沙野風結子さんのレビュー一覧

ポイズンローズ 小説

沙野風結子  すがはら竜 

デビューのきっかけになった作品

商業デビューは別の作品ですが、これが担当さんの目に留まり商業デビューすることになった作品だそうです。
確かに、アンバランスな印象でまとまりが悪いですが、個性というか好みは変わって無くて、こういう時期を通って今の作品なんだなぁと。

スーパー攻め様×まじめな大学生のセレブテンプレではありません。俺様でもありません。ただの王道で終わらせない発想が面白かったです。
難点は散見されますが、デビュー…

1

堕楽の島 ~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

ラブラブモード突入

並外れたはねっかえりのワガママ犬が飼い主にそっぽ向かれたとたん、焦りまくってあれやこれや頑張ってるのを、カッコつけてハードにしてみましたよ、のお話。

私的にはカルトや洗脳に対抗する一番のカギはどうしても手放せない絆だった、という部分が一番響きました。
生きてると心が脆くなるようなつらいことと出会うことはあるけど、それを乗り越える力になるのは愛する人の存在。言葉にしてしまうと陳腐だけれども、…

2

落園の鎖~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

ちょっと進展したらしい

前作でちょっとだけ周に対して優位感を持っていた靫が、そっけない態度にあれれ?となる今作。そうはいってもそのうち手を差し伸べてくれるんでしょ、と思っていたらほんとにギリギリまで放置プレイでびっくりでした。
簡単に依存関係にしないのがこのシリーズのいいところで、今作もがっつり男同士!でした。
そうはいっても心の距離は縮まっていて、あとがきによると二人の関係が「マシンオイル」から「ポーションバター」…

4

タンデム ~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

どっちもかっこいい!

男同士でしか出せない、BLならではのよさってこういうのもひとつよね~、と楽しませていただきました。
ふたりとも男らしいタイプで、受けの靫もやられちゃったからと言って途端に女々しくなるような甘いタイプでもなく。自分の体も状況を有利にするためのツールのひとつ、と割り切って逆に利用しようとする靫と、そう簡単に流されないぜと頑張る峯上との勝負のような駆け引きが、かっこよかったです。
峯上に惹かれるのも…

6

赫蜥蜴の閨 小説

沙野風結子  奈良千春 

息詰まる空気に酔う

正直、これを読むためにこのシリーズに手を付けたようなもの。で、その価値はありました。

いや、濃かったです。エロもバイオレンスも濃かったんだけど、一番濃かったのは空気。窒息しそうなほどダークで密な空気が素晴らしかったです。
展開もなかなかのもので、臣の行動に気持ちよく振り回されました。会社乗っ取りの方は少々ぬるめなんだけど、高柳の興味・関心の方向を考えるとあり得る話で、追いつめられていく高柳…

7

斜光線~人肌の秘めごと~ 小説

沙野風結子  梨とりこ 

タイトルと空気感の見事な一致

沙野作品の粒子が大きくて密度の高い雰囲気を存分に堪能できました。
全体に重苦しいのだけれど、粒子が大きいからちゃんと呼吸ができるし、その隙間から差し込む光が秋の午後の日差しのように、どこか尊く懐かしさをおぼえるもので、不思議なすがすがしさがありました。
物語の最後に「斜光線」の意味が語られ、それまで感じていたものとタイトルとの結びつきに唸りました。
これほど意図したとおりの印象を与える作品を…

4

青ひげ公の婚礼 小説

沙野風結子  乃一ミクロ 

摩訶不思議な体感をくれる

なんだかとても不思議な雰囲気に包まれた作品でした。
奏真のつかみどころのないキャラも、そのあいまいな過去の記憶も、夏狩の執着の正体も、何も明かされないままにただ気持ちとお話だけが進んでいって、もちろん最後には明かされるんだけど、そのころにはすでに夢の中を漂うようにふわふわとした作品の空気にすっかり慣れてしまって、夢見心地のままラストを迎えました。
こんな感覚は初めてです。驚きと妙な心地よさとで…

8

蛇恋の禊 小説

沙野風結子  奈良千春 

作者と読者のSMプレイのような

刺青シリーズ3作目。1作目のカプが再び登場の巻です。

私はこちらのお話の方が好きでした。いや、エロが、とかそういうわけじゃなく(確かにそちらのグレードアップもすごいですが)、中々凪斗を赦してあげない作者の忍耐に感嘆しました。
一気にどん底まで落とさないで、かといってじわじわというのでもなく、がくんがくんと何段階にも落していくドSぶりには惚れ惚れしました。この後どうやって救い上げるつもりなん…

4

蛇淫の血 小説

沙野風結子  奈良千春 

王道を書ききった良作

獣シリーズが気に入って、レビューからこのシリーズを選んで読んでみました。

堅気に育った組長の妾腹息子が、極道に引き入れられていくお話かぁ、とよくある世話係ものかと思っていたら、シチュエーションはそうだけれどよくあるお話にはなっていなくて、面白く読めました。
何がすごいって、まったくそんな関係になりそうもないところから出来上がるまでの過程がうまい!よくある設定なので、そこがうまく書けるかどう…

3

隠り世の姦獄 小説

沙野風結子  笠井あゆみ 

見方で見え方が変化する面白さ

前作が面白く、そのスピンオフということで手に取りました。前作のキャラたちが登場し始める112ページ以降のお話の動きが面白かったです。
前半部分は、前世の記憶もなく混乱と絶望に沈んだ萱野視点なので、鬱々としているしお話もどう転がっていくのかが見えなくて、読むのが少し辛いくらいでした。スピンオフなのに関連ワードが全く出てこないし、と不安になってきたところでの依冶登場。そして怒涛の展開とカプ増殖が非常…

4
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