのコンプレックスやトラウマがあり、遠ざけたい存在と認識しているような。過去に付き合った男のこともやたらと思い出し…

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夜明けには好きと言って 小説

砂原糖子  金ひかる 

トラウマと愛憎の末のカタルシス

数回目の再読。
自己肯定感が低く性格難ありの受けが、七転八倒でボロボロになりながらようやく自分と向き合い、ずーーーーーーーーーーっと差し伸べ続けてきた攻めの手をようやく握る。
砂原作品でしか得られないカタルシスがありますが、これもその一つです。

受けの一葉は砂原さんの作品で時々見かける「めんどい受け」ってやつです。
継母から「気持ち悪い顔」と言われ続けたせいで、自己肯定感が皆無で、自分…

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