今市子さんのレビュー一覧

五つの箱の物語 コミック

今市子 

雰囲気が素敵

なんとも言えず美しいんですよね…
そして「箱」をテーマにした5編の掌編の巧みさ。
後半の短編も短いのに構成は複雑で、繊細で、ユーモアもあって。

第一の箱「落日」
言葉の不自由な美形の画家とその妻(未入籍)、そして画商。
三角にもならない三人の愛が揺らめいていて、どの愛も成就していないような、果たされないまま完結しているような。
この雰囲気は完成された「微妙な美」だと感じる。

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ポケット版 笑わない人魚 コミック

今市子 

人はみな想いを隠して生きている

こちらの作品、コミックス版・文庫版・ポケット版とあって、表紙も全部違います。
私が持っているのはポケット版で、髪をなびかせた男性と漂う魚、背景的に大きくうねる鱗の背…のような絵柄になっています。
内容は4編の短編の収録。

「笑わない人魚」
失踪して7年たつ叔父の家をどう処分するか。相続者は叔父の飼っていた人魚…
幻想的な話と思いきや、実は叔父はヤクザ者で逃げているのだし、人魚ならぬ青…

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萌えの死角(6) コミック

今市子 

萌えというより面白話

今市子先生によるコミックエッセイ、第6巻。にして遂に最終巻。
「5」に引き続き、今家の家庭菜園?ガーデニング?にまつわるお話が多い印象。
つまりは「虫」!
仮面ライダーの敵キャラのような害虫たちの生態。結構グロい。
虫がダメな人は閲覧注意です。
そして、今先生のご趣味である山登りのお話。
やはり「萌え語り」よりも日常の報告的な方向性に進んでしまうのは仕方ないのか…?
久々に映画の話な…

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Chara Collection EXTRA 2018 グッズ

2018年のChara Collection EXTRA

去年のCharaバースデーフェアでの特別小冊子。コミック12、小説6です。
以下全作のタイトル+本編読んでる作品のみコメント。
1、13,14が神。3,4、6,15が好きでしたので萌2です。

1.日常クライマックス番外編8P
 思う所あってきちんとした食生活をおくるようになった途端モテだしたもんだから
 複雑な心境・・というお話!ああ、巴里子先生らしい。。。
2.ドラゴンの谷からケ…

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よしはら心中 帝都万華鏡秘話 小説

鳩かなこ  今市子 

いのち終わる日まで…心中のように愛する

「帝都万華鏡」シリーズのスピンオフ、「秘話」です。シリーズとしては5作目。
本作の主人公は、横山夏洋(なつみ)。
シリーズ2・3作目のCPである横山春洋の兄で、吉原の東雲楼楼主です。
時間軸は、夏洋が中学部の学生だった頃から3年ほどの間。春洋はまだ子供の時分です。
このシリーズなら、1作目のメインCP・高市京介の長兄・大介と高市家家令の伊部との関係性が描かれるか?と思いきやの、まさかの夏洋…

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帝都万華鏡―たゆたう光の涯に 小説

鳩かなこ  今市子 

恋で弱くなる。恋で剛くなる。シリーズ第4作

「帝都万華鏡」シリーズ4作目。
1作目のメインCP・京介x琢馬アゲイン。
2・3作目が、京x琢が成立する途中(せつ子さまがまだご存命の時)の春洋の物語でしたので、こちらは原点に立ち返って…というかたち。
1作目の後の時間軸で、京介と琢馬は想いを通じあわせています。
その上で、やはり運命はそう簡単に恋人たちを安らかに愛し合わせてはくれない…
琢馬は、詩が書けなくなる。
そしてそれを京介に…

2

溺れる戀 小説

高遠琉加  今市子 

運命を変えた、ただ一度の恋

今市子先生の表紙に惹かれて読んでみました。が、電子なので中の挿絵はなし。

めちゃくちゃよかったわ…と思ってレビューしに来たら、評価が今一つでびっくり…。私としては雰囲気も文章表現もすごく好みで、うっとりしながら読んでました。

ストーリーは、オーソドックスな再会ものです。
舞台は震災後、経済情勢が不安定な昭和初頭。主人公の父が頭取を務める成實銀行も経営難に喘いでいる。
そんな状況下、…

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帝都万華鏡―巡りくる夏の汀に 小説

鳩かなこ  今市子 

くちなしの残り香を追う男、シリーズ第3作

前作「梔子香る夜を束ねて」の続きです。
誤解とすれ違いの果てに恋人同士となった紘彦と春洋。
だが、運命はいまだ春洋につらくあたる。
紘彦は材木商の次男で、兄が家業を継ぎ妻も跡取りももうけていたのだが、その兄が事故に遭い儚くなってしまう。
そうなれば次男の紘彦が家業に染まらざるをえない。
それを知った春洋は、またぞろ身を引くわけで。
「家」なるものを背負う紘彦の傍に自分がいるわけにはいか…

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帝都万華鏡―梔子香る夜を束ねて 小説

鳩かなこ  今市子 

くちなしが香る男、シリーズ第2作

「帝都万華鏡」シリーズ2作目。
本作の主人公は、前作の高市京介や石木琢馬の一高の同級生で、今は日本画家の横山春洋(はるみ)。
スピンオフ的な展開とも言えるけれど、前作「桜の頃を過ぎても」と同じ時間軸での横山サイドとしての物語です。

生家は吉原の廓である春洋は、ある晩贔屓筋の息子が座敷で一人になってしまったので座持ちを、と言われて挨拶に出向くが、廓付きの色子かと間違われたのか、その後その若…

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帝都万華鏡―桜の頃を過ぎても 小説

鳩かなこ  今市子 

日本語の繊細と美があふれている

トピ内にて匿名のお姐さまにおすすめいただき、手に取りました。
タイトルの「帝都万華鏡」、そしてイラストは今市子先生、すでに「文藝」の高貴な薫りが…
そして読んでみれば、時代は大正。
正に大正浪漫。
少し(いや、かなり)堅く上品な文体でありながら、選ばれる語彙は耽美的でもあり、そこが非常に硬質な官能性を醸し出しています。
今どき文体の読みやすいBL小説に慣れていた身には、ガツンと鉄槌を喰ら…

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